異形のサウナ・力湯(兵庫県伊丹)
今夜はふらっと、力湯さん。
兵庫県伊丹市。最寄り駅となるJR伊丹駅からは徒歩五分ほど。
今まで、色々な銭湯に立ち寄ってきたけれど、その中でも力湯さんの浴室は群を抜いて個性的だ。洗い場も湯船もオールステンレス。男女を仕切る壁面には、こちらにもステンレス枠の巨大水槽が設置されていて、鯉や金魚が泳いでいる。全体の風景を見ると、まるでスチームパンクの世界に飛び込んできたようだ。
中でもサウナ設備は「異形」とも言える外観だ。麻を包帯状に巻いた太い手すり。その奥にレンガが積まれ、大きなサウナストーブが壁面と一体化したように鎮座している。とは言え、サウナストーブは金属製の土管を水平に積み上げたような形で、他では一切見たことがない。どこがどのような機能になっているのかも、正直よくわからない。そんな機械が、何かの工場のように、低い唸りを上げているのだ。
サウナ室内は広く、ストーブの前に二段になった座面。両端に一段の席がある。間隔を空けて座っても、8人はゆうに入れるだろう。
水風呂は二階に続く階段に隠れるようにしてあり、サウナに比べるとやや狭さを感じる。しかし、それを補って余りあるのが、二階の露天風呂部分にある休憩ベンチだ。
二階の露天浴槽も、浴槽はステンレス製。漢方の香りが漂う「人参実母散浴湯」が濃い色で満たされていて、近隣では珍しく浴槽に蛇口があり、お湯を「うめる」ことが出来る。
その露天浴槽まわりに、長ベンチが三脚。椅子が一脚あり、サウナーにとっては格好の休憩場所となるのだ。
……と、ここまで書いておきながら、なぜ銭湯に行ったのに、サウナに話題が寄ってしまうのだろうと考えた。僕もサウナは好きだけれど、それよりも銭湯そのものが好きなのだ。それでも、Twitterでもサウナ中心に呟いてしまうことが、よくある。
正直、サウナは、書きやすいのだ。それぞれに個性があるとは言え、銭湯の湯船ほど、振り幅の激しいバラエティはない。いくつかサウナを知っていれば、値段、広さ・温度・湿度・壁面・水風呂・休憩所の有無と、だいたい書く事が決まっている。読む人とのイメージも共有しやすく、表現を工夫することも、あまりない。だからサウナは書きやすい。
しかしながら、力湯さんのサウナだけは、どうしても、その姿を伝えきれる自信がない。一般的な銭湯サウナとのイメージが違いすぎるからだ。
もう、この異形のサウナを、その目で確かめてもらうほかない。
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