KDP版負け組の恋愛と勝ち組の恋愛
序章 抜粋
何事にも勝ち負けがある。それは敗ける者があるから勝つ者があるという相対的なものではない。絶対的勝者、絶対的敗者というものがある。例えば、石油国に生まれれば、その人は一生、お金の勝ち組になれるが、それも未来永劫続くというわけではない。
海鳥のフンが積もり積もってできたリン鉱石を肥料として輸出していたナウル共和国は世界一裕福な国になり、ナウル人は何も仕事をしなくても暮らすことができた。
採掘の仕事も全て外国人の出稼ぎ労働者にやらせていた。また暮らすために必要な小売店や飲食店も、全て外国人にやらせていた。生粋(きっすい)のナウル人は、ほとんどが何もせずに遊び暮らしていたのだ。
そしてフンが尽きるとナウルの命運も尽きた。まさに、「フンと共に去りぬ」だ。現在のナウルは、援助がないとインフラすらも維持できない国になっている。遊び暮らしていたキリギリスは食料とする植物が枯渇する冬になると野垂れ死にしなければならないという童話を絵に描いたような現実だ。
第1章 事実と地図 抜粋
現代社会はソーシャルメディアの発達によって、与えられた仕事や恋愛の多様性はかなりのスピードで変化しつつある。それも世界同時進行している。
その一方で知っておきたいことは「事実は残酷だ」という現実である。同時に「正しい地図」を持っていないと右往左往することになることも知っておきたい。正しい事実を知らないと正しい地図(知識や方法、法則、方程式)を持っていないと正しい判断を下すことはできない。
人類は大脳新皮質を形成したことによって動物を超えた存在になり得た。そして、人は大脳新皮質に蓄えてきた情報によって物事を判断するようになった。すなわち、「事実」は最も重要な因子であるので、正しい事実を知らないと正しい判断ができなくなる。
そのように理解できている人は少数派にすぎない。ここで負け組と勝ち組の間に差が出てくる。だから、事実に基づかないことを言ったり、酷いときにはフェイクや誤情報を伝えてきたり、地図を持たずにあっちだこっちだと言ったりするような人とは付き合ってはいけない。
人生の時間は有限であり、時間は貴重な資源であり、「お金より価値がある」という人も少なくないほどの資源なので浪費するのは芸がなさすぎる。はっきり言って、世の中は想像以上に冷徹に法則や方程式が作動するので油断は禁物である。
とにかく、嫌な人や嫌いな生物とは距離を置こう。苦手な人とは「仲良く」しないことが鉄則になる。無理に仲良くしようとすると、かえってストレスを感じる。苦手な人とは適度な距離感を保つことは人間関係を快適に保持するためのコツである。
嫌な事は当たり前に「断る」。これも重要なコツである。例えば、久米宏さんから「玉ねぎおばさん」の異名を冠された黒柳徹子さんは、こう言っている。「芸能界に入って1度もケンカしたことないんですよ。ケンカしないし、何か言われたりしても反抗しない。しかし、『嫌いな人には即絶縁状』を送る」という。
「人見知りです。興味がない人とは話したいとは思いません」と断言している。絶縁状には、絶縁する理由を丁寧に書くそうで、そもそも最初に出したのは高校生の時だという。「いじわるされたらそりゃ、お出ししなきゃ」とさらりと言ってのける。「その(関係を断ち切る)ほうがが世の中うまくいくと思います」と言い切っている。
常に自分は自分であって、自分以外の者にはなれない。そうでないと自分という独自性がなくなってしまう。自分という個性が消滅してしまうので、そのような考え方は正しくない。どんな自分でも、自分であることに変わりはない。スヌーピーの名言に「配られたカードで勝負するっきゃないのさ、それがどうゆう意味であれ」というのがあるけれどそれは正しい。
第2章 恋愛の価値が低下して久しい 抜粋
約3人に1人がED(勃起障害)なのだ。しかも、三十代、四十代よりも二十代の有病率が高いという。「若者よ大志を抱け」とか「若者よ書を捨て街へでよう」などと言っている場合ではない。
二十~二十四歳の有病率は五十~五十四歳とほぼ同等の結果となっているのだから、「若者よ老けるには早すぎる」とか、「若者よ元気をだせ、女の数は星の数」とか、励ましてやらないといけない。
根本的な原因は「過去の全ての繫栄した文明は出生率が落ちて人口が減少し、衰退に向かっている。なぜなら、文明が発達すると人は自己中心的になり快楽主義に向かうから」という説によって理解できる。
しかし、日本の場合は少しニュアンスが違う。そこで別の角度から探索してみよう。参考にする指標は「幸福感調査」である。調査の結果、「幸せである」と回答した日本人は57%であり、グローバル比較では、調査対象国30カ国中27番目の低さであった。
これはセロトニン分泌量などのホルモンから読み解けるが、ことはそのように単純ではないだろう。そこに生物的な遠因が絡んでくる。それは恋愛や結婚に対する価値観の変化である。生物は餌の増減を予知して産卵数を調整したり、時には育児放棄までする。人間も生物なので予知能力を備えているはずだ。
無意識にそのような調整がなされていたとしても不思議ではない。それが八十歳まで働かないと老後を乗り切れないという説である。北米や北欧に至っては、既に、生涯現役説が語られだしている。
その年齢まで働かざるを得なくなると、当然、恋愛観も結婚観も変わってくる。パートナーの選び方も変わってくる。時とともに変化してゆく容姿や資産力、収入力ではなく、労働ストレスを緩和してくれる「癒しとしての家庭」の方が重要性を帯びてくる。
第3章 世渡り最強の兵法 抜粋
孤高と孤独とアスペルガー、サイコパス、いずれも少数派である。比率は20%から5%程度、マイノリティだから軽視されがちという、その常識自体が既にカビが生え、苔むしている。
社会は常に流動的である。例えば、生成AIという新しい技術が登場するだけで、新しいビジネスが生まれ、それと同時に衰退したり、消えて行ったりするビジネスもある。
マイノリティだから異端児だ、変わり者だという人の考え方は間違っている。もう常識は古くなっているかもしれない。昔は、家に帰ったらまずテレビを点けるという人がほとんどだったけど、今では、高齢者以外ではそのような習慣のある人は10%程度になっている。このように、その他大勢のマジョリテイの世界では常識などはあっと言う間にガラクタになってしまう。
こういう時代の流れは、紀元前5500年頃、メソポタミアにおいて灌漑農業が始まったことが起点になっている。灌漑農業のおかげで食料の生産量が爆発的に増大し、それにつれて人口も急激に増加し、家畜が飼えるようになり、都市国家が建設され、職業の概念も登場した頃から延々と繰り広げられているものである。
新しいモノを取り入れた人は成功し、時代の流れに取り残された人は貧困に追いやられる。こうした時代の変化に対応できる人は、実は13%にすぎないことが調査結果で分かっている。しかも、この解決策はないとされている。
第4章 人生はゲームであり漂流である 抜粋
人生は何で決まるかについては多くの説がある。遺伝か、能力か、環境か、努力か、運なのか。イタリアのカターニア大学がシミュレーションした結果、最も大きな富を得たのは、最も運が良いとされた人たちだった。
現在では、人生を左右する力で最も大きいのは遺伝、能力、環境、努力などではなく「運」であると考えられている。では、運とは何か。一応は「幸、不幸などをもたらし、状況を動かしていく、人の力ではどうすることもできない作用」と定義づけられているが、このような定義づけでは何の役にも立たない。
なぜ運を定義づけられないのかを、誤解を恐れずにいえば、それは異次元の力だから、具体的には霊界が絡む四次元の力だからである。だから、三次元の科学や理論を持ち込んでも解決のめどはつかない。
成功者たちが説く成功の法則は簡単である。「何をするか」より、「何をやらないか」の方が重要である。ウォレーン・バフェットはこう言っている。「本当の成功者はほとんど全てのことにNOという」。
ある成功者が辞めた、やらないと決めたのは三つである。一つは友達とのつながりである。彼らの多くは悪げなく足を引っ張るドリームキラーである。
二つ目は、レベルの低い人ほど安価なドーパミンを好むということである。安価なドーパミンとは酒、たばこ、SNS、ポルノ、ゲーム、ジャンクフードである。65%組の「目先の小さな快感と欲望を求める」に合致する。どこであれ、なんであれ、法則は同じことを告げている。
安価なドーパミンの悪いところは満足してしまうことである。人は満足してしまうと次の行動が面倒になる。こうしてあすなろの木になってしまう。しかも、安価なドーパミンほど中毒性が高い。いわゆる最悪である。
三つ目にはコミュニティへの参加にNOということである。これは「群れることを辞めろ」ということでもある。スマホの通知をオフにしょう。結局、孤独になれ、孤高ならさらによし、そしていい人の演技ができるような人になれということである。
第5章 お金の話 抜粋
年収一億円の人間になるたった一つの方法というのがある。たった一つ、これしかやらない。それは「計画を立てないこと」である。発案者はスタンフォード大学心理学教授のキャロル・ドゥエック博士である。
彼の説は要約するとこうである。「成功だけを求めて失敗を恐れると人は行動できなくなる」である。翻訳すると、「計画ではなく、行動力とスピードを重視せよ」ということである。
これには、起動力を持つ脳内ドーパミンが絡んでいる。パニック障害を持っている女性が考案した5秒ルールというのがある。5秒間をカウントしながらゼロになったら行動する。行動すると脳内にドーパミンが分泌されるという原理を応用したものだけど、それをさらにパーワーアップしたのが1秒ルールである。それは両手をパチンと打つ行動を取るだけ。これで脳が動く。
第6章 人それぞれに悩みはある 抜粋
人それぞれの悩みに解決策などはない。なぜなら、それは我(エゴ)だから。エゴは千差万別どころか億差兆別だ。こんなのに解答などあるわけがない。多くの価値観と出会って自分自身をアップデートしてゆく以外に方法はない。
それは価値観が異なることによって新しい情報を取得でき、それが自分自身のアップデートにつながるからである。アップデートができないと同じ道を堂々巡りする他はない。これではあみだくじを引けないどころか、以前に挫折したと同じ悩みに出くわして悩むことになる。これでは能無しと同じだ。一歩突っ込めば千と千尋のカオナシと似ている。
最後に戦争について語っておきたい。かつての富というものは資源であったり、穀物であったり、土地由来のものだったので、戦争でその争奪戦が繰り返されていた。
しかし、今の資源は知識なので、戦争で奪えることはなくなった。これが戦争で死ぬ人の割合が15%から1%にまで激減した理由である。その代わり、添加物や人工甘味料、砂糖で死ぬ人の割合が激増したとユヴァル・ノア・ハラリは、語っている。
テロによる死者は年間8000人だけどコカ・コーラやマクドナルドによる肥満が原因の年間死者数は300万人である。日本では自殺者が年間3万人であるが、戦争になると自殺者は激減する。戦争が重要な言葉ではなく、「戦争という社会的つながり」が自殺率低下に重要なのである。
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