Chess is 99% Tactics……??
ラピッド戦からの取材で私が黒番です。白のe4に対して、シシリアンナイドルフで迎え撃つ形を採用しました。白、黒どちらを持っても指すことが多いのですが、この局面は初見です。いくつかの候補手が浮かんだので、比較検討しました。
h6
キャスリング
Bb7
b4
1のh6と2のキャスリングは、白からの猛攻を耐えきれる自信がなく断念。3のBb7とb4のどちらかで迷ったのですが、より積極的に行こうと考えて4のb4を選択しました。
ただ、Chess.comのデータベースで検索すると、この局面はどの候補手を選んでも勝率的に黒にとってかなり厳しい局面のようです。
本譜はb4に対してNd5!!と進みました。ノータイムだったので、おそらく研究手順だったのでしょう。ここで大長考に沈みましたが、思わしい展開が見つかりません。
exd5とポーンでナイトを取ると、exd5とさらにたたみかけられて厳しいと判断しました。
そのため、本譜はNxd5とナイトで取り返したのですが、恐ろしいことにこの手が敗着となりました。定跡からたった数手外れただけで敗勢になったので、あ然としながら局面を見つめていました。
……Nxd5以下、exd5 Bb7と必死の防戦に努めました。しかし、またしてもここでノータイムの一着が。その1手とは……
Rxe6!!これも研究だったのでしょうか?こちらはルークを取るしかありませんが、ナイトで取り返した形が大急所で黒敗勢です。
この瞬間は、黒がルークを1枚丸得しているのですが、駒の働きの差とキングの安定度に差がありすぎて黒が勝てません。ここまで白の消費時間はわずか1分。
あまりの巧みな構想力とサクリファイスの組み立てに、途中から相手がミハイル・タリに思えてきました。
局面は敗勢ですが、相手がどのように決めるか見たかったのでもう少しがんばってみました。Nxe6以下、Qa5 Qh5+g6にBxg6!が最後の決め手です。黒はチェックメイトから逃れるすべがありません。
「Chess is 99% Tactics」という言葉を初めて聞いたときは、それはさすがに言い過ぎでは……と懐疑的でした。しかし、本局を改めて振り返ってみると、やはりタクティクス問題を解き続けるのは重要と痛感しました。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。