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選択的夫婦別姓制度に反対する理由


はじめに

改めて調べてわかったが、夫婦同姓制度を採用しているのは、日本だけらしい。Chat GPTに訊いてみたところ、下記のような回答だった(正確性は保証しない)。
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  1. 夫婦同姓が義務の国
    日本のみ
    1898年施行の旧民法を起源とし、現行民法(1947年)第750条では夫婦が同じ姓を名乗ることを義務とする。ただし、どちらの姓を選ぶかは自由(多くの場合、夫の姓が選ばれる)。

  2. 他国での状況
    多くの国では夫婦が姓を自由に選べる制度がある。
    慣習として夫の姓を採用するケースが多いが、法律で義務付けられているわけではない。

ヨーロッパ
スウェーデン、デンマーク、ノルウェー:完全に自由。結婚後もそれぞれの旧姓を保持することが一般的。
ドイツ:夫婦がどちらの姓を名乗るかを選べる。ただし、子どもの姓は統一する必要がある。
イギリス:結婚後の姓選択は完全に自由。夫婦別姓が多いわけではないが、法的制約はない。
アメリカ:姓を変えるかどうかは個人の選択。どちらの姓を使っても問題ない。

アジア
韓国:夫婦別姓が原則。韓国では伝統的に結婚しても姓を変えない。
中国:結婚後も夫婦はそれぞれの姓を保持するのが一般的。

イスラム諸国
夫婦別姓が一般的で、結婚しても姓を変えないことが多い。個人のアイデンティティを尊重する文化的な理由が大きい。
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このように、夫婦同姓制度は、日本に特有の制度とのことだ。したがって、選択的夫婦別姓は、国民がどういう制度を希望するかと共に、日本が世界標準に合わせるか、それともこれまでの伝統を守るかの選択でもある。

日本では、これまで選択的夫婦別姓の導入について議論が続けられていたが、2024年9月にあった自民党総裁選で小泉進次郎候補が「決着をつける」と言ったのをきっかけに、マスメディアで取り上げられることが増えた。

さらに、同年10月の衆院選での自民党敗北後、法務委員長ポストを立憲民主党の議員に明け渡したこと、石破首相が選択的夫婦別姓導入に前向きであることから、一気に制度導入の可能性が高まっている。

しかし、私は選択的夫婦別姓制度の導入には慎重な立場である。以下、その理由を述べる。

1.夫婦同姓制度は、女性差別の制度ではない

最初に、日本の夫婦同姓制度は、女性を差別する制度と認識する人がいるが、女性の姓を選択することも可能なので、制度自体は女性差別の制度ではない。

内閣府によると、2023年で女性の姓を選択する夫婦は、4.5%とのこと。SHE株式会社が2024年3月に行ったアンケートでは、30代では93.9%、20代では87.4%が改姓したとのことで、年齢が若くなるに従って女性の姓を選ぶ比率が高まっているようだ。

2.「選択的夫婦別姓賛成が多い」は間違い

前出のSHE株式会社のアンケートでは、選択的夫婦別姓制度に賛成が75.3%、どちらでもないが22.3%、反対が2.4%となった。ちょっと、これは極端な例だが、各メディアの調査でも軒並み7割超が選択的夫婦別姓制度に賛成とする。
これを見ると、夫婦別姓制度に賛成の人が過半数のように見えるし、各メディアもそう報じている。

しかし、単純に賛成か反対かと訊かれたので、賛成と答えただけで、その意味を深くわかって答えているわけではない。

内閣府が2021年12月に行った調査では「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」=賛成派が28.9%、「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」=通称使用派が42.2%、「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した方がよい」=反対派が27.0%だった。
つまり、きめ細かく見ると、賛成派と反対派は拮抗しており、旧姓の通称使用派が一番多い。これは、2024年7月のJNN調査、2024年9月の読売新聞調査でもほぼ同じ傾向だった。
メディアが一口に賛成派とする7割の中には、選択的夫婦別姓制度導入の賛成派と旧姓の通称使用派が含まれている。逆に反対派と旧姓使用派を合わせた約7割は、夫婦同姓を支持しているのだ。つまり、多数派は、同姓維持派なのだ。

3.旧姓を利用できれば、選択的夫婦別姓制度を導入する必要はない

自民党の高市早苗氏は、総務大臣在任中、総務省関連の手続き1142件で旧姓を通称として使用できるよう制度を整備した。旧姓が名刺、資格、公式文書などで広く利用可能となり、特に行政手続きで旧姓を使える範囲を大幅に拡大した​。
例えば、マイナンバーカードや住民票に旧姓を併記することができるようになり、これにより職場や社会活動で旧姓を維持したいという要望に応えた。
また、国家資格の登録名に旧姓を使用することも可能である。

このように旧姓を通称として利用できる制度や運用は広がりつつあるが、まだ一部に不都合が残っている。

■各場面での状況
1.職場での旧姓使用
多くの企業では、通称として旧姓の使用が認められている(名刺、メールアドレス、社員証など)。
2.公的文書での旧姓併記
2019年の法改正により、マイナンバーカードに旧姓を併記することが可能になった。一部の住民票、健康保険証、パスポート、運転免許証にも旧姓を追加可能。
不動産登記については2024年4月より新しい規則が施行、旧姓を併記することが可能になった。車検証の名義には、まだ旧姓が使えない。
3.資格・免許での旧姓利用
弁護士、公認会計士、医師などの専門資格では、旧姓での活動が認められる場合が多い。
3.銀行口座
ほとんどの銀行では、旧姓で口座を開設することや、旧姓を登録名義として追加することができる。一部の金融機関では、まだ対応していない。
4.学会等
学術論文や研究成果では旧姓の使用が一般的に認められており、結婚後も旧姓で発表可能。

■問題点と解決策
旧姓の利用範囲は広がっているものの、制度が統一されておらず、利用できる範囲が限定的である。特に、公的な書類では旧姓の単独使用ができない場合が多い。
これについては高市早苗氏が作成した「婚姻前の氏の通称使用に関する法律」を叩き台に旧姓使用に関する法律を制定し、不都合を解消すれば、夫婦別姓制度を導入する必要はなくなる。

4.選択的夫婦別姓制度の導入は、戸籍制度の破壊につながる

不都合を解消するために旧姓を使用するための法律を作るくらいなら、選択的夫婦別姓制度を導入しても同じでないかという意見もあるだろう。
しかし、選択的夫婦別姓制度の導入によって変わるのは、民法と戸籍法である。夫婦別姓は、戸籍の中で同姓でまとまっていた家族を2つの姓によって分断してしまう。それは、家族をバラバラにする一歩なのだ。

そもそも夫婦別姓制度の導入を強力に主張する人たちの中核には、行政のスリム化のために、戸籍の廃止論者が多い。外国には戸籍がなくても問題ないのに、なぜ日本はまだ戸籍を維持するのかという議論だ。

ちょっと聞くと、説得力のある主張のように思えるし、自分も少しなるほどと思った時期があった。しかし、ここ数年日本の治安の良さが諸外国と比較して群を抜いていることを知り、それは各人の出自がはっきりしている戸籍制度のおかげじゃないかと思うようになった。

日本人は、戸籍をたどっていけば、どこのどういう人とどの程度の関係かを知ることができる。もちろん、それが公開されているわけではないが、何か事件があれば警察がそれをたどることができる。
戸籍で登録される日本人には、自分はどこどこの子どもだからこうしないととか、だれだれの親なんだからこうしようみたいな意識がどこかにある。それが道徳心や思いやりの気持ちのどこかとつながっているのではなかろうか。
日本には、お互いに顔の見える大きな村みたいな意識がどこかにあって、それが夜女性が一人で出歩けたり、落とした財布が戻ってくることにつながっている気がする。

これに対し、戸籍のない外国人は日本を旅する人々でしかなく、雲隠れされればどこの誰だったかがさっぱりわからなくなる。旅の恥はかき捨てという言葉もあるが、家族関係が一切切られたスタンドアローンの個人だったら、ふだんの行動をする時の意識に大きな差があるように思うのだ。

日本の伝統を壊すことを革新と考える人たちがいるかもしれないが、日本の良さを壊すことには慎重になった方が良いと私は考えている。

5.大人の選択自由が子どもへの強制になる

夫婦別姓を選択すると、片方の親と子の間で親子別姓になってしまう。親は選択できたかもしれないが、子どもは選択できず、否応なしに強制されてしまう。したがって、選択的夫婦別姓は強制的親子別姓だと言う人もいる。

また、婚姻の時にどちらの姓を子どもが名乗るかを決めるわけだが、決まらない場合は裁判で決めることとされる。しかし、裁判官にはどちらの姓を選択すべきかを決める合理的な理由がないと批判される。

子どもたちに、家族の間で姓が異なるような分断を押し付けるのは可哀想ではなかろうか。

最後に

現在、選択的夫婦別姓制度は、猛スピードで議論され、議決され、導入される勢いである。また、オールドメディアは、じっくり議論を深堀することがなく、導入ありきの方向で報道するものばかりだ。

しかし、選択的夫婦別姓の導入は、日本の文化の根幹にメスを入れることになる。したがって、導入するにしろ、導入しないにしろ、じっくり論じて国民が納得した上で採否を決めるべきだ。

この問題を正面から議論した公開討論はほとんど見ないが、田村淳氏と竹田恒泰氏がYouTubeで議論しているのが面白い。二人で話していると、立場が違うと思っていたのが、意外に似た考えだったことに気づくという展開だった。
■Twitter炎上した件、竹田恒泰さんと対峙してきました。
( 田村淳のアッシュch )
https://youtu.be/owwkLlY71uE?si=Y7o_fZAFYTxdr4dh

それを観ていると、今のオールドメディアの報道は、簡単に賛成、反対のレッテル貼りを行って、誤解を生みだしていることがわかる。最終的にどちらの立場を選択しても良いと思うが、もう少しじっくり理解した上で決めた方が将来に禍根を残すことがないと思う。

以上

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