「漫画で覚える凸凹の書き順」第1話
※創作大賞2024漫画原作部門の応募作となります
※脚本形式となります
あらすじ
会社帰りに同僚とバーに入った一角(40)は、十角(35)が経営するぼったくりバーにひっかかり、切腹の刑に処せられる。
一角の死を知った息子六角(16)は、敵討ちをすべく十角のバーへと殴り込みにいくが…
※以下補足となります
ストーリーを楽しめて、
かつ学習できるものを作る、
が企画意図であり、
作中のキャラが放つ剣閃を漢字の筆画(横棒や縦棒)に見立て、
下記図の凸凹の書き順に従って各キャラが剣閃を放っていくことで、
覚え方が難しいとされる凸凹の書き順を、
ストーリーを通して覚えることができる、
という試みを行っております。
1話1000文字程度の掌編で、
1話につき1画の、
全10話(10画)を想定して書いております。
登場人物
一角(40) 六角の父
二角(30) バーの従業員
三角(22) 大学生
六角(16) 高校生
九角(42) 一角の同僚
十角(35) バーのオーナー
1話
○渋谷の繁華街(夜)
多様な国籍の人々が歩いている。
会社帰りの一角(40)と九角(42)、並んで歩いている。
侍のコスプレをした呼び子の二角(30)、一角と九角へ近づき、
二角「バーでもどうっすか?」
○侍バー・店内
入口の脇に置かれたハンガーラックに侍のコスプレ衣装が掛けられている。
ラックの前に「ご自由にどうぞ」の看板。
テーブル席に一角と九角の姿。
一角、羽織と袴を着、腰に刀を差している。
九角「(見て)一角さん。似合ってますな」
一角「(照れる)いや、九角さんも着ればよかったのに」
一角、お猪口を手に取り、酒をすする。
一角「ところで九角さん。娘さんはおいくつに?」
九角「先日中学生になりました」
一角「そうですか。難しい年頃でしょう」
九角「まあ色々と。一角さんの息子さんは高校生で?」
一角「ええ。育ち盛りで、図体ばかりがでかくなって。背丈も抜かれてしまいましたよ(と笑う)」
× × ×
一角と九角、すっかりできあがっている。
一角「そろそろ出ましょうか」
九角「ええ」
一角、二角を見り、手をあげる。
二角、やってくる。
二角、テーブルに伝票を置く。
一角、見て、
一角「(驚く)何だと?」
九角「…?」
伝票に以下の文字。
「会計金額 30万8千円」
一角「30万8千円?」
九角「何ですと?」
一角「君、どういうことだ?」
と二角を見上げる。
二角「衣装代のほうが30万になります」
一角「ふざけるな。衣装代がかかるなど一言も聞いていない(と声を荒げる)」
と、侍のコスプレをした十角(35)、やってくる。
十角「この店のオーナーの十角です」
十角、腹を立てる一角へ、
十角「お客様、どうなされましたか?」
一角「どうもこうもない。この伝票を見たまえ。ぼったくりじゃないか」
十角、伝票を一瞥し、
十角「左様ですか」
一角「左様だとも。こんなデタラメがあってたまるか。私は払わんぞ」
十角「しかし、そうすると切腹していただければならません」
一角「切腹だと?」
十角「ええ。お客様の選択肢は二つです。一つ。大人しくお金を支払っていただく。二つ。切腹をする。どちらを選びます?」
○一角の家・六角の部屋
六角(16)、机で勉強している。
とLINEの音が鳴る。
六角、机に置かれたスマホを手に取る。
スマホには一角からの以下のLINEメッセージ。
「俺の命も今日限りだ」
六角「(見て)…親父?」
○バー・店内
一角、白装束姿でカウンターの上に座らされている。
一角、顔面蒼白で短刀を握っている。
他の客ら、一角を興味深げに眺めている。
十角、打ち震える一角を見て、
十角「切腹を選んだか…」
九角、一角の危機を前に、放心したように突っ立っている。
○道
六角、スマホを握りしめて疾走している。
○六角の部屋(回想)
六角、机でスマホをいじっている。
スマホ画面に一角との以下のやり取りが流れていく。
「これから腹を切る」
「腹?」
「最後にお前に会いたかった」
「よくわかんないけど、警察は?」
既読がつくが、返信はない。
「親父? 警察!」
ややあって、
「いや、警察はいい」
「なんで!」
「警察を呼ぶほどのことでもない」
○(戻って)道
六角、疾走する。
六角「親父! 死ぬなっ!」
LINEの音が鳴る。
六角、おそるおそるスマホを見る。
一角から以下のメッセージ。
「人の世は 夢幻の 一夜かな」
六角、父の死を悟って、
六角「親父…親父っ!」
○バー・店内
白装束姿の一角、深呼吸する。
一角、短刀を腹に添える。
が、なかなか覚悟が決まらない。
十角、焦れったそうに、
十角「一角奴! 左から右へ真一文字に掻っ捌け!」
一角、目を閉じ、
一角「…息子よ。生きろっ!」
一角、勢いよく短刀を腹に突き刺す。
一角、顔を凄ませながら、左から右へ真一文字に腹を掻っ捌く。
○机の上(俯瞰視点)
白紙の半紙が置かれている。
画面外から習字の筆を持った手が現れ、左から右へ勢いよく横線を一本引く。
半紙の上半分に「-」(凸凹の一画目)が記される。
(つづく)
2話目https://note.com/furaidopoteto/n/nd2742e18be06
3話目
https://note.com/furaidopoteto/n/n8029f7a192ae
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