日常ってこんなもの
「ちょっと待っててくれ」
その言葉が合図だ
横を通り過ぎる車の音
耳に入る近くのコンビニの入店音
視界に入る人の影
誰の邪魔もしたくない
自分がここにとどまる間
どうかこの世の中が
穏便に進んでほしい
指先に力を入れる
勝負は一度きり
失敗は許されない
目線を下に一点集中させる
いや、どうせ今の自分は
下しか向けない
僕には待ってる人がいる
どんな顔で待ってるんだろう
僕は下しか向けない
ただ怖がりなだけだが。
やることは決まっている
いつも通りやるだけだ
しかし、いつも通りにはいかない
それがいつも通りだ
いつも訪れる2択
右か左か
そんな感じの簡単なものだ
でも、それが決まらないと
成功率がグッと下がる
合ってたらいいな
そう思いながら手をすすめる
下がるだけだ、必ず成功させる
普段より早いスピードのはず
手際よく急いでいるはず
それなのに、時間がかかってると思い込む
焦り。
それを跳ね除けて
一つのことに集中する
さて、終わりが見えてきた。
やっと日常に帰れる
待っててくれてありがとう
そんな言葉を言おうと頭の中で呟く
さぁ、また歩き出そう
いざ、友よ
「よし、行こうか。」
「靴ひも」