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トリッソファンクラブ

我ながらパワー溢れるタイトルを付けたものだと思う。

突然だが、自分は基本的には起用される選手へのネガティブな意見はなるべくしないようにするタイプのファンである。
程度の差はあれども選手はみんな頑張っていると思うので、試合結果に対する責任は起用した監督にあると思うし、獲得したフロントにあるものだと思うからだ。

ところで選手の中でもっともファンから辛辣な評価をされているのは誰だろうか?
答えは分かりません。
分かりませんが、今回はトリッソの話をしたくなったぞ。

さて、トリッソの評価は様々である。
「点だけ取るやつ」「守備をサボる」「知性とパワーのゲージがあるなら圧倒的に後者寄り」「多少動ける背の低いフェライニ」
うむ。あまりポジティブな意見は多くないようなので、しっかり言及させていただく。

とりあえず、そこまで点は取っていない。バイエルンではリーガ戦は3シーズン合計8得点(うち6得点が初年度)である。
守備をサボっているわけではない。守備時のポジショニングに難があり、プレースバックが非常に遅く、プレス強度も高くないというだけである。
知性よりパワー寄りなのは、まぁ、そうだな。
最後のは流石に可哀想だが、すまん、笑ってしまった。

なかなか芳しくない評価のボランチであるトリッソだが、基本的にはオフェンスの選手である。
そんなオフェンシブハーフのトリッソが、昨今で最も評判の良かった試合の代表格、それが2020年10月末頃のCLグループステージ第1節のアトレティコ戦である。
これがその配置である。

当時ネタキャラ枠として確固たる地位を築いていたトリッソ(とコマン)の活躍により、なぜか4-0で快勝した一戦である。
3点目のトリッソの弾丸ミドルはまさにゴラッソで、他リーグのチームに警戒を与えるには十分なインパクトを残した。
とにかくこの日のトップ下トリッソは非常に活き活きとしていたのだ。やはり適正は2列目だと感じる。尚、ニャブリとサネはコロナと怪我で不在だった。

さて、そんなトリッソだが基本的にはボランチの位置で使われることが多い。
まぁ、2列目の人員構成を考えると序列的にはかなり落ちてしまうため、スタメンで使わなきゃハゲる呪いにフリックがかかっている場合、起用するなら三列目になるのは仕方ない。
ここで2020年12月中旬のリーグ戦の対ヴォルフスブルクのスタメンを見てみよう。ドン!

『こいつを見てくれ… こいつをどう思う…?』
『凄く…(守備の穴が)大きいです…』

まさかの4-1-4-1でのアンカートリッソである。
カゼミロやカンテ、マケレレのように守備力が高いわけでもなく、ピルロやシャビ・アロンソのような配球力があるわけでもない。
結局は前線に出ていき4-0-5-1のようなフォーメーションになってしまうこと請け合いである。
一応、載せておこう。

ファイヤーフォーメーションという言葉がある。
"超攻撃的フォーメーション"と勘違いしている人もいるかも知れない(筆者も最初に聞いた時はそう思った)ので明記しておくが、間違いである。
"炎上案件フォーメーション"のことである。

流石に中盤の守備が文字通り穴が空いてしまうことになるが、リーガの厄災バイエルン・ミュンヘンを相手に前がかりになるリスキーな戦いをするチームは少なく、基本的には引いてしっかり守備ブロックを組んで迎え撃つ傾向にある。
するとバイエルンは、代名詞の超ハイライン陣形と変容する。
あれ…? ということは…?

な、なるほど? 守備専門のMFは入る余地が無いわけで、実に理に叶っているということだ?(混乱)

とりあえず、このフォーメーションで間違いなく良い点を挙げるとすると「キミッヒとゴレツカを休ませることができる」に尽きる。あとはTwitterのTLが荒れ気味に盛り上がるくらいである。
そりゃあ、守備力もそこそこあって気の利いたパスや飛び出しができるキミッヒとゴレツカがド安定だわな。

んなこと分かっておるわ! と皆様も思われたことであろう。でも、ちょっとここで一考してほしい。
逆に言えば、守備力とパス精度、ポジショニングと瞬間的判断力、戦局眼とその他諸々が改善すれば、トリッソはデ・ブライネもビックリのパワフルな超優秀CHへと覚醒するのだ。すまん、ちょっと盛った。
トリッソもそのことを理解しているからか、最近はチアゴを意識しているかのようなフィード、スルーパスの頻度が増えている印象であるし、まだまだ進化の余地はあるのだ。

何より、なんだかんだでバイエルンが大好きだという気持ちを快活にオープンしているトリッソは憎めないやつなのである。
ファイヤーフォーメーションだろうと結局のところ負けていないし、ボランチにトリッソが入っているからと言って「トリッソ ふざけんな(予測変換第一位)」のツイート準備をするのではなく、それは少し待ってもらい、コマンのように我々の手の平をクルクルとさせてくれることを期待しようじゃないか。

我ながら無理のある記事だとは思うが、最初に書いたように自分は選手へのネガティブな意見はなるべく書かないようにしたいのだ。
その誓いを何度も破らせようとしてくるトリッソは、なんやかんやで自分の心を変な形で鷲掴みにしてくる。これも一つのファンのあり方であろう。

そう、気付けば自分はトリッソファンクラブの会員であったのだ。

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