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安全なはずのキャスリングが敗因に— フレンチディフェンスの教訓

今回は French Defense: Winawer Variationを紹介します。
序盤から大胆な攻めを狙い、13手目に Bxh7+のサクリファイス で黒のキングを引きずりだし、一気に猛攻しました。

「フレンチにはBxh7+!」という言葉の通り、果たしてこの犠牲は成立するのでしょうか?
それでは、さっそく対局を振り返っていきましょう。



序盤:黒のミスを見逃さず、攻めの準備!

1.e4 e6 2. d4 d5 3. Nc3 Bb4 4. a3 Ba5?

やや疑問の構想。

ここで黒が Ba5? と指したのは疑問手。通常はBa5に変えてBxc3が多く指されています。

5.b4 Bb6 6. Nf3 a5 7. b5 a4 8. Bd3 Bd7?

疑問。黒の展開が遅れている。

ここでの Bd7? はやや消極的。黒は c6、またはNe7を急ぐべきでした。黒は端に手数をかけているため、駒組が遅れています。
白は自然に駒を中央に展開し、主導権を握りました。


中盤:キャスリングをとがめるBxh7+サクリファイス!

白はキャスリングを終えて主導権を握りましたが、12.Bf4が悪手でした。なぜなら、ここで黒に絶好の1手があるからです。

悪手。黒にチャンス到来。

黒はNg6と指せば、局面の均衡を保つことができました。

変化図。ビショップに当てながらナイトを展開。

このナイトはf4のビショップに当てながら、h7の弱点を守る役目も果たしています。

イメージとしては白のBd3が凄腕のスナイパーなので、Ng6が防弾チョッキの役目を果たして黒のキングを守る感じです。

黒がNg6を選べば局面は互角でしたが、本譜は黒の選択した手が風雲急を告げることになりました。
…O-O??

敗着。黒の駒の配置が悪い。

黒のキャスリングが大悪手でした。白の駒が黒のキングに向かって配置されているため、キャスリングをしたことで逆に危険地帯に飛び込んだ形になりました。

白はここで一気に攻め込みます。
13.Bxh7+!!

さく裂。白は黒がキャスリングするのを待っていた。

…Kxh7 14. Ng5+!

連続攻撃。黒のキングが一気に危険に。

「フレンチにはBxh7+!」この ビショップサクリファイス により、黒のキングは逃げ場を失い始めました。
黒は 14... Kg6 と逃げるしかありませんが、すでに白の猛攻が炸裂しています。

黒のキングが露出。白のサクリファイスが成功。

終盤:ポーンブレイクからのコンビネーション

15.Qg4 f5 16.Qg3 Qe8 17. Nxe6+ Kf7 18.Nxc5 Ng6 19. e6+!

ポーンブレイク。白の狙いは?

ついに決定打がでました。黒は …Bxe6 と取りますが、20.Rae1が端の遊んでいるルークを中央に活用しながらクイーンをにらむ味の良い1手です。

ルークとナイトの連携が強力。

すぐにナイトでビショップを取るのではなく、このように他の駒と協力することで攻めの威力は倍加します。

…Nxf4 21. Qxf4 Nd7 22. Nxe6 Qxe6 23.Rxe6 Kxe6

黒のクイーンを盤上から消すことに成功。

白が大きな駒得に成功しました。最後は眠っているf1のルークを活用して、黒のキングに迫ります。
24. Re1+ Kf7 25. Qxf5+ Nf6 26.Nxd5

白の駒が急所に突き刺さる。

白の駒の利きが強力で黒は受けがありません。
…Kg8 27. Ne7+ Kf7 28. Qg6+1-0

全ての駒が連携してチェックメイト。

 Bxh7+ のサクリファイス から始まり、黒のキングをチェックメイトすることができました。


まとめ:フレンチ攻略のBxh7+と強力な攻め

今回の対局で学べるポイントは以下の通りです。

  1. f6にナイトがいない形のキャスリングはh7の地点が薄い

  2. 本譜のようにキャスリングが悪手になる場合がある

  3. キャスリングのタイミングを考える(場合によってはキャスリングをしないことも選択肢へ)

  4. キャスリング後のBxh7+サクリファイスは白の狙い筋

  5. キングが露出した状態を利用し、テンポよく攻めることが重要

フレンチディフェンスを相手にするとき、攻め筋の一つとして Bxh7+ をぜひ覚えておきましょう。
最後に「Bxh7+のサクリファイスを試すコツ」を紹介します。

  • 黒のキングの守りが薄いことを確認する(特にナイトがいない場合)

  • キャスリング直後を狙うと決まる場合がある(※ただし、黒の駒の配置にもよる)

  • サクリファイス後の続く攻めを計算しておく(Ng5+やQg4を絡める)

    サクリファイスのコツをつかめば、攻めの幅が広がり、フレンチ相手に主導権を握れるようになります。最初は失敗することもあるかもしれませんが、ぜひ挑戦してみてください。今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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