手も足も出ないとはまさに。(後編)
やっと呼ばれて、立ち位置に付き
最初のポーズで止まった途端、
あれ、最初なにやるんだっけ。
さすがに終わったと思いました。
”飛んだ”ってやつです。
人生初の、”飛んだ”記念日です。
これ、面白いのが
”飛んだ”のは最初の1フレーズだけ。
カウントでいうと2カウントだけなんです。
次のフレーズから踊りだせたけど、
頭で考えずに踊ってるから
(”飛んだ”衝撃で思考と身体の接続が切れた感じ。)
ところどころ変なんですよね。
身体が覚えているところだけ
勝手に動いてる感じです。
2回繰り返して踊ったのですが
1回目は”飛んだ”し、
2回目もなんだかよくわからないまま
(出だしフライングしかけたし)
あっけなく終わりました。
その場で合否の発表があって
当然ながら落ちまして、
荷物をまとめて帰りました。
その後ろ姿、自分で見たいくらいでした。
相当ダサかっただろうなと。
手も足も出なかったです。
完敗、
圧倒的に負け、です。
何に負けたかって、
自分です。
弱い自分、
調子に乗っていた自分、
ツメの甘い自分、
自分のことが嫌いになりました。
もう25歳の大人です、
ダンサーを目指す人の中で考えたら
ギリギリ崖っぷちの年齢です。
オーディションの帰り、
日帰り温泉に寄って
(落ちたからお昼くらいに終わったので)
露天風呂で
陽が沈んでいくのを
ただ見ていました。
涙がこぼれて
ハッとして、
わたし25歳なのに、時間に解決してもらおうとしてる!って。(笑)
時間が解決してくれるのはハタチまで。
いい大人は自分で解決しないと。
そう思いました。
この経験が起爆剤になるのか!?
はたまた諦めるきっかけになるのか。
人生はまだまだ続きます。
手も足も出ないとはまさに。