グリム組曲「小人の靴屋」ほぼメモな考察
自己解釈
● 「グリム組曲」に登場する"赤髪に緑目"のキャラクターは各物語に入り込んだシャルロッテ
「シンデレラ」清子の人形
「赤ずきん」老婆
「ヘンゼルとグレーテル」グレーテル
「小人の靴屋」少女
「ブレーメンの音楽隊」トリ
「ハーメルンの笛吹き」旅人
● イニシャルしかない登場人物たち→小説のキャラクターを意味する
タクシーの運転手など顔までイニシャルのキャラはモブキャラ
"N"自身もイニシャルなので同様に小説の中の存在
● 少女=原稿に対する赤字、校正を意味する存在
Nが書く小説に興味津々な素振りを見せながら指摘ばかりするのはそういう役割を持った存在だから
気になった場面と疑問点
冒頭
ラジオより 隅田川花火大会初開催の年(昭和53年)
「妻と赤ちゃんとの家族写真」「第14回常日出版文化賞授与式 写真」
「昏迷の凪より」の原稿を書くN氏
(水道水を飲んでいる)
老女「ママ、わたしのお人形破けちゃった」
耳に髪をかける仕草をする老女(少女と同じ癖)
ヘルパー「そういえばXさんちそろそろ離婚するみたいよ」
Y子「やっぱり?(笑)」
苛々して怒鳴るN
老女「花!」
Y子「ダメよ、おとなしくしてなさい」
N「文壇の寵児と呼ばれたのはいつだったか(中略)今の俺は孤独死を心配され、衝動殺人も危ぶまれている」
赤い世界
23:50
少女と出会う公園のベンチに座り日本酒を飲むN(酒屋では「日本酒は…」と苦手そうにしていた)
「混迷の渚より」をポケットから取り出し少し眺めたあと破り捨てる
24:00
少女「"老婆を殺害した男はもうろうをした状態で街をさまよう"(中略)なんだかどこかで見たような話」
少女「叱られたの。"おとなしくしてなさい"って」
原稿の文字が赤字になり浮かび上がり、少女がフーッと息で吹き飛ばす
24:07
少女が消える
翌朝身に覚えのない原稿「自己紹介」が机に置かれる
これが大ヒットする
次回作を期待され、「言ノ葉の螺旋」を執筆
(机の上に水の入ったコップ)
編集S「拝読しましたところ、いつもの先生ではない気がしまして。(中略)別人が書いたとしか思えません」
B子の感想「なんか小説というより、落ちのない夢の話を聞かされてる感じですかね」
赤い世界
23:40
少女と出会った公園
Nは少女を探すような素振りをするが少女は公園に現れない
ウイスキーの瓶にズームイン
翌朝になり「小人の靴屋」の原稿が机に置かれている
これがNの代表作となる
赤い世界
都心マンションへ帰ろうとしたところ旧アパートへたどり着いてしまうN
階段に"立入禁止"のテープ
1階自分の部屋に原稿を書いている人影
その場から逃げ出すN
田んぼの中を走っていき、足元の水飛沫から文字が溢れ出す
0:08
少女と出会った公園にいるN
少女「どうしたの?」
N「ここはどこた?」
少女「公園。私とあなたが初めて出会った公園」
少女「あなたの小説っていうのはね、あなたが書いたあなたの小説よ。書かないなら、書かないあなたには興味がないの。残念だわ。さよなら」
大量の赤字が浮かび上がり飛んでいく
N「私の小説じゃないなら、あれは誰が書いたんだ?私の字で、私が書くようなことを書いたあの原稿は!」
N「まるで私1人だけ違う世界に紛れ込んでしまったみたいに。独りぼっちなんだよ。周りは全員自分と違う生き物なんだ。私の気持ちが分かるか?怖いんだ。気が狂いそうになる。」
少女「ごめんなさいね。(中略)私にはどうすることもできない。だって興味があるのはあなたの小説だけだから。さようなら」
浮かび上がる赤字にかき消されていく苦しげなNの顔
青い世界
妻子と幸せそうに暮らすN(服装や見た目は前の場面と同じ)
赤ちゃんの笑顔
大家から赤いリンゴの差し入れ
リンゴを食べながら原稿を書くN
N最新作「昏迷の凪より」を人々と祝うシーン
"完"の字を書き原稿をまとめる
タイトル「小人の靴屋」
赤い世界
9:25(少女と出会うより前の時間)
日本酒を飲んだ形跡
Nが白髪の老人になっている(昭和→現代に)
ポケットに破った跡を貼り直した「昏迷の凪より」
「ベストセラー作家Nさん急死」のニュース
都内スクランブル交差点からニュースを眺め立ち去る少女
エンディング
キャスト一覧に少女は載ってない
感想
正直見返しても分からないことだらけ…
漫画版が楽しみです!
去年亡くなられた一城みゆ希さんの演じる老女、少ない台詞なのに世界観をコミカルに彩っていてシリアスなお話の中で唯一笑っちゃいました。
東地宏樹さんの演じるNは一つ一つの言葉に力があり、始終かっこ良かったです。駄目おじイイ。