065話:ベルギー革・ルガトーの紹介
ベルギーの面白い革を紹介します。トラを活かした革。
革は生きていた動物の皮を加工したもので、その表情は一枚一枚異なります。そのうちトラといわれるシワが入った箇所があります。こんな感じ。
横に、入っている線がトラといわれるシワ。牛の肩から首にかけて、動いてシワができやすい部位にできます。
いわゆるハイブランドな靴が、シワがエレガントでないということで、使われずに、捨てられることさえありますが、この文様に付加価値をつけた素敵な革がルガトーです。
◆ルガトーという革
ベルギーのタンナーである、Tannerie Masure社。が製造する革。(画像出典:レザークラフトジェーピーさん)
このシワが魅力に転化されています。
もともとカバンや財布用にセレクトされていることが多かったです。ZinRyuもこんな風にカバンに仕立てています。
ですが、靴用にも適する革だと使っていて思いました。繊維がぎっしり詰まっており、適度な油分を含み耐久性がありますので。
実は、Tannerie Masure社は、靴のアウトソールの革を製造するメーカーとして140年以上の歴史があります。
この革は北アルプス原皮の選りすぐりを、ピットでアウトソール用の革同様に強靭になめしたもの。
ちなみにピットとは、こんな感じの皮を革にするための薬剤を満たしたプールのようなもの。ここに静かに浸けて鞣します。
通常はタイコといわれる、ドラム式洗濯機のようなもので回しながら鞣すのがメジャーです。
ちなみにタイコとはこのような機械。ピットに比べて革の繊維がほぐれるため、柔らかく仕上がります。時間も短縮できるのが利点。
誤解ないように言えば、どちらにも特徴があり、どちらが上ということはありません。
ピット槽で鞣した革は、タイコと違って革繊維がほぐされないまま、薬剤が浸透するため、強靭になる傾向がありますね。
◆どこで買えるの?
色々なネットショップ(革屋さん)で取り扱ってます。3−4足分取れて、2万円行かないぐらいで手頃。質の割には安価だと思います。
◆ルガトーを靴にしてみたら
後ろから革の表情もわかります。
アウトソール
この革は、使い始めは結構かたいです。靴には向かないように感じるかもしれませんが、靴木型を足に合わせると足の力がダイレクトに革に伝えることができるため、硬さもすぐに気にならなくなります。
30時間も履けば、革内部の密な繊維が足と一体化して追従する、独特なはき心地が体感できますね。
作り手さんはぜひ、試してみてはいかがでしょう。(熱コテつかえないので、そこは注意してください)
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