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人生を変えたコント

#人生を変えたコント
著者 #せいや #霜降り明星
装丁 #森田直
イラスト #金井淳
#ワニブック

■内容
著者の半自伝。
高校1年のある日、登校すると自分の机がひっくり返っていた。そしてそれは毎日続いた。

4階から宙吊りにされる「スカイダイビング」、弁当のおかずを奪われる「集金」、髪型をスプレーでガチガチに固められる「祭り」、ロッカーに閉じ込められ横倒しにされる「ゾンビごっこ」。
周りには遊びの範疇だという雰囲気を醸し出す知能犯的ないじめの主犯格は黒川。

イシカワは円形脱毛症を発症し、眉毛まで抜け落ちても、学校を休まなかった。一度休めば戻ってこられない気がしたし、家族に心配をかけたくなかった。

そんな時学校の大イベントである「文劇祭」の出し物を、イシカワに全部考えさせるという嫌がらせが起きた。
イシカワは敢えて乗っかり、最高の台本を作るために毎日徹夜してコントの構想を練る。最高に面白いコントを作ってクラスの皆を驚かせ、味方につける突破口にするために。

■感想
これ以上ない最高にかっこいいやり方で、自分の力でイシカワは勝った。あらゆるものから勝った。

実はせいやさんのことをほとんど知らないまま読んだけど、腐らず曲がらずこんな勇気を出せるなんて凄い人だ。

「この経験を本にしたい」という強い思いで書かれたんだなというのがどのページからも伝わってきた。小学生でも読めるシンプルな文章になっていて、1人でも多くのイシカワに届くように書かれている。

そしてこの本はむしろ、多くの黒川に刺さるのではないかとも感じた。いじめ被害を告白する人は多いけれど、実際はいじめた人の方が多いはずだ。

私も酷い言葉で人を傷つけたことは山ほどあるので、結構刺さっている。

32歳になったイシカワは、今でもされたことを全部覚えている。この本を読んだ、大人になった黒川は何を思うのだろうか。

■印象に残った言葉
そんな変わり者にこそ大役を任せられると思った。「みんなに暗いと馬鹿にされている人のほうが、個性が特化しているところがある」と昔からの経験でわかっていたからである。

それはつらい経験から来る孤独や寂しさ、自分が経験した人が離れていく恐怖、すなわち弱さから来ているのだ。結局、いじめている人間は自分の弱さから逃れるために人をおとしめて安堵しているのだ。

いじめられた。弱い人間にされた。だから優しくなれた。優しくできる。

どん底から這い上がった人のほうが絶対に強い。

自分は何のために生まれてきたのか?なぜもっとうまく生きられないのか?(略)でも、みんな忘れているだけで赤ちゃんのときに、みんなを笑顔にして生まれてきている。おそらくそれだけで十分使命を果たしているのだ。思い切った考えかもしれないが、ずばり、生きている意味なんてない。昔、みなを喜ばせて生まれてきたときに使命は終わっている。そこからボーナスで人生を生きているだけ。みんなを幸せにしたご褒美で生きているだけなんだ。だから考えすぎず、ひとりひとりのご褒美の人生を過ごそう。

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