006話:VASSという靴、やっとみつけた・・

それから何十足買ったかは定かではありませんが、そんなZinRyuにもストレスなく履ける靴に出会えることができました。(失敗の数々は、また書きますね)

VASSというハンガリーの靴。伊勢丹メンズ館で取り扱いでした。

イタリア・フィレンツェのRobert Ugolini氏が木型をデザインし、ハンガリーのLászló Vass氏の工房で製作されます。

作る側となった今では良くわかるのですが、木型のデザイナーは2種類に分類されます。自身の感覚を大切に形を創造するタイプか、ルールを守って伝統的な形に落とし込むタイプか。

間違いなく、Ugolini氏は前者のタイプであり、その設計は足を靴下のようにつつみこむための複雑な形状で、軽く歪んでいます。それでいて、土踏まずから踵がキュッと絞ってあり、踵と土踏まずでホールドする設計。

それがVass氏のメイキングにより、高次元で具現化されています。私はいまもVass氏の作りが大好きなのですが、それは見かけの綺麗さより、本当に長く気持ち良く履けるような工夫が随所に見られる所。

パッとわかりやすい所で挙げると
・踵から土踏まずの深いところまで伸びた芯材
・芯に使われる革はよくハンマーで叩かれており強靭ながら、履き主の足の形を記憶するような甘さを残す加減
・ピンと革を張り詰めさせた成型。そうすることで、フィッティングの良さだけではなく、伸ばされた分、革が平滑になるので、磨けばよく艶やかな表情になります
・靴底の材料となる革は、一年かけて作られ、防水性と強靭さに優れる

止まらなくなるので、このくらいで(笑)。靴の作りはVass氏の本に図解されてますので、手に取って頂ければきっと損はしないと思います。

木型を製作して、6年経った頃に、フィット感と靴の容積の関係を定量的に検証しました。私の足容積は781mlでしたが、

VASSに水を入れて、その容積を図った結果、、、、

713ml。。。 良い設計の包み込むようなフィット感の靴は、やはり靴下のように足より小さく設計されているということを示していました。

ふつーに考えると、足より小さい靴は、血を止めてうっ血させるように思えますが、感覚を大切にすれば、得られる世界は広いのです。

どうか皆様も、ご自分の感覚を大切に靴を選んでみてください。

ーー当時のわたしへのメッセージ。ーー
・GOOD JOB!

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