【のほほんnote】12月6日 グミ•チョコレート•パイン
僕も出演させていただく、12月8日に高円寺の
ライブハウス「パンディット」さんで行われる
水道橋博士の座•対談シリーズ
「本のことしか語らないで」ゲスト大槻ケンヂさんイベントまであと2日。
会場は既に完売してしまったので、ぜひ配信で
ご覧ください↓
「グミ•チョコレート•パイン」
言わずと知れた青春小説の金字塔。
僕がこの本を初めて手にしたのは故郷の宮古島を離れ、大阪に出てきたもののお金も仕事も全くない20歳を目前に迎えた19歳のころだった。
銀杏BOYZの峯田さんは「十七歳」という曲の中でこう歌っている。
実際、僕も本書を十七歳で読んでいたら確実に19歳の時よりも大きく影響を受けていただろう。
十七才で既に本書の存在は知っていたが、僕が学生時代を過ごした宮古島には古本屋が一軒もなく、図書館でも取り扱いがなく、読みたくても読めなかったのだ。
大江健三郎ことこっちのオーケンは、読書の適齢期についてこう記している。
間違いなく、学生時代に読んでいたならば逆転満塁ホームランだっただろう。
青春のモヤモヤ、イライラ、ムラムラがすべて
この一冊に集約されていた。
高校2年生のヒロイン•山口美甘子は人生についてこう語る。
山口美甘子、君には愛を込めて、ありがとう。
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小学校に入学するタイミングで、生まれ故郷の
和歌山県から沖縄県の宮古島へと移住した。
文化や風習、使う言葉も違えば周りは保育園、幼稚園からの友達同士の中、全く0からのスタートで、人見知りだった僕はポツンと孤立していた。
その時、隣の席に座っていたSちゃんという女の子に「グリコって知ってる?」と声をかけられた。
ジャンケンをしてグーだったらグリコ、チョキだったらチョコレート、パーだったらパイナップルと階段を登っていき、先に頂上に着いたら勝ちのゲームだ。
(僕たちの世代はグミ、パインではなかった)
「知ってるよ」と答えると、「じゃあ一緒に遊ぼっ」と中庭の階段まで2人で向かった。
女神かと思った。
ところが、Sちゃんは驚くほどジャンケンが弱かった。ほぼグーしか出さないのだ。
どんどん開いていく2人の距離。
次第にSちゃんの顔が赤く染まり、今にも泣き出してしまいそうだった。
ここは敢えて負けることによって、Sちゃんに喜んでもらおうとチョキをだすと、案の定、Sちゃんの手は開くことなくグーのままだった。
というか、確実に怒っていてほぼ握り拳だった。
しかし、ジャンケンに勝ったSちゃんはとても嬉しそうな笑みを浮かべ飛び跳ねて喜んでいた。
怒りがおさまって良かったと思ったと同時に、
グ•リ•コで3歩しか前に進めないのにどうしてそこまでグーにこだわったのだろうと不思議に思っていると、Sちゃんはお股が張り裂けてしまいそうなほど足を開いて「グ•シ•ケ•ン•ヨ•ウ•コ•ウ!」と唱えながらあっというまに僕を追い抜き、教室へと戻っていった。
「沖縄すぎるやろ」
「こんなカウンター具志堅でもしやんで」
とカルチャーショックを受け、チョキを出したまましばらく呆然としていたが、今度は僕が目に涙を浮かべ「チ•ヨ•ツ•チ•ユ•ネ•ー」と言いながらSちゃんの背中を追いかけた。
青春は甘く酸っぱく溶けていく ひらいてとじて
グミチョコパイン
(気まぐれ短歌)
すべての若きボンクラ野郎に捧ぐ!
青春巨編第一章
五千四百七十八回。これは大橋賢三が生まれてから十七年間の間に行ったある行為の数である。
あふれる性欲、コンプレックス、そして純愛との間で揺れる”愛と青春の旅立ち”。
青春大河小説の決定版!