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「50年物はまだまだ新品です。」②
モノの価値
モノの価値は人によって違うと言います。自分にとって世界で一番大切だと思うものが、他の人にとってはまったく見向きもしないようなものである可能性もあるわけです。家族の中でもそうですよね。
結婚してすぐくらいだったかと思いますが、夫が学生の頃に着ていたという洋服が、忘れられたように長い期間クローゼットの収納ケースの奥の奥の方へ追いやられているのを発見しました。しかも収納ケースの中には入っていなくて、ケースと壁の隙間に落ちていて、ほこりをかぶり…何というか、明らかに大事にされていないような感じで。そこで、「もう着ないのね。確かに着ているところはしばらく見てないかも。」と思った私は、何のためらいもなく(本当はちゃんと本人に聞くべきなのに…)、その洋服をハサミでカットして掃除用の布にしてしまったのです。しかもその服、お掃除用にはとっても適した生地だったという…今思えば本当にごめん、という話なのですが。しばらくして、夫が家の掃除をしてくれるタイミングがあり、私が掃除用の布を置いている洗面所にそれを取りに向かったわけなのですが、リビングに戻ってきた夫の手には、例の服が。
夫:「これってさぁ、もしかして俺の服?」(哀)
私:「この間クローゼットの奥から出てきたよ、ほこりついちゃって。隙間に落ちてたから、いらないと思っていつも通り掃除用にカットしたんだけど、・・・えっ・・・まさかまだ使うんだった?」
夫:「気に入ってたんだけど・・(苦笑)。聞けや!(笑)まさかの再会だわ!」
私:「ごめん!!!」(全力)
なんてことがありました。この話、10年くらい前のことですが、夫はいまだに、「そう言えばあんなことあったよね・・」と切り出して話し始めることがあります。よほどのことだったのですね、夫にとっては。この先もまだまだ言われそう・・。
勝手にはNG
お片づけの勉強をしたあと、その時の私の行動を改めて反省しました。家族であっても、所有者の許可なしに破棄なんてとんでもなかったです。これは、小さな子供であってもそうですね。親が買ってあげたものだとしても、「どうぞ」と子供に手渡した瞬間から、それは子供の所有物。手放す時期がきたと感じるなら、促すことはしても勝手に捨てることはしない方が良いと、私は思っています。子供の年齢に応じて選択肢を提示してあげて、自分の意志で手放すという、“自己決定”を積み重ねていくことで、モノの管理ができるようにしてあげると良いかもしれません。ただ、年齢があがっていき、スマホなどを持つようになった場合については違ったルールが必要ですよね。
汚れた箱?
今回、祖父母の家の解体に向けた準備の一つとして、家の中に残っている廃棄予定のものを古道具屋さんに査定してもらったわけなのですが、名前も用途も分からないものがいくつかありました。その中でも、おそらく一番古くて、お世辞にもきれいとは言えない見た目の箱のようなものが、一番に買い取り対象となりました。それは、『行李(こうり)』なるもの。(写真参照)古道具屋さんいわく、「布張りのこのタイプは比較的珍しいですよ!」とのことでした。
行李
行李(こうり)
→柳や竹、籐で編んだ箱型の葛籠。かぶせ蓋のある直方体容器。
主に荷物を入れて運ぶ際に用いられた。引っ越しや旅行等。
また、衣類などの収納容器としても用いられた。
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かぶせ蓋のため、蓋が盛り上がる分、多くの荷物を収納できるという柔軟性もある。
母の話では、これに荷物を入れて麻紐や細布なので縛り、送ったりしていたとのこと。
調べてみると、材質や用途による区分があるようでした。
父は、「柳行李(やなぎごうり)」と呼んでいましたが、渋張行李・竹行李・飛脚行李・薬屋行李などの呼び名があるようでしたね。
この柳行李の歴史はとても古く、約1200年前には作られていたそうです。収納量の調整が可能なことに加えて、丈夫で軽いこと、汚れたら洗えることなど、柳の特性をよく知った上で機能的に使っていたのですね。
古き良き時代のものを受け継ぐ
祖父母の家にあった行李を見ていると、よく使いこまれているようでした。送り状的なものを縫い付けていたようなあとなどもあったり、祖父母の名前は油性ペンで大きく直書きされていたり。その状態でも、価値があるということですね。需要がある、と。
古き良き時代の素敵なものを、今の暮らしに上手にプラスさせた生活空間。これは私の理想かもしれません。姉は茶箪笥やお茶道具を大切に持ち帰り、私はお重や普段使いの食器などをもらって帰りました。金継ぎされたようなお皿もありました。祖父母が大切に使っていたものを、ここからまた長く使っていけるようにしたいと思っています。
教えてくれたのは…
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林 啓子(はやし けいこ)
インテリアコーディネーター資格取得後、設備メーカーで換気・照明などのプランナーとして勤務後、出産育児のため退職。 子供の生活に合わせることを優先するため他業種での2年間の職務中に、整理収納アドバイザー1級、親・子の片づけインストラクター1級、家計整理アドバイザー1級の資格を取得。 4年前から住宅設備関連の仕事と兼業しながら、お片づけや家計整理のセミナー、お片づけサポートなどを行う。また月に一度、お片づけ後などの不要になった子供服リユースイベント(@ろいやるはうす)のスタッフとしてもお手伝い中。
コンシェルジュのいる総合住宅展示場ふれあいホームタウン
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