【XYのふたりごとVol.3】「"フェミニスト"ってなんだろう?」
みなさま、こんばんは。隔週水曜日18:00更新の「XYのふたりごと」第三回は、「フェミニスト」について。
女性解放思想を推進、または同調する人々を「フェミニスト」というそうですが、ここ最近はハリウッドでの「MeToo運動」などで耳にする機会も増えてきました。時代とともにその内容は変化していて「ネオフェミニズム」なんて言葉も出てきたくらい。
XYでは創業から「女性の人生を豊かに」をテーマにしてランジェリーブランドの運営や、その他企業様の商品企画、ブランドプロデュースなど様々なプロジェクトのサポートに入りながらも、しっかりこの言葉と向き合ったことがありませんでした。というのも、自分たちが「フェミニスト」なのかどうかもわからず、そもそも「フェミニズム」とはなんなのか?を掘り下げたことがなかったのです。それは、最終的に「自分たちが自分たちらしく生きていける社会の実現」が理想であって、男とか女とか性別は関係ないと思っていたから。
とはいえ、社外の方たちからは「フェミニストっぽい」とか「フェミニズムのある会社」とか、自分たちが思っていたイメージと異なる印象を持っていただいていたことを知り、このタイミングで今一度向き合ってみようよ、ということに。
ここで語られることは、何が正しいかということではなく、それぞれの考えや価値観の共有が目的なので、読んでいただいた方それぞれの意見や感想があって然るべき。私たち自身も日々アップデートしていきたいと考えているので、ぜひ、感想やご意見のある方はコメントにお寄せくださいね。それでは、今週も隙間時間で「ふたりごと」をゆる〜りお楽しみください。
◆ 「男顔負け」な女になりたいわけではない
めぐみ:今の時代における「フェミニズム」は男も女も好きなように生きたらいいさっていう思想であって、男性排除とか女性排除とか、権利を主張する上で自分と異なるジェンダーを否定するような動きはナンセンスだよねってのは大体の人が共通認識としてあると思うんだけど。実はフェミニズムの中にもポリティカルなものやソーシャルにおけるものと家庭内におけるものと細分化されてきてるみたいですね。
せいな:私も勉強する前に考えたんですよ。フェミニズムについて改めて知る機会ってなかったなって。ちょっと本読んでみようかなって思って買ってみたんだけど・・・めぐさん、読んだことあります?そういう本。
めぐみ:うん。大学の時に課題図書みたいなのであったかな。何冊か持ってるはず。
せいな:ああ、そうか。
めぐみ:そう。何冊か読んだけど、内容は覚えてないかも。反省。(笑)
せいな:私、そういうのを積極的に読んだことがなくて。なんか昔の”強いフェミニズム”のイメージが先行しちゃってて、なんとなく避けてたというか。私たちが昔よく見ていた活躍している女性って、ほら、あの・・・政治家の――
めぐみ:あー、えっと、はいはい――(顔はわかるけど名前が出ない)
せいな:土井たか子さんだ!(スッキリした顔)
めぐみ:「男顔負け」な女の人たちね。田中真紀子さんとか。懐かし〜。
せいな:そうそうそうそう!どうしてもああいうマスキュリンな印象というか。どうにもこう、その流れに入りたくない自分がいて。(笑)
めぐみ:うんうん。わかるわかる。「フェミニストはモテない」的な固定概念もあった気が。
せいな:とにかく「喧嘩腰」なイメージがあって、かつ男の人も抑圧されてるのでは?って思うこともあって。”ガラスの地下室”って言われてる、使い捨てられる男性性みたいなとことか、男の人は男の人で苦しんでるよねって思ってて。で、今のフェミニズムはどんな性であっても生きやすいという理想がある。でもまだどこか社会全体で「フェミニズム」的発言をすると”強気な女”と思われる空気感もある。そんな複雑化してる社会で、私は「フェミニスト」なのか「ジェンダー論者」なのかいろいろ考えてたんですよ。
めぐみ:うん。
せいな:その時に、何れにしてもフェミニズムの流れの中でのことだよなって思って。で、その類の本を買ってみたの。実際読んでみたら、なんかそれぞれカテゴライズするのも違うのかなって思い始めて・・・なんて言ったらいいのかな。
めぐみ:うーん。難しいよね。私は、フェミニストでもなければフェミニズムを突き詰めたいみたいな感覚はなくて。だって、XY創った時も、そもそも「XY」は男性の染色体を表す単語で、女性だけで創業した会社だけどあえてそれを名前にすることでどんなジェンダーであっても「人」であって、それぞれの感覚で都合よく自由に生きれればいいじゃん!みたいなことを伝えようとしたわけじゃないですか。
せいな:そうだね。
◆ 男の人も悩んでいる
めぐみ:極端な話しちゃうと、私は「自分が女だから得したこと」もあった。でも、最近思うのは自分が「女性としての権利」みたいなものを唱えなくてはいられないような環境にいたことがない、女性であることが不利だと感じるような環境に縛られたことがないからってそれを対岸の火事とするのも違うのかな、と。で、わからないなりに当事者の人たちがどう感じているのかは知る必要があるなと思うようになって。
せいな:うん。
めぐみ:で、大きな会社や組織にいる知人・友人たちにいろいろ話を聞いてみたら、女性の意見ももちろんなんだけど、男性も不憫に思うようなケースがいくつか聞こえてきたの。さっきの”ガラスの地下室”みたいな話とかね。本当にいろんなケースがある。そうなってくると、フェミニズムって一体なんなんだ?と思って。でもそれこそがとても重要なのかもって。おじさま世代の方たちとお話しすると、良かれと思って言った発言が相手を傷つけてしまったり、コンプライアンス的にNGみたいなことになっちゃって、触らぬ神に祟りなし状態になっちゃってる。
せいな:なるほどね。
めぐみ:だけど、”触らぬ神に〜”は一歩間違えるとただの放置になっちゃう。それはそれで良くない。だからフェミニズムってなんだろう?ってことに想いを馳せれば、相手(異性)のことを否応無しに考えることになるから、本当は答えを出すということよりも今自分の目の前の人がどう感じたか、これを発言したらどう感じるか?相手の気持ちを0.5階層でも良いから深く考えてあげるってことが重要なのかなって思ったの。男でも女でもどちらでなくても「相手にとってどうか?」とその立場になって想像できることが大切だと思うんだよね。人とコミュニケーション取る上での基本的なことであるけど。
せいな:そうかもしれないね。自分自身、言ってることや感じてることはフェミニストの人たちに近いのだけれど、でも完全同意でもない。どっちつかずな感じ。私は結局どっちなんだろうな。
めぐみ:女性の権利が守られることで、思わぬ苦労を強いられている中間管理職のおじ様たちの話も聞いたりすると、本当にそうなるよね。女性に対しての敵対心もなければ、性別問わず平等に接しているつもりなのに、過剰に女性が守られる仕組みによって予期せぬゴタゴタに巻き込まれちゃったりとかね。女性の権利が認められていくのは素晴らしいことだけど、結果的に、対立構造を生んでしまったらダメだよね。
せいな:そうそう。そうなんだよね。
◆ 行き着く先は"究極"のジェンダーフリー
めぐみ:あと、国や文化によってもジェンダー論って全く違うじゃん。だから欧米ではこうだからってすぐに取り入れてしまうのも、もしかしたら違うのかなと思うこともある。先日SNSで見かけた記事で、フィンランドのとある図書館ではジェンダーフリートイレにして、個室も半透明。老若男女全ての人が同じトイレを使うって場所があるみたいで。すごく先進的な考え方だし、素敵な取り組みだと思うんだけど、排尿の音を消す「音姫」がある日本のトイレ文化で育った自分としては、そのトイレを進んで使うかと言われると、生理の時とかは嫌だなーと思ってしまった。(笑)
せいな:ジェンダーフリーだね、完全な。
めぐみ:そう。半透明にした理由の一つに、ドラッグやレイプなどの犯罪抑止につながるってのもあってそういうところは素晴らしい!って思えるんだけど、実際自分ごとに置き換えてみると、やっぱり少し抵抗がある。私の考え方が古いだけかもしれないんだけど。で、思ったのは日本は”せっかく”ジェンダー後進国なんだから(笑)、今から極端に変えようとしてももう遅いので、あえてグラデーションがある状態でジェンダーフリーに切り替えていくってのも一つなんじゃないかなって思ったの。前回のVUCAで話したようなやり方でね。
せいな:うんうん。
めぐみ:フェミニズムとかマスキュリズムとか突き詰めていくと極端な話になっちゃう気がして。江戸時代の吉原文化とか海外からしたら「ヤバイ国、日本」的な文化から良いところは引き継いで、悪いところは変えて・・・って日本独自の価値観で生み出す「フェミニズム」があってもいいなーって。
せいな:そうだね。昔の女性たちよりは、今を生きる私たち世代はすごく生きやすくなってるはず。でもこれから先いろんな「個性」が存在していく世の中ではもっとこういうカルチャーや考え方の真価が発揮されてくると思うんですよ。男だから、女だからって判断しないことと同等に、男だから、女だからで判断されてしかるべき瞬間もあるのかもしれない。私も半透明のトイレはやりすぎかなとは思う。(笑)
めぐみ:まあ、とりあえず半透明にしてみた!って話かもしれないけど。(笑)
せいな:確かにね。とりあえずやってみれちゃうのが北欧のいいところではあるね。いろいろ本を読んで思ったけど、フェミニズム云々は"ジェンダーによって不当に制圧される人を減らすための運動”の一つだと言っている人がいて、それが一番腑に落ちたかな。誰しもが生きたいように生きるための運動だと思えば、誰しもがフェミニストであるってことなのかもしれないしね。自分自身含めてね。
めぐみ:そう考えると、今こうやっていろんな議論ができるのも先人たちが一生懸命女性の権利を訴えてくれたからこそなんですよね。
せいな:昔があったから今があるって話ね。だからこれから先においても、こういう運動については、知らないよりは知っておいたほうがいいよね。
◆ 置いてけぼり「ニッポン」?
めぐみ:国際女性デーってあるけど、アルバージェで日本においての「女性の日」キャンペーンやってるじゃないですか。あの頃は列強の国と然程遅れていなかったのにいつからこんなジェンダー後進国になったんだっていうね。謎すぎる。(笑)
せいな:本当ですよね。もしかしたら当事者(女性)たちの問題なのかも。
めぐみ:ああ、なるほど。否定はできないな、確かに。
せいな:多様な問題(社会情勢や政治など)と密接に関わってくるからこそ、みんな深くまで掘り下げて考えようとしないってことなのかな。それもそれで仕方ないし強制的に考えろ、何か発信しろとは言わないけど、回り回って自分に返ってくることなのかも、って思うべきではある。
めぐみ:うんうん。
せいな:実は女性の中に、女性を差別的に見ている人もいるって話も何かで読んだ。女の敵は女とは言わないけどそういう面もあるのかもしれない。
めぐみ:女性の中でも考え方は色々ですよね。わかりやすく言えば、「年収1000万の人と結婚したい」って人もいれば「年収1000万稼ぐ人になりたい」って人がいるみたいなね。「年収1000万の生活がしたい」という本来の目的は一緒なんだけど、お互いの価値観を否定しあって対立しちゃってるパターン。(笑)
せいな:対立構造ができた時に、この類の話はすぐに「男 VS 女」となるけど実は「女 VS 女」だったりするしね。だから複雑なんだよね。
めぐみ:超細分化社会だね。
◆ 「フェミニズム」は、時代とともに変化している
せいな:改めて見ると、日本って、男女平等ランキング2015年が101位だったけど、2019年で121位。どんどん落ちてってるんだね。(笑)
めぐみ:落ちてるというより、周りが上がっていて、日本はほとんど変わってないってことだったりして。日本の成長スピードが遅いんだよきっと。「とにかくやってみる」っていう判断できない国ってイメージ強いです、自分の生まれた国ながら。(笑)PDCA大前提で、いろいろ検討して考えあぐねいてる間に、肩を並べていたはずの他の国にサササーっと追い抜かれていったんだと思う。悲し。
せいな:そうかもね。2016年に日本より下位だった韓国が今回日本よりも上位だもんね。その通りかもしれない。
めぐみ:韓国って、国を挙げて何かに力を入れる時の判断が早いイメージある。結局それで日本のエンタメもどんどん抜かれちゃったりして。そもそも先を走っていたのかすらわからないけど(笑)
せいな:ついつい日本って「正しい答え」みたいなものを取りに行っちゃうっていうか、枠組み作りたがる感じあるよね。今の時代それじゃやってけないんだろうね。
めぐみ:てことは、「フェミニズムってなんだ?」って答えを出そうとしてた私たちもナンセンスだったのかも。十人十色の考え方があってよくて、フェミニズム自体も時代とともに変化していくのだから、自分なりに社会と時代とフィットできる形を見つけることが大事ってことだろうな。
せいな:だからそういうそれぞれの価値観や思想を社会に発信したり、誰かの声を代弁できる人たちが表に立っているうちはやっぱり誰かが苦しんでいるということなわけで、そういう代弁者が必要なくなるような時代が来て初めて本当の意味でニュートラルな社会になるんでしょうね。
めぐみ:どれが悪いとか、どれがいいとかじゃないのよね。自分の中で何か納得いく答えを出して行けることが大切だから、そういうそれぞれの答えを尊重しあえる社会がベストなのかな。
◆ 自分にとって心地よい環境づくりに「寛容さ」は欠かせない
せいな:寛容さが失われてしまってはそれは実現できないですけどね。
めぐみ:それでいうと、私最近、某局のワイドショーが不快の極みで。(笑)
せいな:あ、わかる!〇〇(番組名)でしょ?(笑)
めぐみ:ですです。なんの学びもないな、と。時間の無駄だと思って観ない。
せいな:私もそう。必要以上に他人をバッシングする感じね。
めぐみ:要らない情報多いよね。それ今やる意味ある?みたいな。視聴率取れるからやるんでしょうけど。(笑)
せいな:わかるわかる。
めぐみ:ワイドショーで誰々が叩かれてるみたいなのをSNSで知るんだけど、みんなそんなに偉いの?って思う。(笑)
せいな:芸能ネタは、ただのストレス発散にされちゃってるんだと思う。
めぐみ:でもちょっと考えればさ・・・実際に自分がその立場になったら、絶対にないって言い切れる?っていう。こういうネタの時に叩きまくってる人たちこそ、そのタレントさんと同じ立場になったら同じようなことしてるタイプだろうなって思っちゃう。どんだけ暇なんだ。
せいな:執着してるんでしょうね。隣人に想像力を膨らませられない人なんだと思う。寛容さが足りない。そういう人たちがネットリンチするんじゃないかな。
めぐみ:昔もそうだったのかなあ?最近特にひどい気がする。
せいな:人への想像力が働きづらくなったのかな。
めぐみ:今思い出したけど、私が生まれる前に父がワイドショーのディレクターかなんかを任されたことがあったんだけど、なんのためにやってるのかわからなくなって病んで辞めて独立したって言ってたな。(笑)
せいな:確かに、病みそう。ネットの影響も大きいかもね。集団心理が働きやすくなって火の手が回るのが早いみたいな。
めぐみ:なるほどね。とにかく私は、朝はテレ朝派でそれ以外ほとんどテレビ観なくて、好きな番組の録画があればちらっと観るくらいだな。(笑)
せいな:見方を変えれば、自分にとって心地よい空間を作り上げられる時代になったという良い側面もあるのかもね。話めちゃくちゃ逸れたけど、実はつながっている話で、他人への想像力が問われる時代においてどう生きるかってことなんだとも思う。冒頭話した「フェミニズム」のことも結局は他者の気持ちへの配慮が欠けている人とそうでない人との話だったりもするし。
めぐみ:他人に思いを馳せながら、人の価値基準に左右されず、自分の心地よい空間を築いていくことが上手にできるようになると個人レベルの幸福度が増す。さらに、そういう個人の取り組みに寛容な社会、国になるように、それぞれが脳みそを柔らかくしておく必要があるってことかな。
せいな:どうしても自分ごとにできないとか、興味がない人は、いつか自分たちに巡り巡ってくるかもしれない出来事として認識だけしておいて、選挙に行くとかそういう時の判断基準にしてみるのも良いかもしれないね。
(おわり)
<次回は3月18日(水)18:00更新予定>
【XYのふたりごとVol.4:私たちいつから"セックス"を意識したっけ?】
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