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へバーデン結節ミューカスシスト(粘液嚢腫)手術記録

手術当日―伝達麻酔と片腕生活―

家族に車で最寄り駅まで迎えにきてもらい、ドラッグストアに立ち寄って、抗生剤を買う。

今まで何度か日帰り手術を受けたことのある私なので、手術後当日の肝は、いかに麻酔が切れる前までに、家に辿り着くかだと知っている。手術は、受けるのは簡単。大変なのはその後なのである。
ただし今回は、伝達麻酔は、切れるのが日付をまたぐ頃だと言われた。A医師曰く「手術後の一番痛い時間帯を、伝達麻酔でしのぐことが目的」だそうだ。ありがたや。

家に着いて抗生剤を飲み、胃に何か入れるためにアイスクリームを食べる。
しかし片手では食べられないことがわかった。カップにスプーンを突き刺してアイスクリームをすくおうとすると、カップがスス―と動いてしまう。何度やっても無理で、結局家族にカップを支えてもらって食べるしかなかった。
こんな簡単なことさえ片手ではできないとは! 初めて知る片腕生活の大変さだった。
今更ながら水木しげるさんのご苦労が少しだけわかったよ、分かったなんて言うのもおこがましいけれど。

さてさて、薬を飲んだらとりあえずベッドに入って休む。
手術後にもらったリーフレットには、「なるべく腕を高い位置に…」とある。知ってる。患部に血が行くと痛いんだ。
枕を体の右側に置いて、その上に右腕を置く…って右腕動かないんだった。本当にぴくりとも動かないし、触っても何も感じない。今、右腕をもがれても痛くないんだろうなあ。

左手で右腕をつかんでお腹の上に載せ、左手で右手のあちこちを触ってみた。感覚は他の物体だが、温かいし柔らかい。「私の大切な右手」という思いになる。痛覚はないのにちゃんと血が通っているのが不思議だ。右手がこのまま麻痺したままだったらどうしよう。どうか無事麻酔がさめて、元通りになりますように。

午後10時頃になって、右腕の感覚がゆっくりと戻っていくのがわかった。
同時に患部の痛みも出てきた。痛み止め(ボルタレン)を飲んで、眠るしかない。





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