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二つの季節しかない村

#映画 #二つの季節しかない村
監督 #NuriBilgeCeylan
サメット#DenizCeliloglu
ヌライ #MerveDizdar
セヴィム #EceBagci
制作国 #トルコ 、#フランス、#ドイツ

■内容
トルコにある、雪深いインジェス村。ここでは冬と夏の季節だけが巡る。
サメットはこの村の小学校に赴任して4年目の美術教師。
早くこんな田舎から異動したいと思っている。

ある日サメットは、お気に入りの生徒、セヴィムからラブレターを没収し、返してほしいと懇願されても、捨てたと嘘を付き返さなかった。からかっただけのつもりのこの出来事がきっかけで、セヴィムから思わぬ報復を受け、教師としての地位を脅かされる事態になる。

サメットは彼女への怒りがおさまらず、依怙贔屓から一転、授業中も冷遇するように。さらに、その件で同僚ケナンにもいらだちを覚え、ケナンから自分が紹介したはずの女性であるヌライを奪おうと画策し…。

■感想
観た後、自分の底意地の悪さや狭量さを暴かれたような何とも言えない気分になって、今もそれは続いている。
ヌライが放った真っ直ぐな言葉の数々。
幼いセヴィムの何でも見透かしたような真っ直ぐな目。
これらはサメットに向けられたもののはずなのに、まるで自分に向けられているような気持ちになった。

サメットの言葉からは傲慢さと人間不信が滲み出ていて、げんなりすることが多々あった。
げんなりして、そして思う。自分もこの感情を知っていると。
言葉や立場で相手を打ち負かそうとしたり、怒りの中で相手より自分が優位だと示したくなったことは、あった。結構あった。兄弟喧嘩で弟や妹を理不尽に打ち負かして泣かせた時の、後味の悪い気分を思い出した。

「成り行きにまかせて関係を築くより、いくつかの質問で時間をかけずにその人の人間性がわかる。」とヌライが言うのだけれど、
「神は存在する?」⇒「信じる者には。」
「子供は好き?」⇒「子供による。」
「あなたは誠実な人?」 ⇒「特別な状況を除けば。」
「あなたは利己的な人?」⇒「とても。」
と、本当に質問の答えがサメットという人物を表し過ぎていて面白いと感じた。

劇中でサメットが撮り続けていたポートレートは真顔でカメラ目線のものが多い印象だった。写真は撮る人をあらわすと言うけれど、そういう意味ではサメットは自分が人からどう見られているかを気にする人なのかなと感じた。

それぞれの相手と交わす会話から、サメットという人物を知る。特に12分長回しの議論のシーンはヒリヒリして、息を呑んだ。
会話劇の面白さに触れた作品。

■印象に残った言葉

「批判ばかりで行動を起こさない。あなたは何か世界と関わってる?」

「君の目で自分を見てみたい」

#フォーラム仙台

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