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同僚の転職(ポエム)

 「オレ、会社辞めることにした」
コロナ禍によるフルリモートワーク移行で、ほぼオフィスへ出社することはなくなった。
まあもともとPCとネット環境があればどこでも作業はできる仕事だし、社内や顧客とのコミュニケーションも良くも悪くもチャットやWeb会議がデフォルトになったことでオフィスに集合する理由も無い。
それでも、自宅に引きこもりの毎日も飽きてきて、気分を変えてオフィスで作業していたある日。
彼は私よりは頻繁にオフィスに顔を出していたようだ。社内で偶然遭遇し、昼メシでも食いに行きましょうか、ということで歩いていた。

「え、急ですよね、何かありましたか?」
「いや、急って事でもないんだけどね。そろそろ転職でもしようかなと思って」
まあ転職なんてもうだいぶ前から普通のことだ。一つの会社に勤めあげるなんて考えはどちらかというと異端でさえある。特にこの業界ではむしろ、転職することで年収を上げていく、みたいな発言さえ見かけるぐらいだ。

「次の会社とか決まってるんですか?」
「まだ活動中だけど、まあ2社・3社ぐらいから選ぶぐらいにはなりそうかな」
まあ彼ならスキルもあるし、行く会社がないなんてことは無いだろう。

彼とはクラウドサービスの勉強会で知り合った。テクノロジーに関する内容を持ち寄って5分から10分ぐらいにまとめて発表する、20人ぐらいで集まる小さな勉強会イベントだ。

そこで彼に誘われるカタチで今の会社へ転職を決めた。もちろん自分のキャリアとか待遇、仕事内容で判断したけれど、彼に「一緒に働きたい」と言ってもらったことは大きなキッカケだと感じている。
認めてもらえているのかなと思えるし、一緒に働きたいって、純粋に嬉しい言葉だと思う。

 そんな彼が私には一言も無く辞めてしまう。別に相談されるほどの間柄でもないし、言われたからどうだっていうこともないんだけれど。
今日偶然会わなければ、なんとなく居なくなっていたんだろうな、とかモヤモヤ考えていたけど、まあそんなもんかーと切り替えた。

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