タイムスリップオタガール

タイムスリップオタガールを読み終えた。

その名のとおり、オタク女子が過去にタイムスリップする話。

ネタバレも含みますが、暗黒時代の中学生時代に戻り、大人の視点でやり直してみると、様々な問題を解決できて、夢と希望と自信を持って楽しく生きていけそうになったところで、現代に戻ってきてしまいます。

過去のことは全て無かったことに。。。

それでも、その一部は取り戻します。

けれど、それで終了。

夢と希望とは縁のない、現実的な、でも、ほのかに幸せな現代。

そんな終わり方に、残念だという意見を書いているファンの方がいました。

失った現代から、そこから改めて夢を追う話が見たかったと。

でもね。そもそもそういう話ではなかったと思う。

夢を叶える話ではなかった。

そうではなくて、夢を見る話。

子どもの特権で、若さの特権で、特別ではない自分が特別だと思い込むことができた、好きなことを好きだというだけで満足できた、そういう青春の話なのだと思う。

大人になれば、やらなければならないことがあるし、自分の選択肢が限られていることを受け止めないといけないし、現実的なのか考えないといけないし、才能がない人間は、どこかで現実と折り合いをつけないといけない。

この話は、その枠をはみ出ることのない、特別ではない自分が、人生を謳歌する話なので、この終わり方で良かったと思う。

彼女は、青春を思い出し、華々しくなくても、これからはもう青春を忘れないかもしれない。

大人の青春の物語で、なんというか、青春を忘れてしまった大人に読んでもらいたい作品だと思った。

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