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053話:レディスのヒールパンプス木型開発開始
ヒールパンプス。歩くに適していない靴。
メンズの革靴と違い、甲を抑える箇所が少ない。
踵を高くしていて、設置面積が少なくスムーズな重心移動が難しい。
汐留、銀座あたりを歩くことが仕事がら多いのですが、たしかに街であるいている方が絵になることも多い。
ただし、それは止まって立っているときの話。歩き出すとくるぶしより下が頼りげなく揺れていました。
◆通常のヒールパンプスの木型
いくつか、デパートで売られている靴の木型をみました。
人の踵はそんなに太くない。変に、土踏まずから踵にスペースをとっていて機械で作るには適しているけれど、そもそも足に合うの?という印象。
それに、人の足ってもっと有機的で、滑らかな曲線を描いています。にもかかわらず、ヒールパンプスの木型は形がどこか人工的。
ZinRyuは、ヒールパンプスはもともと立って佇んでいるための靴で、歩く靴ではないと思っており、取り組む気はありませんでした。
でも、ヒールパンプスは足に合わない靴とはいえ、デパートで売られている靴は、あまりにも足を無視した設計が多すぎる!
それに、本当の意味で歩けるヒールパンプスを開発できたら、これって結構スゴイことなんじゃないか?
自分の力を出し切って、ヒールパンプスに挑戦したら、歩きにくい靴で、どこまで歩きやすさを追求できるか?
靴木型設計者として、今までになかったチャレンジで好奇心が刺激されたことで、開発を開始することになりました。
◆どんなアプローチで開発するか?
踵と土踏まずを両側の底面からはさみ込む。
一言で言えばコレです。甲の押さえが期待できない以上、土踏まずより後ろで通常のメンズ革靴より強いテンションをかけて足が靴の中で動かないようにすることが肝要です。
難しいところは、女性の足は神経の伝達がメンズより機敏で、ちょっとした痛みも感じやすく条件がよりシビアになります。
強いテンションをかけつつ、痛みを感じさせないためには、足の内面を見切った上で、骨の曲線をなぞり、有機的なフォルムに落とし込むことが一つの解だと思います。ただし、通常の革靴とは桁違いの、足の構造に木型を合わせる精度が必要。
そうすることで、強いテンションも、足に合わせて広く分散させれば心地よいフィット感に変わります。
◆開発中の木型の現物をちょっとだけ公開
とりあえず、踵の形状はこんな感じ。なるべく極小にし、強いテンションで痛みを走らせないように、立体感をより持たせています。たぶん、抜けることは無くなるかと。
側面からは、足のくるぶしより下を切り取った、ラインを丁寧になぞりました。ちなみにヒールは6−7cm程度に設定しています。
今後は、何回か試作を行い、修正をかける工程。
ただ、開発したはいいけれど、私自身は男性なので街中で履いて歩き心地を検証できないのが悩みどころです。どなたかにモニターお願いするかもしれませんが、その時は何卒ご協力をお願い致します。
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