レモン哀歌
こんばんは。
皆様、いつも私の記事を読んでくださって、ありがとうございます 。
長男が中学3年生の時の、国語の教科書を開いていました。
片付けをしていた時、古い教科書やノートをまとめて処分しようとしました。
ふと国語の教科書を開いてみると、
読書案内や 、古典、詩や俳句 、文法解説や手紙の書き方等、勉強になるものがたくさん。
読み物としても、とても良いな、
と思いとっておいたものです。
中学3年生で、
こんなに難しいこと(私にとっては)を
習ったかな、と思う内容。
その中の一つ、
「レモン哀歌」
高村光太郎の詩です 。
そんなにもあなたはレモンを待つてゐた
かなしく白く明るい死の床で
私の手からとつた一つのレモンを
あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ
トパァズ色の香気が立つ
その数滴の天のものなるレモンの汁は
ぱつとあなたの意識を正常にした
あなたの青く澄んだ眼がかすかに笑ふ
私の手を握るあなたの力の健康さよ
あなたの咽喉に嵐はあるが
かういう命の瀬戸ぎはに
智恵子はもとの智恵子となり
生涯の愛を一瞬にかたむけた
それからひと時
昔山巓でしたやうな深呼吸を一つして
あなたの機関はそれなり止まつた
写真の前に挿した桜の花かげに
すずしく光るレモンを今日も置こう
死の床という言葉は使われているけれど、
悲壮感はまるでなく、
静かで美しくて神聖な感じ。
一つずつ加わっていく色彩。
生と死と愛と。
15才。
この詩を
どんな風にとらえたのだろう。
読んでいただき、ありがとうございました。