昆虫たちのチキンレース｜#完成された物語

前回に続きこちらにも参加させて頂きました。

面白い企画、お題をありがとうございます。

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日本にベーシックインカムが導入され、働かずとも暮らしせるようになって20年。

「怠けると死ぬ」が教訓である『アリとキリギリス』の話は時代にそぐわなくなり、全面的に改訂されることになった。

会議に集められたのは名うてのショートショート作家たち。

彼らの手によって早速ストーリーが変えられた。

まずは登場人物だ。

アリとキリギリスだけだと寂しいので、他に数十種、適当に昆虫を登場させることにした。

図鑑としての価値を生み出す。との思惑もあった。

そして肝心のストーリー。

一同で考えた結果、「どの虫が燃えさかる焚き火に一番近づくことができるか」というチキンレースを描くことに決まった。

これによって「強がると燃える」という現代的な教訓ができあがった。

ラストには優勝者によるヒーローインタビューが行われて話の幕が閉じる。

このように大幅に内容が変えられ、

タイトル名は「余裕でしたか？」と聞かれて優勝者が返した『割とギリギリっす』に決まった。

（おわり）