喫茶店3代目日記#1 突然喫茶店のオーナーになったら
2022年1月、僕は突然「喫茶店のオーナー」になりました。
その日から始まった、僕の喫茶店経営に関する奮闘の記録をどこかに残しておきたいと思ったので、これからnoteに日記として書いていこうと思います。
なぜ喫茶店のオーナーになったのか
これまで僕は、社会人になって21年間サラリーマンとして働いてきたので、店舗経営などやったことがありません。そんな僕がなぜ突然喫茶店のオーナーになることになったのかと言うと、父親が経営していた喫茶店を引き継ぐことになったからです。
喫茶店は1980年に開業したお店で、今年で営業42年を迎える老舗の喫茶店です。祖父が立ち上げ、それを父がサラリーマンをやりながら2代目を引継ぎ、副業としてオーナーを続けていたのですが、高齢に伴い父の体調面の不調も出てきたので、なんとかしたいと悩んでいるところでした。
これまで父の仕事の話はほとんど聞いたことがなかったのでこの機会に色々聞いてみると、どうやらコロナの影響で売上も減っており、決算上は赤字になっているようだった。もう少し正確に言えば、「今、実態として喫茶店の営業状況がどうなっているかもよく分からない」という状況だったので、この機会に店を閉じることも考えていたらしい。
しかし、42年も営業が続いているということは、とても地元に愛されているお店であると言える。お店に来てくれている常連さんとか、そこで働いている従業員の雇用を守りたいという気持ちもある、という父の想いを聞いた。そういう話を聞くと、じゃあ僕がやんなきゃダメかぁ、という想いも生まれてくる。
なにより、喫茶店経営ってやりたくてもなかなか経験できるものではない。迷ったときは面白そうな方を選べ、がモット―なので、やってみたいという気持ちが強くなってきた。僕の身体と気持ちを心配してくれる妻ともしっかり相談し、引き際の条件を決めておいて、引き継ぐことに決めました。
やらなきゃならないことが山のように
さて、じゃあ引き継ぐと決めたからには、いろいろと動き出さなければならない。思いつくことだけでもたくさんあるが、おそらく自分が知らないだけで他にもやらなければいけないことはたくさんある。なので、まず最初にやるべきことは、
今分かっている『やるべきこと』をリストアップして、優先順位を決める
他にも『やらなきゃならないこと』がないかを調べる
この2点である。その時にメモに書き起こしていた『やるべきこと』のリストが残っていたので、それをザッと並べてみたいと思う。
<会計まわり>
1-1 なぜか複数ある口座の内容確認・状況把握
1-2 未払いへの対応
1-3 会計士さんへの挨拶・お金の流れの把握
1-4 現状の契約・お金の流れを整理する
・店舗、リース、公庫からの借金などの名義変更
・各種引き落とし口座の変更
・各種入金口座の変更
・両親の家計状況の把握、お金の流れの整理
1-5 今後のお金の流れをどのようにするか検討・整理
<実店舗の把握>
2-1 店員への挨拶・状況説明
2-2 仕入先への挨拶・状況説明
2-3 オペレーションの理解(店舗で働く)
<商店街との調整>
3-1 契約不動産会社への挨拶・状況説明
3-2 商店街組合の関係者への挨拶・状況説明
3-3 商店街理事会選挙の手伝い、理事会への参加
<事業承継の手続き関係>
4-1 現在の会社に兼業許可をもらう
4-2 食品衛生責任者資格の取得
4-3 営業許可証の取得
4-4 廃業届・事業廃止・青色申告の取りやめ届出書を提出(父)
4-5 開業届・青色申告承認申告書を提出(僕)
4-6 雇用契約書を提出
4-7 源泉徴収の納期特例の書類を提出する
<その他いろいろな調査>
5-1 よく分からない口座引き落としや借金があり、その調査
5-2 使えそうな補助金の調査・申請
こうやって書き並べてみて改めて気付かされた。
「え、やることめっちゃ多いやん…」
まず最初にやらなければならないことは
リストアップしながらちょっと目がクラクラしはじめたが、これらのタスクに優先順位をつけて順番に対応していかなくてはならない。まずは、「喫茶店経営を行うために把握すべきこと」などの前に、なによりも「喫茶店経営をやれる状態にすること」が一番大事です。
どういうことかと言うと、大前提として僕は今の仕事を辞めるつもりはありませんでした。喫茶店はあくまで「副業」としてやるつもりなので、『やるべきこと』の中でも一番優先順位が高かったのは、「4-1 現在の会社に兼業許可をもらう」です。これがNGならこの話はそもそも成り立たないので、まずはここを押さえる必要がありました。
今務めている会社は原則副業禁止です。しかし、「特別な事情がある場合は認める」という記載があり、家業を継ぐなどであれば副業は可能、という噂はありました。(実際にそういう人に会ったことはなかったですが)
そこで人事規定を確認してみると、まず上司に承諾をもらうことが必要という。僕の上司のインド人は非常に「家族」を大事にするスタンスで、会社でも「健康、家族、そして仕事」という優先順位をとても明確に宣言していました。なので、今回の事情を話せば理解してくれるだろうと思っていましたが、話してみると案の定「No Problem, please take care your family」と一瞬で返答してくれた。持つべきものは理解のある上司である。
そして次に人事に相談してみる。そうすると人事も非常に協力的で、最低限注意しなければならないことを色々と説明してくれました。例えば利益相反であるとか利益の誘導ということはないかどうかを確認したり、勤務形態がどのようになり、今の仕事に影響はでないのかどうか、などを丁寧に確認してチェックしてくれました。
それらのチェックを終えたら、あとは書類を提出して承認をすればOK、ということだったので、思っていたよりもすんなりと副業の承認を得ることができ、これで晴れて堂々と喫茶店オーナーを名乗ることができるようになりました!
さて、次にやらなければならないのは「現状の把握」と「事業継承の手続き」を同時に進めていく、というところです。これがまた本当に大変だったのですが、続きは次回以降に!