「漫画で学べる凸凹の書き順」第2話

※創作大賞2024漫画原作部門の応募作となります
※脚本形式となります

2話

○一角の家・居間(翌日・夜)
  喪服姿の人々がテーブルを囲み、酒を飲んでいる。
  そばに一角の眠る棺が置かれている。
  棺の前には六角の姿。
  六角、拳を握りしめ、じっと棺を見つめている。

○同・六角の部屋
  六角、燃えたぎるような瞳で、乱雑に押し入れを漁っている。
  六角、押し入から金属バットを取り出す。

○侍バー・店内
  店内に八角(42)、二角、客の三角(22)の三人。
  みな侍のコスプレをしている。
  八角、カウンターで酒を作り、カウンター席に座る三角に差し出す。
  三角、酒をあおる。
  と、乱暴に入口の扉が開く。
  三人、視線を扉へ向ける。
  扉の前に金属バットを手にした六角が立っている。
  六角、鬼の形相。
八角「(ぼそりと)…二角。お客だ」
  二角、六角へ近づき、
二角「(六角へ)未成年は立ち入り禁止だ」
六角「お、親父の仇だ!」
二角「親父?」
六角「お前らが…切腹させた!」
二角「切腹? ああ。そうか(と事情を呑み込む)」
  三角、酒を飲みつつ二人の様子を黙って眺めている。
  二角、カウンターにいる八角へ、
二角「八角さん。構わないよな」
  八角、無関心で酒器を拭いている。
  二角、六角の正面に立つと、鞘から刀を抜く。
  薄暗かりの中で白刃が鈍く光りを放つ。
二角「…小僧。渋谷区に住む外国人の数を知ってるか?」
六角「…?」
二角「わからないなら勘でもいい。この街の外国人は、多いか、少ないか」
六角「(苛立つ)多いに決まってる! 約一万人だ! それがどうした!」
二角「それなら話は早い。じゃあ、この店が治外法権で、警察が介入できないってことも知ってるよな?(とにやり)」
六角「…(雄叫び)うおおおおお!!!」
  六角、二角に突撃する。
  六角、金属バットで二角を殴りつける。
  二角、刀で防ぎ、激しい金属音が響きわたる。
  六角の攻撃は続き、火花を散らして何度もぶつかりあう刀と金属バット。
  キンキンキンキンッ
  キンキンキンキンッ
  キンキンキンキンッ
  キンキンキンキンッ
  キンキンキンキンッ
  キンキンキンキンッ
  キンキンキンキンッ
  キンキンキンキンッ
  キンキンキンキンッ
  キンキンキンキンッ
  キンキンキンキンッ
  キンキンキンキンッ
  キンキンキンキンッ
  キンキンキンキンッ
  キンキンキンキンッ
  キンキンキンキンッ
  キンキンキンキンッ
  キンキンキンキンッ
  キンキンキンキンッ
  キンキンキンキンッ
  キンキンキンキンッ
  キンキンキンキンッ
  キンキンキンキンッ
  キンキンキンキンッ!
  六角、一瞬、よろける。
二角「(隙を見逃さず)もらった!」
  二角、六角の肩めがけて大上段から刀を振りおろす。
  六角の片腕が吹き飛ぶ。

○机の上(俯瞰視点)
  凸の1画目が書かれた半紙。
  画面から筆を持った手が伸びてきて、勢いよく筆を振りおろす。
  半紙の上半分に縦線が一本引かれ、「┘」の文字ができあがる。

(つづく)


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