ラブトロス好き好き記事〜ラブトロスとは何者か
はじめに
この記事は種族統一アドベントカレンダー2023 1日目の記事です。
種族統一とは基本的に図鑑番号が同じポケモン3-6匹で構成されたパーティーにおける対戦形式のことを言います。2023年現在では主にポケットモンスタースカーレット・バイオレットにて「リピートボール級」 と言う疑似ランダム対戦する場が用意されており、そこで統一パによる戦いが行われています。また本編以外の関連作品、ポケモンカード、その他グッズ関連等で1種族のみにこだわった遊び方をした場合、それを種族統一と呼ぶこともあります。
種族統一アドベントカレンダー2023ではこれから毎日種族統一に関連した記事が上がります。興味のある記事がありましたら是非当日、そのページへアクセスしてみて下さい。
さて皆様、ラブトロスと言うポケモンをご存じでしょうか?当記事を御覧の皆様なら知らないと言うことは無いかも知れません。イッシュの3匹の化身ポケモン達に追加された4匹目で、タイプがフェアリー/ひこう。そこまでは知ってるけど正直得体が知れない存在。そうお感じの方もいるかも知れません。
当記事では筆者がラブトロスに関連して調べたことをあれこれ長々書いていこうと思います。これまで筆者はTwitter(現X)においてそこまでラブトロスへの愛を語ってこなかったので、この記事を通じて筆者のラブトロスへの愛(ラブ)、そしてこのポケモンのもつ独特な魅力について伝われば幸いです。
第一章 らくとせ、ラブトロスと出会う
時は2022年1月28日金曜日。筆者は「Pokémon LEGENDS アルセウス」(以後LAとする)をプレイする為、休暇を取っていた。待ちに待ったポケモン新作!よーし今日は思う存分ポケモン世界に浸りまくるぞー!…と言うテンションではなかった。実は当初このゲームへのモチベーションはそれ程高くなかった。友人と対戦出来る訳でもないし、HOME連携も当分先。となればマイペースに進めても良いだろう。別にネタバレを踏んでも構わないか。筆者はTwitterをちらちら眺めながらのんびりLAを…
\やぁリージョンフォームハリーセンとその進化形だよ!よろしくね!/
この瞬間、筆者の脳内ギアは1速から一気に5速へと変速した。ハリーセンと言えば筆者が最もお気に入りとして殿堂入りとなっているポケモンである。そこまでの人気ポケモンでないのに剣盾の大量リストラを生き残り、Newポケモンスナップにも何故か登場していたこのポケモンがLAにただ登場するどころか新形態と進化形を携えて登場したのである。どこに生息しているか目ん玉を中華鍋の如くかっ開きながら、群青の海岸を隅から隅までサーフしていたその時、そいつは現れた。本筋でないので割愛するが、結局オヤブンハリーマン統一を爆速で育成し、EDまでにっこにこ笑顔でプレイする筆者の姿がそこにあった。
さて後は伝説のポケモン捕獲だけかー。幻捕獲出来るのは凄いけど大体既存のポケモンかn
!?!?!?!?
その時筆者らくとせの脳内に走ったイメージ!!
①体色ピンク!②頭にトゲ!③吊り目!④たらこ唇!
更に⑤ハリーマンとラブトロスの図鑑番号がお隣さん
∴ラブトロスは色違いハリーセンの一種だ(錯乱)
実際見た目の共通点が多いから好きになった部分はあると思う。私は以前、レジドラゴをとても気に入り全ボール捕獲(剣盾で入手可能な25種)+色違い捕獲までやったが、勿論ラブトロスでも全ボール捕獲した。
上画像でモンスターボール→スーパーボール→…→ウイングボール→ジェットボール(右下の子はウイングボール被り)である。
SVに連れて行くと全てストレンジボールになってしまうが内部データでは生きてるからセーフ。
第二章 ラブトロス序論
まずは基礎データを書かないことには始まらない。
いわゆる準伝説ポケモンの1匹であり、イッシュ地方で初登場した3匹の化身ポケモン(トルネロス、ボルトロス、ランドロス)に加わる形で登場。図鑑説明はLAで書かれた物がポケモンHOMEや公式サイト「ポケモンずかん」でも使われており、
LA作中での言及はコギトのセリフのみであり、
(捕獲前イベント)
コギト「じつはのう……もう一匹おるのじゃ 参れ」
ラブトロス「ああ~い」
コギト「ラブトロス 春の神様ともいわれるポケモンじゃ」
「特に悪さなどせぬが図鑑をつくるのじゃろう?」
「捕まえるといいぞ いつもは紅蓮の湿地あたりを飛んでおるだろうし」
ラブトロス(主人公に挨拶して去る)
(捕獲後)
コギト「おお ラブトロスまで捕まえたか」
「ラブトロスはのう 冬がおわるとヒスイにやってくるゆえ 春の神様ともいわれておるのじゃ」
「いてくれるとヒスイのあちこちに運んでくれて重宝するのだが しばらく そなたに預けておくか」
主人公選択肢「しばらく?」「預ける?」
コギト「そなたとていつまでも 生きるわけでもあるまい そういう意味でのしばらくじゃ」
「ほれ うつしかがみじゃ」
「ラブトロスたちに使うと 姿を変えるでな」
「そなたもラブトロスたちもそう よい意味でかきまわしてくれおる」
「そうでなければ長い人生は味気ない」
「畑の神がいる 春の神がいる」
「ヒスイの空を飛びまわり 命を芽吹かせる……か」
「渡すべきものは すべて渡した あとの歴史は そなたたちにまかせる」
以上のコギトの台詞から新たに判る事は
①ヒスイ地方で春の神様と呼ばれている
②悪さをしない→ランドロスと同様善の側の神である
③主人公が死んだ後も生き続ける→かなり長命な種である(寿命がない?)
最後にラブトロス様写真集
第三章 ラブトロスは「かわいい」?「気持ち悪い」?
さてラブトロスの魅力について語っていきたいが、その前にこちらのサジェストを見ていただきたい。
こちらはラブトロスをGoogleで画像検索した際のサジェストのスクショ(一部)である。左へのスクロールが見えている時点でトップでないことは分かると思うが、「かわいい」とある。Googleでの検索内容が実際そうであるかは分からないが、他にビジュアルに関する言及は無かった。Twitter(現X)で「ラブトロス かわいいor可愛い」で検索すると一定数そう言った意見が散見される。
では次にMicrosoftのポータルサイトであるBingのサジェストである。
こちらはサジェストのTOP10の中にハッキリと分かる「気持ち悪い」の文字。実際Twitter(現X)やYouTube等で見て筆者は分かっている。
ラブトロスはビジュアルに関して良くない評価を受ける事の方が多い。
第一章で示したように筆者の中では、ラブトロスは自分の好きな色違いハリーセンに似ててイケてる!の評価になる為、ここでは敢えて気持ち悪く見える要因について考えていこう。
筆者がラブトロスを見た時にパッと考えたのは"若さ"と”老い”、相反する要素の同居が混乱を生じさせ、その感覚が気持ちの悪さを引き起こしているのではないかとする仮説である。この仮説の元、ラブトロスのデザインの要素を分解してそれぞれについて考えていこう。
①ラブトロスの体色
ラブトロスを見た時、まず体色のどぎついピンク色は嫌でも(嫌じゃないが)目に入る事だろう。ピンク色の持つ意味について、Google先生と同様有名企業であらせられるAdobe先生に意見を乞うとしよう。
ポケモンの体色は描き方次第で色調自在な為、全般的に見ていくとしよう。
まず「女性的」「優しさや思いやり」「育成」「愛」、なるほどこれらはラブトロスの設定と違わない物である。メスonlyなポケモンだし、図鑑説明にも"慈愛がヒスイの地に新しき命を芽吹かせる"とある。
「燃えるような情熱」「恋愛」「色欲」、確かにラブトロスは特性1がメロメロボディであり、ポケモン達にとってはとても魅力的なボデイに違いない。首に巻き付けた尻尾には赤くて情熱的なハートマークが多数描いてある。
「感情的」「臆病」、下図にポケモンSVシーズン11ダブルランクバトルにおけるラブトロスの性格についてポケモンHOMEから抜粋した。半数以上が「ひかえめ」、そして第2位が「おくびょう」となっている。そしてラブトロスの分類は「あいぞうポケモン」。素直に漢字変換するなら"愛憎"であろう。感情を出すことには"控えめ"で"臆病"なのかも知れないが、内に愛や憎を秘めていると考えるならば矛盾する事は無いように思う。普段控えめな者程、愛や憎が爆発した時には恐ろしい物があったりなかったりする。
「子どもっぽさ」「未熟さ」、これははっきりと"若さ"のイメージにつながる物であろう。つまりここまで、ピンクの持つ"若々しく情熱的な恋愛少女"のようなイメージがラブトロスに生じることになる。
②ラブトロスの頭、顔
次に頭、顔について見ていく。
まず頭部についてだがこれはハッキリと"老い"を示しているだろう。まず色が年寄の象徴、白髪である。漫画的表現で言うなら白髪は必ずしも老いを表現しない。しかしハートマークを模したであろう髪型から何となく古臭さを感じないだろうか。この髪型は古代中国の飛仙髻(ひせんけい)と言う髪型を想起させる。
つまり白髪+古代の髪型=老人のイメージが強くなる。
次に顔だ。美容外科クリニックのブログの内容より童顔、大人っぽい顔のそれぞれの特徴とラブトロスの顔を比較してみる。
1.額の広さ→額が広いので童顔的。
2.目の大きさ→かなり大きいので童顔的。
3.目の形→切れ長吊り目なので大人っぽい。
4.目の位置→低めなので童顔的。
5.顔の形→丸顔でなく面長なので大人っぽい。
6.鼻→鼻が描かれていないので童顔的。
7.顎→シャープなので大人っぽい。
8.頬→脂肪が少ない感じなので大人っぽい。
見事に大人っぽさと童顔感が同居した顔と言える。
上記のブログには唇について言及が無かったので、まず花王のサイトより唇の形について。これに関しては10代の物が最も近いように思えるので童顔的と言えるだろう。
一方、唇の色に関して、ラブトロスの唇の色は白であるが医療サイト(Medical Note)で唇が白く見える場合の原因について、唇の乾燥、体の冷え、過度なストレスや疲れ、もしくは一部の疾患により生ずるとある。決定的なのは上記サイトの自律神経失調症の欄で「更年期などが発症の引き金」とある。白い唇は不健康さや"老い"を感じさせる要素かも知れない。
一通りラブトロスの頭、顔について見てきたがやや老いが優勢と見ざるを得ないかも知れない。実際他の化身ポケモン達が"おっさん"と言われてきたことを考えると、そのイメージからこちらも"おばさん"と取られても仕方ないように思う。
③ラブトロスの尻尾
次に注目したいのは首に巻き付けた蛇のようなその尻尾である。化身フォルムで蛇に見えるかどうかは人によるかも知れない。だが霊獣フォルムにおけるラブトロスの姿と他の3匹の霊獣ポケモンの姿を比較すると4匹で四聖獣となるようデザインされていることが推察される。
スッポンのような見た目から霊獣ラブトロスは玄武担当となり、その尻尾は蛇モチーフと言う説が濃厚になるのである。
蛇の持つ伝統的なイメージに関して、こちらに広島大学の元教授である近藤良樹氏がまとめた昔話・神話にみる蛇の役柄と言う研究論文がある。25ページにわたる論文である為、ラブトロスのイメージに重なる部分を一部抜粋する。(抜粋も長いので飛ばしていただいても問題ない)
まず蛇は伝統的に「永遠の生」を司る。そこからのイメージは「永遠の若さ」と取る事も出来るし、実年齢はかなりの年かも知れないと言うところから「精神は老成している」と取ることも出来るかも知れない。蛇のもつ女性的なイメージは万国共通らしく、これはラブトロスのイメージに合うものであるが、”無口・無表情・忍従・執着”とあるように底の知れない恐ろしい女性のイメージが強くなっている可能性はある。
そして何より蛇は色欲の象徴とされていることにも注目したい。ピンク、ハートマーク、蛇、メロメロボディ…一つ一つならば直ちに色欲に結び付かないかも知れないが、複合することでかなりその印象が強くなっていると言える。
④ラブトロスの性格
ここまで見た目のイメージで話してきたが、作中で語られるラブトロスの性格は”慈愛に満ちた豊穣の神”である一方"憤怒の罰を下す容赦ない神"である。これらの性格はかなり「母ちゃん」である。「お母さん」って感じよりも「母ちゃん」である。世の中には幼女に母性を見出す男性も一部見受けられるが、一般的に子どもが大人を叱ることは稀である。
つまり性格に関しては自分よりかなり年上のイメージが強くなる。
⑤ラブトロスの”気持ち悪さ”とそこから感じる魅力
さてここまでラブトロスの持つ要素を主に「若さ」「老い」と言う観点から考察していったが、いかがだったろうか。顔や性格を見ると中年~老人と思われる要素が多い一方、体色や尻尾(蛇)を見ると若年を思わせる要素が多い。つまりラブトロスは”人生の先輩たる厳格な女性”のイメージと"若々しく情熱的な少女"のイメージを同居させたようなデザインになっている。相反する二つの要素が頭の中で喧嘩し、その結果が”気持ち悪さ”に繋がっていると筆者は思う。特にピンク、蛇、ハートマークから来る強い”色欲”のイメージはラブトロスを老婆のように思う方々にとってはかなり受け入れ難いものにしてしまっているように思う。蛇のもつ伝統的なイメージ、”底知れぬ恐怖”が足されれば尚更である。
しかし、それでも筆者はラブトロスは魅力的なポケモンであると言いたい。ラブトロスに魅力を感じる人は上記の相反する様々な要素を頭の中で融合し得る人だと思っている。「若さ」と「老い」の要素を一身に背負い、時に無邪気に、時に厳格にふるまう底知れない神。逆に言えばイメージが完全に固まってしまっているようなポケモンと違い、いくらでも想像の余地が生まれる奥深い存在と解釈することも出来るのである。人は「底知れぬ未知」に恐怖を感じることが多いが、逆にその未知をワクワクするものと捉え、知ろうと積極的なアプローチをしていく者も存在する。ポケモン全体の中で登場して間もないこの存在が今後どのような活躍を見せていくのか。どのような一面を我々に見せてくれるのか。全体から見ると少ないかも知れないラブトロスファンの一人としては、「得体の知れない年齢不詳ワクワク神」ラブトロス様を今後も楽しみに見守っていきたい。そう思う次第である。
第四章 ラブトロスよ、神話になれ
最後にラブトロスのモチーフについて語りたい。トレーナー達の勝手な妄想かも知れないが、ラブトロスの見た目の様々なシンボルには各国の神話からとられていると見られる要素が多く、ラブトロスの神様っぽさを後押ししているのである。一つずつ見ていこう。
①宇賀神(宇賀弁財天)
まず宇賀神(うがじん)である。宇賀神は蛇の体に女性or翁の頭をもつ、日本の中世以降の民間信仰における福の神である。食物や農業の神とされる。蛇モチーフな点、豊穣の神である点がラブトロスと共通している。女性か翁かと言うイメージを融合した結果、顔が老婆っぽくなったのかも知れない。
宇賀神は後に幸福、利益、知恵、財力の神とされる弁財天と習合され、宇賀弁財天として信仰されることもあった。
その姿は女性の体に宇賀神型冠を被った姿である。冠にも顔が付いている大分攻めたデザインである。女性の体が中心で、蛇が付属品となっているのはこちらのイメージに近いか?
②ゼピュロス
西風の神であり、春の訪れを告げる豊穣の風の化身である。男神であり、何人もの妻をもったと伝えられている。春、豊穣、モテモテ→メロメロボディと言うイメージがラブトロスに合致する。ちなみにゼピュロス含む風の神(アネモイ)は4柱おり、北風ボレアース、南風ノトス、東風エウロスと西風ゼピュロスとなっている。4柱いると言うのも化身ポケモン達に共通している。
余談ではあるが、共通する語尾の「ロス」にも触れよう。ギリシア神話に出てくる男神は、クロノス、ウーラノス、エロース等「-オス」で終わる名前が多い。これはギリシア語の-ος(オス)が男性名詞を表す語尾であり、男神の名前にはこれが付くことが一般的だからである。トルネロス、ボルトロス、ランドロスが何となく神っぽい名前に見えるのはこの男神に付く語尾との共通性による効果と思われる。
一方、女神=女性名詞に付く一般的な語尾は-α(-ア)であり、ガイア、アテナ、ヘスティア等がそれに当たる。この法則に則るなら本来ラブトロスはラブトロア、ラブトラのようになるべきだが、他の3神に合わせた方が統一感が出る為、このようにしたのであろう。
③玄武
超有名な聖獣である。亀の体に蛇の尻尾をもち、北方を守護する。
ちなみに亀は「長寿と不死」、蛇は「生殖と繁殖」の象徴で、亀がオス、蛇がメスでこの2匹は後につがいとなるらしい。玄武が守護するのは冬であり、ラブトロスの司る春とは真逆の季節になっているのが面白い。
おわりに
以上、種族統一アドベントカレンダー1日目にして対戦関係ないラブトロス考察・解説記事を書いてしまったらくとせでした。ラブトロス統一でしっかり対戦したあかつきにはそちらの方も上げようと(今のところは)考えているので、よろしくお願いします。
明日はすずりさんによる「種族統一をイチから作ってみよう」(予定)と言う記事です。種族統一未経験者にはうってつけの記事となっておりますので、興味ある方は是非ご覧下さい。
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