第二十四回 坂本龍馬『船中八策』
今回は、歴史に詳しい高校生がいて助かりました!
近代日本のもととなった文書?
一策 天下ノ政権ヲ朝廷ニ奉還セシメ、政令宜シク朝廷ヨリ出ヅベキ事
二策 上下議政局ヲ設ケ、議員ヲ置キテ万機ヲ参賛セシメ、万機宜シク公議ニ決スベキ事
三策 有材ノ公卿諸侯及天下ノ人材ヲ顧問ニ備ヘ、官爵ヲ賜ヒ、宜シク従来有名無実ノ、官ヲ除クベキ事
四策 外国ノ交際広ク公議ヲ採リ、新ニ至当ノ規約ヲ立ツベキ事
五策 古来ノ律令ヲ折衷シ、新ニ無窮ノ大典ヲ撰定スベキ事
六策 海軍宜シク拡張スベキ事
七策 御親兵ヲ置キ、帝都ヲ守護セシムベキ事
八策 金銀物貨宜シク外国ト平均ノ法ヲ設クベキ事
どうやら、あの有名な
五箇条の御誓文(教科書ででたな..)の元ネタらしいです。
たしかに比べると似ています。
一 広ク会議ヲ興シ万機公論ニ決スヘシ
一 上下心ヲ一ニシテ盛ニ経綸ヲ行フヘシ
一 官武一途庶民ニ至ル迄各其志ヲ遂ケ人心ヲシテ倦マサラシメン事ヲ要ス
一 旧来ノ陋習ヲ破リ天地ノ公道ニ基クヘシ
一 智識ヲ世界ニ求メ大ニ皇基ヲ振起スヘシ
共通している内容としては
朝廷(天皇)をトップにおいて、欧米スタイルの政治経済を導入すべし!
といったところでしょうか。
「船中八策」のほうでは国防について言及していますね。
ちなみに「マイフェイバリット策」は第三策の、
「イケてる人材は登用しようぜ!」
派閥(藩閥)主義を乗り越えよう、という意志を感じる一文です。
旅の空に何を思うか
すみません、個人的にはあまり龍馬を知らず、
この「船中八策」がいつ頃書かれたか知らなかったので、
勝手な妄想をしていました。
無名時代の龍馬が船に乗って旅しながら
「日本をこうしちゃるぜよ!」みたいに語ったのかなあ、と。
そうだったら熱いなあ、と思いつつ、
どうやらこの時代の龍馬は「薩長同盟成立後」のネームドだったようで。
この妄想を手助けしたのが映画『モーターサイクルダイアリーズ』。
これは革命家チェ・ゲバラが医大生時代に南米をバイクで旅した日記をもとにした
映画(原作もロマンチックな文章でよい...)です。
ちょうどこのテキストと同時に見たのでゲバラと龍馬が重なってしまいました。
思うに、旅をしていると視野が広くなったり、
自分が空しくなったりすることで、ひらめくものがあるのでしょうか。
あらためて映画で「おお..」となった場面は
療養所で誕生日を迎えたゲバラのスピーチ。
「わたしたちはラテンアメリカというひとつの混血国家です」
というもの。
この考えも派閥主義を排したものですし、
なにより「船中八策」と「五箇条の御誓文」にも見える
「和魂洋才」に通じるものがあります。
このように、国家や民族独自のアイデンティティを第一に置くことで、
結束が強まるものなのだなあ、という普遍性を感じました。
この変わりゆく時代において、
イデオロギーはどのようなスタイルを取るのか?
統一に向かうのか、はたまた分散していくのか?
個人的に注目ポイントです。
以上です。
次回は引き続き「社会制度」に関して
与謝野晶子『階級闘争の彼方に』
https://www.aozora.gr.jp/cards/000885/files/3642_6555.html
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