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刺客の名はアンパンマン

【2011年6月3日】10カ月の娘は…

アンパン♪ 食パン♪ 頭脳パン♪

もしも頭脳パンマンがいたら、ドラえもんにおける出来杉君みたいなポジションだろうか。異質な扱いを受けるのは確かだ。そんな戯言はさておき、ついに我が家にもパンの国から「アンパンマン」という名の刺客が送りこまれて来た。しかも、たくさん。家の中、至る所にアンパンマングッズが転がっている。
僕はワナワナと危機感を抱いている。このまま増え続けたら、家の中はアンパンマン独裁国家、パンの国になりそうだ。たいしてチャーミングとは言えないアイツは、何故にそこまで子供の心を鷲掴みにできるんだろうか?
今更ながら色々と考える内に、あの彼のテーマソング『アンパンマンたいそう』に行き着いた。そこに、こんな歌詞が出て来る。

アンパンマンは君さ 勇気を出して
アンパンマンは君さ 信じることさ
ほら輝くよ
君は優しいヒーローさ

こんなサビなのである。およそ30分間、ひたすらアンパンマンが活躍するアニメを見せられて、エンディングでこんな曲を聞かされるのだ。衝撃だ。子供は当然ビックリすると共に洗脳されてしまうだろう。だって、「君=アンパンマン」なのだから。こうして、子供たちはアンパンマンに自分を重ね合わせていく。これで好きにならなければ、相当の天の邪鬼坊やである。

10ヶ月の娘は「あうー」とか「たー」とか短いフレーズの奇声ばかりを発しているので、「アンパンマン」と言えるのは、まだ少し先のようだ。でも、言えるようになったら、奴の必殺技とされている「アーンパーンチ!」を食らわされることは必至だろう。それに備えて、この6月からジムで体を鍛えようと思う。
もちろん、娘のアンパンチなんかでやられてはあげない。アンパンマンには登場しないデタラメで不気味なキャラになりきって、世の中の厳しさをトコトン教えるつもりだ。天の邪鬼をこじらせた父親を持った娘は可哀想かもしれない。

<文・フルタジュン>

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