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新型コロナあるある人物図鑑
注意:このコラムは最初から最後まで冗談でできている。学術的根拠へのリンクのない冗談コラムなので、お金を出す価値があるかどうかは微妙。
2020年から今日までにソーシャルメディアで出会った特徴のある人たちを、徐々にまとめていく。本当にいろんな人がいることを思い知らされた4年間である。これはある意味、新型コロナウイルスのおかげかもしれない。
知識が経験と理性から成り立っていると言ったのは哲学者のカント(Kant, Immanuel. 1724‐1804)だ(『純粋理性批判』)。カントは知識を
経験に依存しない知識(アプリオリな知識)
経験に基づく知識(アポステオリな知識)
に分けた。これからまとめるのは、理性を失い、アポステオリな知識のみで語る人を観察した「純粋痴性批判」である。
肖像その1)ウイルスは実在しないと言いはる人々
いまだにいる。「ウイルスの実在は証明されていない」と言う。腹が立つのは、手当たり次第に行政に「ウイルスの存在を証明する行政文書を出せ」と言うことだ。「行政文書」にそんな内容のものがあるはずないだろう。ウイルスに戸籍があるとでも思っているのか。
このタイプにはウイルスの電子顕微鏡写真を見せても納得しない。肉眼で観察できるものしか信用しないということだろう。しかし、私たちは「目に見えない力を想像する」ことができたからこそ、科学をここまで発展させることができたのである。「見えないから実在しない」と決めつけるのであれば、万有引力の法則も「ない」ことになる。
万有引力の法則があると仮定して計算すると、探査衛星を月と地球の引力を利用して、少ない燃料でも火星まで飛ばすことができた。1998年7月4日に打ち上げられた火星探査衛星「のぞみ」の事例だ。これは万有引力の「存在証明」でもある。
同じように、新型コロナウイルスも「ある」と考えたほうが、様々な事象を矛盾なく説明できる。ウイルスが浮遊することや、特殊な受容体(新型コロナではACE2受容体)がウイルスを体内に引き入れてしまうことが判明している。あらゆる状況証拠がウイルスの存在を示しており、存在を疑うべき状況証拠はない。
それにしても、医療崩壊までして猫の手も借りたいような時期に届いたナンセンスな行政文書開示請求に対して、きちんと返答している方々には頭が下がる。法律上、必要な対応であるが、個人的に言わせてもらうと、このような理不尽な請求は3年くらい寝かせてくれても文句はない。ただでさえ忙しいパンデミック対応のときに、こんなことで手を煩わせるのは、ネットでいうDoS(Denial of Service)攻撃であり、結果として不利益を受けるのは市民だからである。
肖像その2)なんでもワクチンのせいにする人々
有名人の訃報が出るとにわかに活気づく。自説の強調に人の死を利用する唾棄すべき人々。だいたい、そんなことを言い出すなら、朝食のパンもコーヒーも怪しめる。「死ぬ直前にパンを食べていたらしい」「きっとそれだ」と言い合っているようなもの。
ワクチンをうてば延々とSタンパク質が体内でつくられて病気になるとか、免疫不全になるとか、いろんなことを言ってくれるが、もしも前者が事実なら、延々と体内でSタンパク質に対する抗体(抗S抗体)もつくられ続けるはずだから、レプリコンワクチンが出る幕もない。後者が事実なら、接種して未感染の人たちが、次々と病院送りになっている。
この人たちには、反証を認めないという特徴があるということだ。科学の基本は仮説‐検証であり、検証の基本は反証探しである。反証が出るまでは、いったんその仮説を正しいものとしておくのが科学的態度だし、逆にいうと、反証が出たらすみやかにその仮説は棄却するものである。
仮説「mRNA新型コロナワクチンをうつと免疫不全となる」
傍証「血液検査したらIgG4抗体が増えている。リンパ球も減っている!」
反証「でもワクチンを接種して、新型コロナ未感染の人に感染症罹患は増えていない」
これで話は終わりだ。なのに、いまだに傍証にしがみついて意見を変えない。非科学的である。接種でリンパ球が減るのはリンパ球シャットダウンという現象で、これが起きるのはむしろ正常で、かつ、免疫不全になることもない。
どうも「ワクチン」がカタカナ語な上、今回はmRNAワクチンといういかにも遺伝子組み換えっぽい名前のついた薬剤が出てきたので、それで拒否反応が出ているのかもしれない。ワクチンは病原体の抗原情報を体内の免疫に事前に教えて、準備させる役割のものであり、じつは東洋の知恵だ。
インドや中国では紀元前10世紀くらいから、天然痘患者のかさぶたを健康な人の鼻や傷にあてがって、軽く感染させることで、天然痘に感染しにくくする方法がとられていた。これを「人痘接種法」という。ちょい感染で免疫に準備をさせるというのは、人間の自然治癒力を高める方法論であり、とても漢方的なやり方なのである。「食事と睡眠で免疫力を高めていれば感染などしない」と頑張る自然派がワクチンを敵視するのは、哲学的にいって間違いだ。
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