ガンダム、明日なき転売WAR
瞬殺‥‥‥
ここ数年、『機動戦士ガンダム』関連のプラモデルやフィギュアがネットで販売開始されると、瞬く間に売り切れる。そして程なくフリマサイトや大手ネット販売サイトのマーケットプレイスで、大量に出品される。定価の倍以上で。つまり高額転売である。特にもともと高額帯の値付けがされているフィギュアに至っては、目もあてられない金額に跳ね上がる場合も珍しくはない。
ガンダムの立体物は長きにわたり販売されているプラモデル、通称ガンプラが主力商品である。その生産技術の向上には目を見張るものがある。きちんと技術が蓄積されていることが、ガンプラの歴史をたどると見て取れる。完成品モデルのフィギュアにもその技術が見事に応用されていて、高い金額でも手に取りたいという顧客層は多い。メーカーが決めた価格であるならば納得するファンが多数だろう。
ガンプラは最近増産という手法で転売する勢力(以下転売ヤー)に対抗しているが、実質いたちごっこをつづけている。筆者は約40年前のガンプラブームを経験しているが、あの時も工場はフル稼働だったろう。ただあのころは、転売ヤーはいなかった。メーカーは「いいものをつくれば売れる」の精神で停滞してはいまいか。
ガンダム商品の顧客選好度は高い。ただ販路であるカバー率への配慮を、メーカーは著しく欠いていると言わざるを得ない。いいものをつくっても顧客ではなく、転売ヤーに卸しているだけというのは極論か。いや、そうでもあるまい。
直販サイト限定だとか、直営の旗艦店に大量に集中させるという方策を取っているが、おかげで、かつてのガンプラブームを支えた街の模型店はもはや虫の息である。量販店に至ってもガンプラコーナーはたいていスカスカである。
メーカーは顧客の囲い込みだけではなく、カスタマーに商品を届ける戦略をもっと真剣に考えてほしい。そうでないと岩盤支持層といえども疲弊しすぎて離脱するだろう。
たとえば高額帯のフィギュアに至っては受注生産に切り替えるのも一案である。また、時にはオールアナログの売り方に変えるのも手である。全国の小売店にメーカー社員を派遣して、直接申し込んできた者だけに予約を許す。その際身分証明書の提示を求め、複数買いを防止する。ネット販売はなし。などなど様々な販売チャネルを駆使することが、今こそ求められている。