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シシリアン攻略の新春奥義:捨てるポーンに福来る!Smith-Morra Gambit

昨日の「ナクマンソンギャンビット」の記事に続いて、今回もギャンビットを紹介します。

今回は、私が実戦で使った「Smith-Morra Gambit(スミスモラギャンビット)」に注目します。

このギャンビットは、シシリアンディフェンスに対する強力な攻撃で、序盤から果敢に駒を犠牲にしつつ、相手陣地を揺さぶる攻撃的な戦法です。

ギャンビット好きにとって、スミスモラの魅力は何と言ってもその主導権の握りやすさ。駒損を恐れず攻撃の快感を味わえるこの戦法は、シシリアン相手に試してみる価値があります。

それではさっそくlichessで私が実際に指したSmith-Morra Gambitの一局を通して、その威力を見ていきましょう。



序盤:Smith-Morra Gambit Accepted

1.e4 c5 2. d4 cxd4 3. c3

ポーンを犠牲にして展開重視。

この後は3... dxc3 4. Nxc3と進行し、白は中央のコントロールを取りながら攻撃の準備を整えます。

Smith-Morra Gambit Accepted

続けて4... e6 5. Nf3 Bb4 6. Bc4 Nc6と進行。黒はBb4でピンを利用して応戦しますが、この形は白が攻撃の糸口を見つけやすい展開です。

白のピースがアクティブ。

白はピースをアクティブに展開し、攻撃の準備を進めます。一方、黒はポーンアップの実利をどう生かすのでしょうか?お互いの主張が交錯する形で、中盤戦が始まります。


中盤:攻撃の起点を作る

7.O-O Nf6?!

やや疑問の構想。

黒のミスがここで現れます。本譜ではNf6と指しましたが、実戦的にはNge7がより堅実でした。ここで白は8. e5と中心を攻め、相手のナイトを揺さぶります。

大きなポーンの前進。d6とf6のマスを支配。

続けて、本譜は以下の手順で進行しました。
8... Ng4 9. Qe2 Bxc3?! 10. bxc3

白のツービショップが強力な上にe4のポーンが大きい。やや白良し。

白のポーン構造が一見崩れるように見えますが、実際には攻撃の可能性が広がる形になっています。


攻撃の決定打:白のピースの連携

試合のハイライトは以下の局面からの手順です。
...Qa5 11. Bf4 Qxc3 12. Rac1 Qa5 13. Rfd1 h5 14. h3 Nh6

黒はポーン得だが、駒の働きが悪い。白優勢。

ここで15. Ng5から攻撃を開始し、黒の陣形に隙を作ります。次の手順で攻撃が加速し、白のピースが絶妙な連携を見せました。
…Nf5 16. Ne4 Nxe5? 

ブランダー。白の有利をさらに拡大するには?

黒のNxe5が悪手で白にチャンス到来です。白のコンビネーションが見えるでしょうか?
17. Bxe5 Qxe5 18. Nd6+

黒はクイーンを失う形に。白優勢。

シンプルな手順ですが、実戦ではこのような一見地味なコンビネーションを発見することが重要です。

黒のブランダーにより、白は優勢を確立しました。攻撃のピースがすべて機能し、圧倒的な形で黒の守りを突破します。


終盤:勝利への収束

白がリードをさらに広げて、局面は最終盤を迎えました。初心者の方にも分かりやすいように、白の明快な勝ち方を紹介します。
32. Ke3 Bc6

白の明快な手順は?

今、Ke3に対してBc6と引いた局面です。白が大きな駒得ですが持ち時間が残り1分を切っていたこともあり、黒は最後まで粘る気配でした。しかし、白には明快な決め手があります。
33. Rxc6 dxc6 34. Qh8+

黒のルークが落ちる。白勝勢。

黒のビショップとルークの連携を切り離し、その後にクイーンでチェックをすれば最後に黒のルークを取れる形になります。

最後にエクスチェンジサクリファイスが決まり、白の勝利が決定的になりました。

黒はこの後も粘りましたが、ついに投了しました。Smith-Morra Gambitの特徴である攻撃性が存分に発揮された一局となりました。


この記事のポイント

  • Smith-Morra Gambitは序盤から相手にプレッシャーを与える攻撃的な戦法。特に黒のBb4のピンを破る手筋が見どころです。

  • 序盤のポーン損を恐れず、中盤からピースを好位置に展開して攻撃の糸口をしっかり掴むことが重要。


最後に

Smith-Morra Gambitは、序盤から攻撃の主導権を握るのに最適な戦法です。この対局の解説を通じて、ギャンビットの魅力や実戦での使い方を感じ取っていただければ幸いです。

Smith-Morra Gambitのスピード感を体感するには、実際に指してみるのが一番です。次回の対局でぜひ挑戦してみてください。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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