028話:靴木型を作る考え方
今回は、かなり観念的なお話しです。
かっこよさはどのように、設計できるのか?靴作りで試行錯誤して、2012年の段階で得た考え方をシェアしたいと思います。
突然ですが、こちらの画像。
イギリスの会社「SSC Programme Ltd」が開発中の、「BLOODHOUND SSC」という車。現時点での世界最速の車を超える、時速1000マイル(時速1610km:マッハ1.313)以上に挑戦するとのこと。
私はカッコイイと思うのですが、技術者たちはかっこよさを求めるのではなく、ただひたすらに速さを求めて設計してこの形になったのだと。
次にこの画像。散々登場した私の靴ですが。。。
実は、「靴の中の体積を、いかに最小にして、私の足を収めるか?」を追求しています。
2つの共通点:
いずれも、「見栄えとは関係なく設計している」ということ。見栄えを意識して設計するのではなく、なにかの設計指標を追い求めて、形を最適化するのが重要。
そもそも、私は子供の頃の美術の成績は落第寸前でしたし、美的感覚はありません。作り手側の実感を話しますと、カッコイイ形を作っている気持ちはなく、その人の足に対して最小体積で収まるよう設計したら、結果的に格好良くなってしまった。ということ。
逆に、いかにも「おれさま世界をつくりました」的な靴ってゴテゴテしくてダサいのがほとんど。いうなれば、メタボで厚化粧が着飾った感じ。。おっと口が悪くなりました(笑。
靴木型を設計しようとするひとへのメッセージ
私のような美的センスがない、ふつーの人が、いい靴木型を設計しようとするために、一つ自問することを勧めています。
「その木型の線は、どんな機能に結びついているか?」
私も実体験がありますが、美的センスがない人が見栄えを追求すると、どうしてもダサくなる。でも、何らかの指標を追求すると自然と見栄えする形が浮き上がってきます。
何回かの実践をえて、人は何かの機能に最適化された形状を見ると、自然とかっこよさを感じる感性が実装されているのだと確信しています。
ふつうの人は、最初から見栄えを意識した足し算のデザインではなく、必要な機能に最適化して形を考え、かっこよさを発掘するアプローチ、引き算のデザインをお勧めします。
また次回に具体的なお話しをしますね。
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