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【BookReview】豆腐バカ by雲田康夫

この一冊は、森永乳業の「サラリーマン」として米国に渡り、豆腐の販売に人生を賭けた1人の男のストーリー。一つ一つの取り組み、そしてちゃめっけたっぷりの巧みな文章で、まさに「爽快」「痛快」なビジネスアドベンチャーが書かれている。

自分のメモ書きとして、心に残った文章を残しておく。

そうだと思ったら一歩前に進んで即実行すること。それを実行し続けると、周りの人は、少しずつ、あなたを変人扱いするようになり、最後には、”あの人はバカみたい!そこまでやらなくてもいいのに”と陰口叩くようになる。そうなったらしめたもの。
ほぼ成功への道筋に入ったと思ってよい。与えられた仕事に対してそこまで没頭し、全神経が集中してゆくと、必ず遠くに成功への光が見えてくのである。

『豆腐バカ』P14

自分の考えに近い部分であり、自分がなかなかできずにもどかしく感じている部分。日本から同様に米国でビジネスをした経験がある上で、この1冊を読んで「バカになりきれなかった」と反省した。

豆腐の通信販売には、実はもう一つ隠された意図があった。〜中略〜小さな日系の会社の限られた人員では、とても全国のスーパーを回ることはできない。そこで、消費者にセールスマンになってもらおうと考えたのだ。
豆腐の通信販売で買ってくださったお客様に、食べた後のパッケージを近所のスーパーへ持っていって、通信販売で買うのは面倒くさいので、この商品をスーパーに入れてくれと頼んでもらえたら、10ドル払いますとお知らせした。スーパーの方では、そういうことを言ってくれる人が一人だけなら無視しても、三人から同様に言われれば、一度こちらに連絡してくるだろうと考えたのだ。

『豆腐バカ』P88-89

これはまさにあっぱれなアイデア。お客さんに10ドル払うというのは、なんともすごい発想ではあるが、確実であり、そして人を雇うよりもより効率的。なるほどなぁと思った一節。

それでは家族にまで苦労かけないように、単身で駐在させれなよいと短絡的に考える経営者がいるとするなら、私は最初から海外進出はおやめになった方がいいと申し上げたい。
アメリカでのビジネスは、利益追従のみでつながっているように見えるが、実は違う。長く取引していると、心あるアメリカの経営者は、家族を大切にできないような単身赴任の経営者とまともにつきあわないことがわかってくる。
アメリカで事業する醍醐味は、会社を発展させ、大きくさせる喜びと、異文化の経営者の生き様をじかに見て聞き、つたない英語でも自分の経営哲学を伝え、相手の意見に耳を傾け、お互いの考えを理解することだ。それがグローバル化に向けての経営者の第一歩であると思う。このようなことが理解できる駐在社員をたくさん持つことが、これからのボーダーレス時代に生き残れる企業になるためのポイントだと思うのだが、間違っているだろうか。

『豆腐バカ』P199-200

この部分はまさに自分が米国で生活していた中で本当に強く感じた部分。ファミリーファーストの考え方が根付いているのは、米国に限らず、台湾などのアジア系も同様。またヨーロッパの経営者もファミリーに対する考えは、想像以上に重視している。現在日本でExpatたちを迎え入れていると、本当に家族単位で来日している人が多い。そして私は強くその必要性があると思っている。一方で、日本は単身赴任者が増加の一途を辿っている気がしてならない。

無名、無一文の会社がこれまでその国に存在しなかった製品を普及させる方法として、森永翁もミスター・トーフも考えることは同じだった。アメリカ人に豆腐を食べてもらえる一番の近道は、アメリカの権力の象徴、ホワイトハウスの住人である大統領に食べてもらうこと。ヒラリー夫人が「夫は肥満気味なので豆腐を食べさせたいと思っている」とテレビのインタビュー番組で言っていたと聞いて、豆腐とレシピ本を送り、大統領が豆腐ダイエットを始めるきっかけを作ったのは前に書いたとおり。

『豆腐バカ』P240

これもパラシュート効果を狙うイメージなのだろうか。いわゆる「インフルエンサーマーケティング」なわけであるけれど、現在だともしかしたら少しイメージや象徴的な人が少し違っているかもしれない。


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