第1章:データクラウド活用事例

データクラウド活用事例研究:データクラウドとは何か?

第1章では、データクラウドの基礎について解説します。この章は、ケーススタディの第一歩として、管理者、マーケター、そしてSalesforce Data Cloudを学び、活用しているすべての人々に向けたものです。

データクラウドとは?


データクラウドの機能

まずは、「データクラウド」とは何かについて定義から始めましょう。顧客データの360度ビューについて聞いたことがありますか?もし初耳なら、このTrailheadの記事を読んでみてください。

360度ビューは、組織内の顧客データを一か所でアクセス可能な形で統合し、過去の行動を分析して将来のパーソナライズされた対話を促進することです。これにより、企業は顧客をより良く理解し、サービスやマーケティングを向上させることができます。データクラウドは、多様なシステムからのデータを接続し、統一された顧客プロファイルを作成し、顧客をセグメント化するためのツール群を提供します。さらに、Einsteinを活用したAIによる洞察も提供し、顧客の360度ビューを実現します。

なぜ360度ビューが難しいのか?

顧客データが複数のデータセットに分散していると、一貫した顧客ビューの実現が困難になります。例えば、サービスクラウドでは「Samantha」、マーケティングクラウドでは「Sam」、コマースクラウドでは「S」と異なる名前でデータが保管されている場合があります。これらの相違を調整し、顧客データを統一的に扱うことがデータクラウドの目指すところです。

データクラウドがどのように役立つか?

データクラウドは、顧客の360度ビューを実現するために、以下のようなステップを通じてサポートします。


データクラウドのデータフロー
  1. 接続(Connect): まず、様々な情報源を接続します。Salesforceシステム(Sales Cloud, Service Cloud, Marketing Cloud, Commerce Cloud)、クラウドストレージ(AWS S3, Google Cloud, Microsoft Azure, Snowflake, Google Bigquery)、APIやSDKなどのプログラマティックな接続、そしてMulesoftを利用した他システムへの接続が可能です。

  2. 取り込み(Ingest): 様々な情報源からデータをData Cloudに取り込みます。データは、DSO(Data Source Object)と呼ばれる特別なオブジェクトに変換され、CSVの形式で保管されます。

  3. 調和(Harmonize): 異なるシステムから取り込まれたデータを、Salesforceが提供する標準的なデータモデル(DMO)にマッピングし、統一します。これにより、異なるデータソース間の不整合を解消します。       

  4.  統合(Unify): 顧客に関する全ての情報を統合し、同一顧客のデータをグルーピングします。マッチングルールと調停ルールを用いて、データの「スペリング」などの違いを無視して、同一ユーザーのレコードを見つけ出します。

  5. 分析と予測(Analyze & Predict): データクラウドでは、Calculated InsightsやEinstein AIを利用して、データから多次元のメトリクスを定義・計算し、AIや機械学習を活用した高度な分析を行います。また、TableauやMarketing Cloud Intelligenceを連携させることで、より深い洞察を得られます。

  6. アクション(Actions): データのセグメンテーションとアクティベーションを行い、顧客データを実際のビジネス目標に役立てます。Salesforceのフローを使用して、データクラウド内のデータに対してカスタムロジックを構築することも可能です。

このケーススタディを通じて、データクラウドがどのようにビジネスの理解を深め、顧客との関係を強化するための重要なツールであるかを示していきます。FIFAがデータクラウドをどのように利用できるかの例を含め、実際の応用例を紹介していきたいと思います。

データクラウドを活用することで、企業は顧客データをより効果的に管理し、パーソナライズされた顧客体験を提供することが可能になります。このような戦略的なデータ管理は、ビジネスの成長を加速させる鍵となります。

この戦略的なデータ管理によって、企業は顧客に対してより的確でパーソナライズされたコミュニケーションを実現し、顧客満足度の向上、顧客ロイヤリティの強化、最終的には売上の増加につなげることができます。データクラウドを通じて、企業は複雑で多様な顧客データを一元化し、分析することが可能になり、これにより、顧客一人ひとりに合わせたカスタマイズされたサービスの提供が実現します。

データクラウドの価値を最大限に活用するためのポイント

  1. データの一元化と統合: 企業が抱える複数のデータソースからのデータを一元化し、統合することで、顧客に関する360度のビューを実現します。これにより、顧客のニーズや行動を正確に理解し、それに基づいたアクションを取ることが可能になります。

  2. データのクオリティ管理: データの不整合や重複を解消し、高品質なデータベースを維持することが重要です。データクラウドでは、データの調和と統合を通じて、これを実現します。

  3. 洞察の抽出と活用: 分析と予測ツールを活用し、データから有益な洞察を抽出します。これにより、顧客の将来の行動を予測し、より効果的なマーケティング戦略を立てることができます。

  4. セグメンテーションとパーソナライズ: 顧客データを基にセグメンテーションを行い、ターゲットを絞ったマーケティング活動を展開します。これにより、顧客一人ひとりに合わせたパーソナライズされた体験を提供できます。

  5. アクションの最適化: データを基にしたセグメンテーションとアクティベーションを通じて、マーケティング活動の効果を最大化します。データクラウドを活用することで、適切なタイミングで適切なメッセージを顧客に届けることができます。

データクラウドは、企業が顧客データを戦略的に管理し、顧客中心のビジネスを展開するための強力なツールです。このケーススタディを通じて、データクラウドの様々な機能がどのように企業のデータ管理能力を向上させ、ビジネスの成果を高めるかを理解していただければ幸いです。顧客との関係を深め、ビジネスの成長を加速させるために、データクラウドの活用をぜひ検討してみてください。

参考記事:

続き、


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