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小学校〜それは小さな社会〜

■内容
6歳児までの性格は世界共通なのに、12歳になる頃、私たちは気付くと「日本人」っぽくなっている気がする。ということは、鍵は小学校にあるのではないか。

監督は、世田谷区立戸塚小学校の1年と6年に1年間密着することにした。小学校にいる子供、先生、家族。それぞれの日常で起こるドラマをありのまま記録したドキュメンタリー映画。

感動するところで感動的な音楽を流すわけでもなく、誰かにインタビューするわけでもなく、ただただ切り取った日常なのに、むしろドラマチックな作品。


■感想
悔しくて泣いて、嬉しくて笑って、挫折して乗り越えて、毎日毎時間毎秒、目まぐるしく成長する子ども達。

複雑過ぎて分かりづらいたこ足コンセントみたいな大人の世界にいるから、この映画を観て子供たちの純粋さが凄く響いた。

「コロナ禍に東京オリンピックはやるのに林間学校はなんで中止になっちゃうの?」自分が教師なら、なんて回答できるかな。

劇中、教師向けの講演での大学教授の言葉が印象に残った。「他国も羨む、協調性を育む教育。でも実は諸刃の刃でもある。助け合いの裏には連帯責任があり、おまえのせいで迷惑被ったというところからいじめも生まれる。教師がいじめを作り出す。」

縄跳びが苦手な放送委員、6年のきはら君のファンになった。意地を張らずに、できないことを認めて、地道に練習する。運動発表会本番で、できるようになったときの表情がたまらない。

足の速さ、委員の選挙、楽器のオーディション。あらゆることで大衆を前に優劣をつけられる小学生。大人になって冷静に考えると、跳び箱や鉄棒で優劣をつけるのなんて変なの、って思った。でも子供たちを観ていくうちに、できるできないはどうでも良くて、そこでどう向き合って行動するかなんだなと思うようになった。

先生も人間で、先生も誰かに注意される。ここが見られたのも面白かった。

卒業式の日。挨拶する前に声が詰まる先生。仕事で泣けるって、凄いな。それくらい先生も本気だ。

一番好きな映画を更新した気がした。もう一回観たい。

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