ZOZOTOWNでは、誰がどんなふうに買っているの?
待望の(?)ZOZOスーツ、twitter上ではちらほら届いた報告と感想がUPされています。データのとり方はちょっとめんどくさそうですが…。
そして計測データをもとにZOZO PB(ゾゾ プライベートブランド)のTシャツやジーパンを購入したユーザーからは、「感動!」の声もあれば「全然しっくりこない」の声も見受けられます。
なにはともあれ、話題にされやすいZOZOTOWN。
ZOZOTOWNではどんな人が買っているの?
(株)スタートトゥデイのIRから画像をひろってきました。
「アクティブ会員」の定義は、過去一年間に購入のあった会員です。ちなみにほかの資料から、8割以上がスマホから購入しているそうです。
最近はネットでもリアルでも、「若い世代はもっぱらAmazon」という話を聞いていましたが、グラフでは意外とハタチ前後が突き抜けていますね。
20~40歳くらいまでが主要客層、約7割が女性、地域分布は人口の多い都市がある関東、近畿・東海で約7割の35万人がアクティブ会員さんです。
単純に、主要年齢層の人口に比例してこの結果、とみてもあながち間違ってはいないように思います。昔は、通販と言えば地方の人が近くにショップがないために利用しているイメージもありましたが、いまとなっては東京に住んでいたって通販の人も多いです。
女性が多い理由ですが、朝の通勤電車などで周囲を見渡してみると、想像がつきます。
オフィス用のキレイ目カジュアル単品コーデって一番めんどくさそうです。「会社で着るのはアリかナシか」からはじまって、着回しを考えて、天気や仕事内容、帰りの予定によってアレはだめコレもだめ、となるわけですから、頭を悩ませている女性は多いと思います。
混雑した電車内でも、スマホを構えて通販サイトをポチポチしている人を見かけます。レディスアパレルの販売経験から、地方だと車通勤が多くて家から制服で出かける方もかなりいらっしゃいますが、電車通勤が基本の都市部ではそうもいかず、人目を気にしての被服費が増える傾向にあります。
仕事やお出かけに必要な(間に合わせの)服を、日常の隙間時間でスマホで買う、そんな流れでの利用も多いのではないかと思います。
気合の入った服は、さすがに試着しに行きますよね。最近の消費動向から、イベントやギフトの用意を直前にする方が増えているので、確実にしたいものは直前に見分けて店頭で買われる印象があります。
みんな一回いくらくらい買っているの?
こちらも㈱スタートトゥデイのIRからひろってきました。出荷単価、つまり店頭で言う客単価ですね。
㈱スタートトゥデイは毎年3月が決算期で、一年間を四半期(三か月)に区切って追っています。「18/03第3Q」は、「2018年3月決算の年の、第3クォーター(四半期)」の意味なので、2017年10~12月を指します。
青いマルをしたのは、毎年秋から冬にかけて、コートが必要になったり、年間のなかで洋服・小物が高くなったりする時期です。反対に、7~9月は価格の低いものが多くてさらに夏物最終処分なども実施されるので、単価は下がります。
ご覧になっていかがでしょう。年々、第三四半期(青マル)の数値が下がり、それにつられて他の四半期も軒並み前年同時期を下回っています。
右端の赤字「¥8,450」は、この調子でいったら今年2018年の10~12月はこのくらいまで落ちる可能性があるかもなー、という私の勝手な予想です。
みんな一回にいくつくらい買っているの?
同じくひろってきました。
前述の勝手な予想の根拠は、一点単価が下がっているからです(上図A)。セット率は前々年度から2.0前後でほぼ横ばいですが、一点単価が下がって客単価が下がっています。みんなだいたい一回の注文で2点くらい買うけど、その一つずつの値段が下がっていますよということです。
その理由として、図内に書き込んだ合同クーポンの増加があります。
合同クーポンは、複数ブランドが対象で使える値引きクーポンの発行が2017年4月からはじまりました。さらに同年11月には、当初2~3日有効だったクーポンの期限が24時間になりました。
「悩んでいるとクーポンなくなっちゃう、買っちゃえ!」となりがちです。でもクーポン利用で値引きされているから、単価は下がっているのです。
しかし、予想は外れるかな?と思っているポイントがひとつあります。それは、2017年11月に改訂された送料の件です。
それまでは一度に5,000円以上購入すれば送料が無料でしたが、一律200円になりました。そうなると消費者の心理としては、どうせ送料がかかるなら、他にも欲しいものがないか探して、あったら都度送料を払うより一緒に買う方がお得、となるわけです。
そうやって要らないものも買うくらいなら送料200円負担で済ませておけばいいのですが、なかなかやっぱり「どうせなら」心理がはたらくのかなと思います。
もともとセット率が2.0前後の理由も送料にあったと思うのですが、これからは送料を都度払いたくないがためにセット率が微増し、客単価(出荷単価)は上がるかもしれません。
ZOZOスーツは誰のため?
ここまで、誰がどんな風に買っているのかを探って書いてきましたが、冒頭に書いたZOZOスーツ、一体だれのために作られたのでしょうか。
私は、「得意を伸ばし、苦手を克服」の二軸だと思っています。
ZOZOのヘビーユーザーの中には、ブランドや洋服をよく理解していて、自分の好みのサイズ感が分かっている人もいることと思います。その人たちは、データをとってしまえばそれをもとに提示されたものの中から選ぶことができます。盲目的に信用はしないと思いますが、比較検討の時間を短縮できます。これが、得意を伸ばす方です。
では苦手を克服はというと、これまでブランドも服もよく分からなくてオシャレな服屋さんに買い物に行く服がないけど、通販なんて試着できないからもっと不安、返品も面倒だとか、スポーツをやっているなど体形に特徴が強く、よく売られているサイズでは自分に合わなくて困っているとか、寸法の面で洋服のハードルを高く感じている人たちを取り込む方向です。
後者はそのままZOZO PBに引っ張っていく客層です。
これまで選べなかった、自分にピッタリサイズのTシャツ、ジーパン、ボタンダウンシャツ…。システムを使って採寸したデータが「あなたはコレですよ」と提案してくるのだから、信じるしかないし、コレなんだ!と思って着れば、うっすら自信もわくかもしれません。
ただ、この層にとっては「白Tシャツにジーパン」のコーディネート自体がハードルが高いのではないかと思うのは私だけでしょうか。
シンプルすぎて…。
今、街ゆく人の中で白Tにジーパンの人ってけっこう少ないですよね。ちょっと日焼けして素足でコンバースとか履いてロンハーマンにいそうな人くらいかなと思うのですが。
バリエーションがどんどん増えることを期待して、終わりたいと思います。長文にお付き合いいただき、ありがとうございました!