台所

　私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う。どこのでも、どんなのでも、それが台所であれば食事をつくる場所であれば私はつらくない。できれば機能的でよく使いこんであるといいと思う。乾いた清潔なふきんが何まいもあって白いタイルがぴかぴか輝く。ものすごくきたない台所だって、たまらなく好きだ。
　有名過ぎる小説の冒頭。かく言う私も台所でよく寝てる。寝室に行くのが面倒くさい時に。ばなな様のキッチンはオシャレなイメージ。画像を探すのに苦労いたしました。
　うちの台所はジャーも電子レンジも出しっぱなし。機能性重視の取っ散らかり台所。キッチンという感じはない。
　つらくないなのに、つくらないと読んでしまう。あえてのひらがななのか。
　アイランドキッチンでいつでも子どもと夫が見られて、家族団らんと思っていたが、うちの台所は一区間の部屋みたいになるので、こっそりおやつを盗み食いしたり、作っているおかずを試食したりしている。疲れた時は、そのまま寝そべりタブレットを見たりもしている。快適だ。
　夫がコーヒー好きで、生の豆を焙煎したり、自動のコーヒーミル器があったりして、ゴタゴタ感が半端ない。最近は自動食器洗浄機の調子が悪く、お皿も手洗いのため積み重ねられ、山のよう。
　おしゃれキッチンは夢のまた夢なのだった。