森の中で綺麗などんぐりを集めるように
最近noteを書く手がなかなか進まず、困っている。
小屋を建てた話の記事が若干伸びたのは嬉しかったのだけど、その後の記事のハードルが自分の中で上がってしまって、少し書いては止まってを繰り返してしまっている。そんなのどうでも良いはずなのに。
もともと自分の書くトレーニングのために始めたのだから、やりたいようにやったらいいのかもしれない。だから今回はシンプルに、デンマークに来てから頭の中で考えてきたことを文章に書き起こしてみようかなと思う。
一番早く起きた人は、みんなの分のコーヒーを淹れる。そのコーヒーと共に各々朝食をとって、昼ごはんのサンドイッチを準備して家を出る。そんな感じで毎朝を迎えて、気がつけば2ヶ月半が経っている。
毎日の予定を自分で決められるので、かなり自由に過ごしているつもりでも自然とルーティン化された生活が出来上がるのが面白い。
人生でいちばん自由に時間を使えているかもしれない。興味があったらいろいろやってみる。人から課されるタスクはほとんどない(留学に関わった事務作業ぐらい)ので、毎日自分でタスクを見つけなければならない。
noteを始めたのも、僕が自分に対して課しているタスクの一つ。
今のところ日本にいたときに比べて関わる人の数も圧倒的に少ないから、ひとりで過ごす時間も長く、時間をどう使うか考えることがなおさら重要になってくる。気を抜いたらサボってしまうから。
デンマークに来て最初の頃はほっといても新しい体験ができて、体に吸収するものが多かったけど、最近は意識的に良いものをみようとすることが必要だなって感じる。
「良いもの」は計画的に見つかるものでもないけど、違うところに行ってみたり、注意深くまわりを観察してみたりといろいろ方法はあるかなと思う。
何が「良いもの」なのかは言葉では説明できないけど、自分の中で良し悪しを判断するときに使うモノサシの感度は少しずつは磨けてきているかなと感じる。
僕は、直感的に良いなあと感じたものはできるだけスケッチして、描き残すようにしている。絵を描くときは自然と自分が見ている部分が取り出される。写真と違って、そのとき僕がどこに注目していたのか後からわかるのが良いなあと思う。
デンマークに来てからは、どこかに行くときは必ずペンと小さなスケッチブックを持ち歩くようにしている。2ヶ月経って一冊目がそろそろ終わりそうになってきた。
それだけ「良いもの」に出会えているのかなと思うと嬉しい。
デザイナーや建築家を目指して、知識やスキルを積み重ねる方法は様々だけど、僕は今の自分のやり方がいちばんあってるなあって思う。
自分の足で歩いて目に留まったものを集める。森の中で綺麗などんぐりを集めるように、デンマークで素敵なデザイン・景色・建築・文化・価値観その他いろいろを探して今日も1日を楽しんでいる。
別にデンマークにいなくても同じようなことはできるし、それなりにスケッチも溜まっていくのだと思う。
それでも人にはそれぞれ好みがあるから、自分が好きな分野でモノ集めをした方がハッピーになれる。僕はデンマークという今いる環境が好きだから、ここに来て良かったなって思える。
幸い僕はトビタテという奨学金で留学に来ているので、世界中のいろんなところでどんぐりを集めている仲間がいる。留学が終われば、お互いにそれを見せ合うことができるのが本当に楽しみだ。
デンマークの冬は薄暗くて寒いとか、デザインのレベルが高いとか。全く山がなくて人々の平均身長が高いとか。煉瓦造りの古い教会や木造のカラフルな建物が並ぶ景観が美しいとか。
そんなことは調べればわかるけど、その先のことを知ろうと思ったらやっぱり自分で行ってみないとわからない。そうやって経験を重ねるから人それそれ違うオリジナリティが育っていくのだと思う。
昨日叔母さんから久しぶりにメッセージをもらった。
今はオンラインで繋がって世界が狭い感じがしちゃうけど、実際に現地へ行って体験すると、文化や生活は全然知らないことだらけで、世界は広いなあと思うものよね。
僕がこのnote書きながら考えていたことにとても近かった。
知らないことだらけの方が学ぶことが多い。いろんなことが経験せずとも知識が簡単に入ってくる時代に、知らないことがまだまだあるってことに気づくことすら難しいのかもしれない。
だから世界に飛び出して、知らないことがたくさんあるってことに気づけて、世界の広さを心身で実感することって本当に大切だなあって。
好奇心を忘れなければ、綺麗などんぐりは世界中にいくらでも転がっているはずだ。