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知のフラグメント

noteに限らず、情報発信をする際の基本として「あなたが何を発信して、読む人が何を得られるのか」を明確にしなければならない、というものがある。

それは分かる。SNSで知らない人をフォローする時は「こういう情報を得たいからこのアカウントをフォローしよう」となるので、発信する側は「私はコレを発信しますよ」と旗を立てなければならない。

そういう理屈は理解できるので、自分も何か「旗を立てなきゃ」とずっと思っていたが、旗を立てるってものすごく難しい。まず「私はコレだ」と決めるだけの覚悟と情熱がいる。そして1つのテーマで発信するだけの深くて広い知識が必要になる。考えるほどに「無理」となる。

もっとこう、思いついたものをバラバラと書きたい。じゃあ書けばいいじゃん、なんだけど、旗がなくて埋もれてしまって誰にも読んでもらえないのは悲しいし、自分の中に「旗を立てられていない」というモヤモヤ感もあり、なんとかこれをスッキリできないかとずっと思っていた。

そんな中、たまたまFacebookで流れてきたある投稿に「これまでバラバラだった情報が一つにまとまっていく瞬間って楽しいよね」と書いてあるのを読んだ。「確かに、わかるわかる」と思いながら、自分にも経験のあったその「楽しい瞬間」を思い出していた。

漫画「チ。」で得た知識

人気なので知っている人も多いと思うが、天動説が世界の常識だった時代に、それを疑い「地動説」を追いかけた人達を描いた「チ。」という漫画がある。それを読んでいて「へー」と思ったことがあった。

連載で追いかけていたため詳細はうろ覚えだが、主人公が地動説を証明するために星や恒星の動きを計算するも上手くいかずに行き詰まっていた時、ふと壁かかっている首飾りを見て閃くシーンがある。

その首飾りは、壁から杭が2つ出ていて、それに引っ掛ける形で吊るされていて、ちょうど上側を底辺にした下向きの三角形を示していた。それを見て「そうか、恒星は円じゃなくて楕円で動いているのかも」と閃く、というものである。

僕は全く意味が分からず、調べてみたところ、楕円というのは「異なる2つの定点までの距離の和が一定である点Pの軌跡」だそうで、なるほどだからネックレスが2つの杭に支えられているのを見て「楕円」を思いついたのか、となった。単純に1つ賢くなった瞬間である。

楕円の定義


「週刊だえん問答」

で、少し話は変わるが、「週刊だえん問答」という僕のお気に入りのコラムがある。筆者は黒鳥社の若林恵さんで、Quartz という有料ニュースレターの中で連載されているコラムの1つだ。

Quartz というのは簡単に言うと、海外のニュースを日本語と英語併記で毎日送ってくれるニュースレターである。友達に進められ、「英語の勉強にもなるし、海外のニュースも分かるし一石二鳥じゃん」ということで購読しはじめた。

このコラムの骨子は、アメリカのニュースメディアである「Quartz」で特集されている記事について、それを日本の視点でも読み解いて解説する、というものだ。アメリカの視点と日本の視点の両方から物事を見ることにより、より立体的に物事を理解するという構成である。

で、いつもの通りなにげなくコラムを読んでたんですが、ふと「そういえば、なんで『だえん問答』って言うんだろうな」と思った時に、ハッと閃くことがありました。

そう、「チ。」で知った「楕円」の定義です。ひょっとして「だえん問答」とは、アメリカと日本の2つの視点を持っている、というところから来た名前なのではないか?

おおお、と興奮して調べてみると、あっさりと初期の記事の中に由来が書いてあった。予想は当たっていて、コラム名の由来はやはり「2つの焦点を持っている」ということだった。おお、やっぱり!と思って興奮したし、こうやって別々のところで知ったことが繋がっていく瞬間はとても楽しい。
(ちなみに、文章を読むのが好きな人はここで紹介した由来の文をぜひ読んでほしい。物事における「建て付け」の大事さがとてもよくわかる良文です)

「知」のフラグメント

これらの事を通じて思ったのは、もちろん1つのテーマに絞って話す事はとても価値がある事だと思うんだけど、必ずしもそうでなくても、ある事を知ったり学んだしたことがどこがで何かに繋がって弾けることもあるから、どちらにも等しく価値はあるんだろうということです。

なので僕は、「自分が面白い、興味がある」と思った事をバラバラと書いていくことには変わりないんだけど、それをカッコよく「知のフラグメント」というテーマで書いている、という言い方にしてみようと思います。

フラグメント、というのは「破片」とか「断片」という意味で、つまり「知識の断片」ということですね。もちろん、結局何を発信しているのかはよく分からないんだけど、少なくとも自分の中で「僕は知識の断片をばらまいているんだ」という旗を立てることができて腹落ちがするので、モヤモヤはスッキリした気がします(笑)

というわけで、このnoteのサブタイトルは「知のフラグメント」ということにします!中身はこれからカッコ良くなるように頑張りますw


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