チェス終盤の奇跡:パスポーン『あれ、プロモーションできない!?』
私のブリッツ戦からの取材で、黒がa3とパスポーンを進めてきたところです。白は現在ナイトを得していますが、黒もa3とパスポーンを伸ばしてプロモーションを狙っているので緊迫した局面です。
ここで白番なら何を選択しますか?記事を読み進める前にぜひ考えてみてください。
この局面で残り時間は約1分、最後の勝負所なので時間を投入しましたが私は正着にたどりつけませんでした。実戦はa3に対してg6と攻め合いを選択しましたが、この攻め合いは白が勝てません。
以下、お互いにパスポーンをa2 g7 a1=Qと進めましたが、黒の方が先にプロモーションできるうえにクイーンを作った手がチェックになるためです。
実戦はこの後に黒の時間が先に切れてしまったので、白に勝ちが転がり込んだ形で終わりました。しかし、ナイト得でも白は勝てなかったのでしょうか?
試合が終わってから検討したところ、白に驚きのディフェンスが残されていました。
もう一度最初の局面に戻って考えてみましょう。白は黒のパスポーンを止めることができれば勝ちです。その具体的な手段がKd3!!です。
黒はa2とパスポーンを伸ばしてきますが、次の手がキング引きと連動した守りです。
キングが下がって開いたスペースにナイトを跳ぶNd4!!が継続手。これで白が勝ちになります。
a1=Qとプロモーションする手には……
Nc2が決め手のフォークです。黒には白のg6のパスポーンを止める手段は残されていません。
一見、黒のパスポーンが止まらないように見えましたが、キングとナイトの連携で見事に守りきることができました。
サッカーで言えば、ゴールキーパーが飛び出した無人のゴールにディフェンダーが戻ってきてボールをけり出して守った感じでしょうか。
こういうディフェンスができるようになると、ますますチェスが面白くなりそうですね。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。