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スレブレニツァ・ジェノサイド
こんばんは。
仕事が終わったあと、映画館で予告を観てから気にかかっていた
「アイダよ、何処へ?(原題:Quo Vadis, Aida?)」
を観てきました。
侵攻してきた側が自身とは異なる民族だからという理由で、無抵抗、何ら武装をしていない避難民たちを一方的に選別。何もしないよ、支配下から逃れていいよ、送ってあげるよ、っと、避難民をそそのかして連れ出し、そして一方的に命を奪ってしまうこと。
避難民たちは国連が駐留しているエリアだから守ってくれる、守って欲しいと切実な思いで助けを求めて駐留エリアまで逃げてきたのに、国連軍には力がなく、侵攻勢力からのプレッシャーに対して抗えず、言われるがまま避難民たちをこの勢力へ引き渡してしまうこと。
基地内で働いている主人公アイダは国連軍の職員なので連れ出せるけど、家族は職員ではないし、イレギュラーを認めると国連軍全員に危機が及んでしまうから、っとアイダの必死の願いを一向に聞き入れないことなど、観ていて一向に救いがなく、どんどん絶望に向かって話し突き進んでいくのです。
映画を観終わったあと色々と調べてみたのですが、ヤスミラ・ジュバニッチ監督は本作を制作するにあたり、事件で家族を失った女性たちに丹念に話を聞かれ「憎しみを捨て、次の世代のためにも一緒に暮らすべきだ」と、女性たちがスレブレニツァへ戻ったことを知って、大変驚かれたのだそうです。「彼女たちの人道主義を描くために、主人公は女性がいいと思った」とインタビューに答えていたという記事を読みました。
主人公アイダを演じるヤスナ・ジュリチッチさんの「怒り」「虚無」の演技は凄まじくて、観終わったあとにアイダのことを思うとやりきれない気持ちでいっぱいになります。
ボスニア紛争末期、ボスニア・ヘルツェゴヴィナで実際にあった「スレブレニツァ・ジェノサイド」を題材とした作品です。国連平和維持軍で通訳の仕事をする女性がムラディッチ将軍が率いるセルビア人勢力から家族を守るために奔走する姿を描いています。
ボスニアのこと、歴史、この忌まわしいジェノサイドが起こった背景を私はあまり知らず、詳しいことが綴ることができないのですが、ほんの少し前にあった約8,000人もの住民が殺害されたのだそうです。
公式サイトで掲載されている監督のインタビューを読んでいると本当にこの作品を作りあげることは大変なことで、出演されていた俳優さんたちも何らかの圧力を今も受けていたりして、相当な覚悟をもって作品を作り上げてこられたことが垣間見えます。
この作品も、少しでも多くの人の目にとまり、このような事実があったこと、無関心でいることの恐ろしさを知ってもらえたら、と思います。