山形の魅力を伝えたい。さかいかんな「ふるさとで描いたイラスト展」
山形育ちならではの視点でふるさとの魅力を発信
髙橋:さかいさんの展示会のおかげで、公園に来てくれる人がいつもより増えています。ありがとうございます。
さかいさん:いえいえ!とんでもないです!こちらこそ、ふるさと公園さんでの二回目の展示の機会をいただけて嬉しいです。
髙橋:今回の展示会には、どのような想いが込められているんですか?
さかいさん:ふるさとである「山形の魅力を伝えたい」というのが一番大きなテーマかな、と思います。私自身、山形生まれの山形育ちでありながら、大人になるまで山形の魅力に気付けていなかったんです。
髙橋:「田んぼと畑ばっかりで、何も無い」なんてよく言われたりしますもんね……。
さかいさん:でも、視点を変えてみて、はじめて見えてくるものもあることが分かったんです!自然が豊かなことはやっぱり贅沢なことだし、そういう場所で育まれた感性みたいなものは、何ものにも代えがたい財産だなぁと。
髙橋:わかります!私も都会に憧れていた時期がありましたが、むしろ、この緑こそが私たちクリエイターの大きな武器だよな、と。
さかいさん:ですよね。別に都会と田舎どっちが正義とかってワケじゃなくて、それぞれに良さがあります。その良さをどう感じて、どう活かすかは人それぞれで……。山形で生まれ山形で育った人にこそ「実はまだまだ知らなかったこんな魅力もあるんです!」ということを、山形人の私だから伝えられるモノもあるんじゃないかと思い、この展示会を開きました。
人生観を変える新たな出会い
髙橋:今回の展示会には結構な点数の作品を出されていますが、特に思い入れの強いものなんてありますか?
さかいさん:うわ~、その質問は困りますね~(笑)髙橋さんもいろいろデザインされていて、「コレが一番!」って多分決められないですよね?
髙橋:仰るとおりです(笑)今まで手掛けたどのコも全部かわいくて、優劣なんてつけられないですよ。
さかいさん:それでも強いて挙げるのだとすれば、『アマゾンと、山形の人類遺産』ですかね。一番最初にお仕事として手掛けた作品でもありますし、文化人類学者である山口吉彦さんの生き方に触れることができました。この出会いがあったからこそ、私は「山形らしさ」を再発見できましたし、自分の人生観に新しい考え方が加わりました。
髙橋:そこで山形の魅力を再確認したんですね。じゃあ、はじめてのお仕事がこの展示会につながっていると。
さかいさん:あ!思い起こせばそうですね!もちろん、当時は目の前のことをこなすのに一生懸命で、ただひたすらに描いていましたケド(笑)
髙橋:展示会にもいくつかパターンがありますもんね。今回のように「今までの作品を並べるもの」と「展示会用に新たな作品を生み出すもの」と。
さかいさん:私は山形でお仕事をさせていただくことが多かったので、山形にテーマを絞るという意味では、今までの作品をそのまま持ってくることができました。
髙橋:イラストのお仕事を続けていく中でも、やっぱり出会いってたくさんありますか?
さかいさん:あります!私は完全にひとりでイラストレーターをやっているので、先方とのやりとりもスケジュール調整も全部が一人です。「出会いがあるからこそ、いろいろなお仕事をいただけている」というのは強く感じます。
髙橋:一人でやってみて、はじめてその大変さに気付いたりするんですよね。
さかいさん:そうなんですよ。イラストレーターとして独り立ちする前は、漠然と「ずっと絵を描けるのってすごいコト」と思っていましたが、実際にお仕事として向き合うとギャップがあることを知りました。イラストを描くために手を動かしている時間よりも、メールを打ったり電話をしたり……そういう裏での作業の方が多い日もあったりして。
髙橋:でも、そんな時間があるからこそ、有意義だったりもするんですよね。
さかいさん:ふとした会話がきっかけでアイデアが閃いたり、新しい技法を知ることになったり。もちろん、ひとつの出会いが新たなつながりを生んでくれたりも!
髙橋:山形県民である我々は、つながりの大切さを小さい頃から学んでますもんね。
「こだわり」と「これから」
髙橋:今後の活動について展望などあれば教えてください。
さかいさん:はじめてのお仕事の時からですけど、私はやっぱりまだ目の前のことに一生懸命なばっかりで……(笑)先のことをあまり深く考えたことはないですが、アナログで描くことにはこだわっていきたいです!
髙橋:デジタルでは表現できない魅力が絶対にありますもんね。アナログだからこそ、質感にこだわれたり、どんな紙に描くかにこだわれたり。それこそ、「紙に描く」という概念すら飛び越えられますよね。アナログにしかできないコトってたくさんあると思います。
さかいさん:髙橋さんはデザイナーとしてパソコン上の、いわゆるデジタルな環境で作業することが多いと思いますが、アナログへの関心が深いことに驚きました。
髙橋:私、けっこうな「紙マニア」なんですよね(笑) 自分の制作物のレイアウトや配色はもちろんですけど、どんな紙に印刷するかいつもかなり悩んでて……(笑)
さかいさん:デジタルとアナログの融合ですね!
髙橋:はい。この最上川ふるさと総合公園としても、いろんなものを融合して、掛け合わせて……。多くの人に「良い公園だね」って言ってもらえるように試行錯誤しています。芸術こそ、まさに試行錯誤の日々ですよね?
さかいさん:ホントにその通りです。ある程度のセオリーみたいなものはあるかもしれませんが、きっと完璧な正解って存在しなくて。その中で、私としての色を出していく。活動を通して、応援してくれる人、見てくれる人に今の自分をより深く知ってもらって、そして次の自分にもっと大きな希望を持ってもらえるようにしていかなきゃですね。なによりも、地に足をつけて、これからも着実に一つひとつのコトをこなしながら、頑張りたいと思っています。
これからもぜひ良いお付き合いを!
髙橋:最後に、我々ふるさと公園に何か言いたいことはありますか?
さかいさん:カフェ新メニューの「ゆずソーダ」とっても美味しかったです!
髙橋:ホントですか!嬉しいです。忖度ないですか?(笑)
さかいさん:いやいや本当に! 9月からの髙橋さんの展示会で試飲会をするそうですね。
髙橋:ありがたいことに、着々と準備が進んでいます。
さかいさん:私も楽しみにしてます!
髙橋さん:これからもよろしくお願いします。
さかいさん:こちらこそ!