【PC参加・予定者は閲覧禁止】もっと盛る!バルダーさんの門【第3回】

 第3回はDMとしての力量の見せどころの最初のセッションになるでしょう。
 本文では事件ひとつだけのアウトラインだけが書いてあり、依頼人の違いによる差や、実際のPCの動きに対応する部分はDM任せになっています。素直なDMは、戦闘遭遇をどうするのかに戸惑うでしょう。

 プライベートなセッションにおいては、前後のステージの合間として戦闘遭遇がなくても形になるかもしれません。ステージ4のいずれかを戦闘遭遇なしで組み合わせたり。
 一方で、このセッションを本文ままに限ってプレイすると、戦闘遭遇に比重を置くプレイグループだったり、Encounters形式の運用である場合は、このステージのボリュームが不足する可能性があります。ここでは、それをいろいろ補てんして、プレイし甲斐のあるセッションにする材料を色々提示します。

・ このステージは、素直に運用すると調査の判定だけをつなげていき戦闘遭遇は起こさないで済みます。ステージ1、2 からの内容が後ろ送りになっている場合には、それを消化したうえでステージ3 を短く済ませることで、ステージの切れ目のタイミングを調整する機会になります。

・ Encounters らしさのためを含め、戦闘遭遇を設定するという場合は、調査の部分を技能チャレンジか技能判定の繰り返しでシティー・アドベンチャーとして進めたうえで、ハドルーの陶器店で貴族の若者を取り押さえる戦闘遭遇を行うのがよいでしょう。

  貴族の私兵2体
  /貴族の若者が護衛として連れている一人とハドルーの店の用心棒一人、という設定。
  貴族の若者2体
  /本文にあるとおり、レイヴンシェイ家、オペロン家の一人ずつ。それぞれの家についてはキャンペーン・ガイドP.40のコラム内の一覧を参照。

 貴族の若者は最初から逃走するよう動く。貴族の私兵はどちらも貴族の若者が逃げ出すのを助けるように動く。マップは屋内の部屋など2 回の移動でいきなりマップ外へ逃げ出すことはできないものを使うこと。

・ 「犯人の手がかり発見」において、技能判定の達成度に応じ、ブローチ、短剣は個別にみつかるとして、それぞれがどの家のものかが判明するかどうかで差別化するとよい。一本道なので、技能判定の達成値が低いからといって両方とも見つからないとして、手がかりが全くないという事態はお勧めしません。

・ このステージの時点で、各依頼主の残酷さと腹黒さを印象付けしておくと、ステージが後になってから裏切られた感がでるよりも、プレイヤーの選択権がある感じが出て後味の悪さを軽減できるでしょう。

・ 像の神々について、本文以上の説明は必要ないでしょう。キャンペーン・ガイドP.48「バルダーズ・ゲートにおける神々」に、信仰や神殿、社については書かれていますが、ステージ3の本文冒頭で書かれている像に関する情報はここだけの記述です。注意すべきは、キャンペーン・ガイドを参照するにしても、ステージ3の本文だけにするとしても、設定語りにならないことです。

・ 実施したencounters でのセッションでは、難易度12 の< 地下探検>の判定成功で、神々の像の破断は意図的な切断のあとで、レンジャーの像はお粗末な無理やりの切断面で素人と判断できる、という形で別の犯人だと分かるように運用しました。ただし時間の関係で、神々の像の犯人についてはまったく触れませんでした。プレイヤー、PC には知っていてほしい情報ではありますが、アドベンチャーの流れとして、本文では貴族の子弟がどうなるか、しか重要視していないと考えました。そのため公にならなくてもかまわないし、ギルドの組織的な犯行を暴こうとすると別のストーリーが必要になって、話がそれてしまう恐れが出てきます。

[ 日数と大休憩の判断:3 日目] ステージ3 で事案になる像の破損は、本文によると神々の像とレンジャーの像で二日間に渡っています。そのため、アドリアンが没した1 日目の夜に神々の像が毀損され、2 日目の夜にレンジャー像が損傷されたとし、3日目にPC が各々の依頼者から話をされるとすると日数に関しての整合性が合うはずです。
 このステージでは、各依頼人からの内容の差異については個別に後述しています。全般的な動きとしては、
 (1)PCたちが依頼の説明を聞く
 (2)上層地区の神々像とレンジャー像に調査対象を絞る(ようにDMは誘導)
 (3)管理官の話を聞きに行く
 (4) (2)で入手する短剣かブローチで貴族家へ行って行方不明話を仕入れたら、町で聞き込みをしたとして< 事情通> の判定を行わせ、渡し守の話を持ち出しましょう。

 ここまでで時間を、既に夕刻目前とプレイヤーに説明しておきます。
 貴族の若者たちは素人なので、彼の足取りを追う調査に際しての技能判定は、出目10 で進めても構わないでしょう。PCたちはプロです。
 本来は市中と外の行き来はバジリスク門を通らなければならないところ、ブランプトン地区から双つ歌地区へ検問を受けずに出入りしています。そのため渡し守はかなり割増代金をもらっているとしてもよいでしょう。
 子弟たちを捕縛する遭遇が終わったら日が傾いていて、いずれの陣営でも連行したら「日がとっぷり暮れてから到着したよ」としましょう。これにより、この日も調査を追加で行うか、大休憩をとるかをプレイヤーに選択させる形にできます。

ナーサマス石造物管理官の話を聞く:ナーサマスには、それぞれの依頼主が「詳しいのはナーサマスだ」と言われて訪ねることができるようにします。ナーサマスは貴族なので、具体的な場所は書かれていませんが、仕事場は市壁の内側で無理はないでしょう。これでPC が誰と組んで進めていても、検問所を通る際にPC とアドベンチャーP.10のコラムのロトゲイア・ショートクロークを印象付ける場面を設けることができます。
 ナーサマスと話した場面で、難易度13 の< 事情通> か< 交渉> の技能判定で成功したPC は、ナーサマスが権限が伴っていない発言をしていると気づきます。難易度20 の< 事情通> に成功(13 を越えた場合に20 を超えていた形でも、別口に技能判定をさせてもよい)だったら、言われたとおりに殺害してしまうと、PC たち自身が貴族への危害によりシルヴァーシールドから、法の裁きによらないことでレイヴンガードから、同時に両者の不評を買い、最悪の場合は殺人犯として指名手配されると悟ります(ロールプレイの中でPL が気づけば、技能判定をしなくてもPC が気が付いたことにしてよいでしょう)。ナーサマスは貴族であるため、状況によらず責任は実行犯に降りかかってくるのです。もしPC がシルヴァーシールドとレイヴンガードの両方からにらまれたら、レイルがPC たちはお尋ね者であることをわかったうえで手を差し伸べます。
 なお、他の場合にもPC が治安を担当する2 勢力から追われる立場になった場合は、それまでどんな関係であろうとレイルが勧誘してくるようにすると、キャンペーンが継続できます。PC がギルドと手を組むことを了承すれば、ギルドは指名手配そのものは撤回させられませんが、手下が指名手配のお触れなどをさりげなく撤去して回り、PC たちが町をうろついても一般人がPCたちに気づきにくい状態にしてくれ、同時に衛兵、燃える拳の見回り担当に賄賂を渡したり弱みに付け込むことで、PC たちに手を出さないよう働きかけ、疑ったくらいでは突っ込まないといった消極的な態度をとるように手を回します。

シルヴァーシールドと組んでいる場合:本文にある2 つの事件を1 つに結び付ける材料となる「貴族の子弟が行方不明」という情報を、まずPC が「彫像の毀損犯についての調査」を依頼され、その中で入手できる噂の一つとして出すとよいでしょう(噂の内容の例としては「徴税官の襲撃はよそ者の冒険者らしい」「徴税官が奪われた金はギルドに持ち込まれて貧民のための施設に回されたらしい」「アブデル・エイドリアン公は呪われた人物だったらしい」「シルヴァーシールドは陰謀により公位を自称しているらしい」「燃える拳団の治安維持活動は行きすぎだ」など。ほか、今までのステージでPC がかかわっていない遭遇などの内容をうわさとして伝えると良い)。その上でシルヴァーシールドは件の考えに及び、犯人を秘密裏につれてくるよう追加で依頼します。PC は技能判定か技能チャレンジで子弟を見つけ出すとしても良いでしょう。貴族の若者の連行方法については、本文の最後の段落を参照してください。
 シルヴァーシールドはPC が目前に子弟を連行してくると、「彼らの処遇は任せたまえ。」といって、PC たちに報酬だけ渡す( あるいは渡す指示をNPC の部下へする) だけで、詳しい話はせずに退出を求めます。この場面で、難易度20の< 事情通> か< 交渉> に成功したPC は、シルヴァーシールドが子弟たちに罪を償わせるのでなく、政治的な材料としてこの事件を利用する気なのだと気がつきます。この技能判定を行うPC には、難易度19 の< はったり> 判定(これはシルヴァーシールドの< 看破> + 9 に出目10)を合わせて行わせ、シルヴァーシールドに見抜かれたかどうかを決めます。PC が< はったり> に失敗した場合、シルヴァーシールドは次のステージ以降PC たちを陰謀向きな連中という前提で話をするようにすると面白くなります。貴族の子弟を問題なく連れてきた結果についてはコラムを参照。

レイヴンガードと組んでいる場合:最もこの事件に関係ないレイヴンガードは、治安の観点からPC に「彫像の毀損犯についての調査」を依頼します。この時点でレイヴンガードのセリフとして、「神々の像の件も許せないが、より許せないのはレンジャーの像を傷つけたことだ。犯人が貴族だろうと貧民だろうと、ぶち殺してやりたいところだが、法にのっとった裁きでも10年はかたい。」と言っておくと、レンジャー像について説明しなくてもバルダーズ・ゲートにとっての重要性は示すことができます。
 このルートでも、連行した事実はシルヴァーシールド、レイルの知るところになりますし、あからさまに連行すれば「ギルドが貴族の子弟を虐待、連行した」と町じゅうで知られる事実となります。貴族の子弟を問題なく連れてきた結果についてはコラムを参照。

レイルと組んでいる場合: レイルは、レンジャー像については貴族の子弟がやったとわかっていて、貴族の子弟たちを連行してきてほしいと直接的にPC に依頼してもよいでしょう。
 貴族を連れてくることになるので秘密裏につれてこないと、貴族やシルヴァーシールドが妨げかねませんし、連れてくる際に乱暴にしている様子だと、レイヴンガードがちょっかいを出してきかねない、とプレイヤーに助言しましょう。
 PC は技能判定か技能チャレンジで子弟を見つけ出すとしても良いでしょう。貴族の若者の連行方法については、本文の最後の段落を参照。
 レイルに引き渡す場面では、PC たちと話す前にすぐに子弟たちをレイルが部下に連行させていなくなってしまう( 連れて行った先で、ずだ袋に放り込み、即座にレンジャー像のところへ犯人として放り出しにいく)。それからレイルはPC たちと話をします。レイルは依頼達成の労いを言ってから、PC たちにご苦労だったと言って退出を指示します。PC が子弟たちをどうするか尋ねたら、「しかるべき報いを受けるのだ。同然だろう」としか言いません。この時点で難易度20 の< 事情通> か< 交渉> に成功したPC は、レイルがコラムにある結果になることを承知で子弟を暴徒に投げ与えるつもりだと気づきます。この技能判定を行うPC には、難易度18 の< はったり>判定(これはレイルの< 看破> + 8 に出目10)を合わせて行わせて、レイルに見抜かれたかどうかを決めます。PC がこの< はったり> に失敗した場合、レイルは次のステージ以降PC たちを陰謀向きな連中という前提で話をするようにすると面白くなります。レイルの姿勢が気に入らず正義寄りな発言や行動をPC がしても、レイルは「本当は違うんだけろ、知っているよ」という態度でPC たちに接するし、そういう前提で言後の以後の非人道的になっていく依頼をしてきます。
 貴族の子弟を問題なく連れてきた結果についてはコラムを参照。PCが反対してもレイルは実行しますし、連行自体も別の人員を派遣して実行するので結果は変わりません。PC が子弟の末路を防ごうとする場合には、レイルが「この子弟たちを押さえたからには、誰に罪を着せるかは自由自在だ。貧民街に屍をさらしたくなければ、引っ込んでいな。」とPC を脅し、マスタリングとしては「若者は連行されていってしまって、君たちが間に合わないうちにレンジャー像のある広場に放り出されたよ。」と割り込まないように結果をのべるようにします。

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