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駒得マスターへの道!Caro-Kann Defense: Advance, Tal Variationでの冷静な指し回し
今回はCaro-Kann Defense: Advance, Tal Variationの実戦を紹介します。
序盤で黒にミスがあり、黒のビショップをトラップにかけることに成功しました。
しかし、黒は勝負手を繰り出してきて幻惑してきます。そこで白は正しく指せたのでしょうか?
チェスにおいて「駒得=勝ち」ではありませんが、将棋の森下卓九段の名言「駒得は裏切らない」はチェスにも当てはまります。
それでは、さっそくゲームを振り返ってみましょう。
序盤:ビショップの捕獲に成功
1.e4 c6 2. d4 d5 3. e5 Bf5 4. h4
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局面は4手目 h4 で、Caro-Kann Defense: Advance, Tal Variationへ。
この変化はカロカンに対してアグレッシブな攻めを狙う形で、黒の対応次第では一気に有利になる可能性を秘めていることが特徴です。
ここで黒が 4... e6?? と指したことで、早くも問題が発生しました。
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白マスビショップを展開した後に、e6と指して黒マスビショップを稼働させたい黒の気持ちは分かります。
しかし、e6と指したことでf5のビショップの可動域が非常に狭くなっています。すかさず 5.g4! と攻めたことで、黒のビショップが逃げ場を失いました。
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黒は 5... Be4 と粘るものの、白は冷静に 6. f3! を用意し、次のターンで黒のビショップを完全に捕獲します。
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ポイントは以下の2つです。
駒を捕獲する際、相手の逃げ道を計算しながら包囲するのが重要
h4 → g4 → f3 の流れで、黒のビショップを完全に封じ込めることに成功
黒としてはe6に変えて、h5、またはh6と指せばビショップの可動域が広がるのでビショップを捕獲されることはありませんでした。
黒番でCaro-Kann Defense: Advance, Tal Variationを迎え撃つ際は、特にこの狙い筋に注意してください。
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序盤の分岐点:どちらのビショップを取るのが正解?
ビショップを捕獲された黒は、…Bb4+と指して局面の複雑化を目指してきました。
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ここも白は冷静に7. c3と対応して局面を落ち着かせようとします。黒は2枚のビショップが取られそうな形になりました。
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そこで黒はすかさずBxb1とナイトを取ってきました。黒が…Bxb1と指してきた瞬間がこの対局の急所です。白はどちらのビショップを取るのが正解なのでしょうか?少し考えてみてください。
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正解手順と解説
まずは8.Rxb1とビショップを取る変化から見ていきましょう。
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これは白の判断ミスで、…Be7と逃げられてしまいます。
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この局面はビショップとナイトの交換になっており、いつの間にか捕獲していたはずのビショップに逃げられてしまった計算になります。
そこで、正解手順は「cxb4」とこちらのビショップを取るのが正解です。
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この局面を冷静に眺めてみると、b1にいるビショップの戻れる場所がありません。g6にビショップを引いたとしても、h5でビショップを捕獲されてしまうからです。
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この変化があるため、黒は…Qb6と指してさらに局面の複雑化を狙いますが、白は落ち着いて9.Rxb1と2枚目のビショップを取り切ることに成功しました。
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黒は…Qxb4とチェックをかけますが、10.Qd2で白が盤石です。
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黒のクイーンを消してしまえば、白は怖いところがなくなります。盤上からお互いのクイーンが消えて局面が単純化に向かえば、有利な白は局面が考えやすくなって勝ちやすくなるからです。
ポイントは以下の2つです。
黒の捨て身の猛攻に落ち着いて対処する。ノータイム指しに惑わされないこと
駒得したらクイーン交換を狙う。盤上からクイーンが消えれば、局面が単純化して勝ちやすくなる
まとめ:黒の猛攻を受けきり、正確に駒得する
今回の対局では、以下のポイントがうまく機能しました。
序盤
h4 → g4 → f3 の流れでビショップを封じ込める
相手の駒が逃げるルートを計算しながら包囲するのが重要
序盤の分岐点:どちらのビショップを取るのが正解か?
どちらのビショップを取るか比較して正確にビショップを奪い、有利を確定
駒得後はクイーン交換を狙い相手の反撃を防ぐ
最後に
「駒得=勝ち」ではありませんが、駒得できれば局面の主導権を握り勝ちやすくなります。今後もこうした正確な駒得とその活かし方を磨いていきたいですね。今回の内容があなたの上達につながれば幸いです。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。