不思議な仕事をする虫---ハキリバチのこと
今週初めの午後のことです。
我が家のオカメインコ軍団の世話が終わって、私は、2階の部屋に降りてゆきました。使い終わった道具を戻すためです。
その日はお天気も良くて、ベランダに出してあるバラたちも元気そうです。鉢の表面が乾いているようです。それで、水やりをするために、網戸を開けました。ベランダの植物たちに水やりをするときは、古くなったステンレスの大きなやかんを使います(今は、水やり専用です)。
すると。ロブロイという名前の赤い花が咲くバラの葉っぱに、何やら虫が止まっています。黒いボディです。観たところ、蜂のような気がしました。でも、見つけた人が大騒ぎしがちなアシナガバチとかスズメバチとは、全然違います。全身真っ黒で、黒光りしているんですね。
私を観ても、別に攻撃もしてきません。ハチさんの関心は、もっぱらバラの葉っぱのようです。
「ジガバチ、かなぁ???」
蜂のことには、全然詳しくないのですが、確かそんなハチがいて、それは身体が黒っぽかったことをぼんやり覚えていたのです。今調べたら、ジガバチは肉食なので、バラの葉っぱに興味はないようですが、その時はもちろんわかっていません。
ただ、こうした虫たちがバラの葉っぱに卵を産み付けないとも限りません。それで、「ダメだよ、あっち行って!」と手で追い払ったのですが、向こうさんのロブロイへの執着は、半端ではありません。私の隙を見ては、ロブロイの葉っぱに止まろうとします。
そうなんです。ロブロイの隣には、アプリコットネクターというバラがあるのに、そのハチは何故かロブロイの葉っぱに止まろうとするんですね。
不思議に思って、私はいったん追い払うのをやめて、そのハチが何をするのか、観てみようと思いました。卵を産み付けようものなら、これは捕まえるぞと、決めて。
すると。そのハチはロブロイの葉っぱに止まるや否や、くるくる回り始めました。同時に、葉っぱの先端が、きれいに丸く切り取られてゆくんです。すーーっとカッターでも使っているかのような、見事さです。切り取られる曲線には、乱れもなくて、型抜きでもしたかのようです。
実は、ロブロイの葉っぱには、こうした”模様”がたくさんついています。虫が食べると、必ずギザギザの歯形が付くんですが、それもないので、不思議でした。その謎が、これで解決したんですね。
ハチは切り取った葉っぱを、同時に丸めているらしく、一つの作業が終わると、あごの下あたりに抱えて、飛んでゆきました。丸められた葉っぱは、ゼリーのような光沢をもっていて、なんだかきれいに観えました。
あっけにとられつつ、見とれてもいた私です。手際もいいので、作業時間も5分あったかどうかでしょう。
「なんだ、これは・・・・・」
訳が分かりません。それで、調べてみたんです。「バラの葉っぱを丸く切り取る虫は何?」って、打ち込んで。
そうしましたら、出てきた答えが「ハキリバチ」。「バラハキリバチ」という呼び名もあるようです。
なんでも、丸く切り取ったバラの葉っぱを巣材にするのだそうです。しかも、好みが偏っていて、たくさんバラを育てていても、特定のバラの葉っぱばかり狙われるのだとか。我が家でも、ロブロイがお気に入りなんですね。何度もネクターの葉っぱに止まっては、「やっぱり、こっちよ!」と、ロブロイのほうに飛んでくるのでした。
食害とかもないので、虫を殺す以外に駆除する方法がないのだとか。切り取った葉っぱを食べたりはしないので、薬も効かないのだそうです。しかも、葉っぱ全体をダメにするわけでもないので、植物へのダメージもない。育てている人間が、観た眼を気にしない限りは、害虫と呼ぶのもどうかなぁ、という感じのようです。
なるほど。葉っぱ全部を使わないので、逆にたくさんの葉っぱに切り取られた跡ができるわけですね。おおもとをダメにしないよう、配慮しているとも言えそうです。
私は調べ終わったのち、ロブロイを部屋の中に避難させて、網戸を締めて、相手の様子をうかがっていました。いくら害がないといっても、気が付いた以上はそのままにするのも気が引けたのです。
どのくらいの大きさの巣をつくるのかまでは調べていませんが、蜂さんは、もう戻ってきて新しい巣材を確保しに来ていました。ところが肝心のバラがない!!! うろたえて探し回っているのがよくわかりました。やむを得ず、ネクターの葉っぱに止まってみるものの、どうしても気がすすまず、ロブロイを探し回っています。
なんだか気の毒になってきました。それでも、せっかく避難させたし、相手もあきらめるだろうと思って、もう一度インコの世話をしに3階に上がってゆきました。
ただ、何故かハチが訴えているような気がして、気持ちが落ち着きません。
「バラは枯らさないんだから、葉っぱだけ、もう少し分けてくださいよ。意地悪しなくても、良いじゃあないですか!!」
そんな言葉が、頭に響いてきます。ロブロイが枯れこんできているならともかく、元気なのに、そういうことをした自分の心の狭さを見抜かれている気もしました。
それで。夜雨が降らないことを確認したうえで、ロブロイを外に出したんですね。気温も高いですから、植物にしても、外のほうが気持ちいいでしょうし(雨の時は、病気予防のために、室内に入れます)。それで、何となく気持ちが落ち着いた私です。
翌朝、例のハチが来ていました。嬉しそうに観えたのは、私の気のせいでしょうね、きっと(^^;
今日、バラを観察したら、ネクターの葉っぱも何枚か切り取られていました。調べたとき、バラ以外の植物も被害に遭うようになる、また、それまで手を出さなかった薔薇も被害に遭う、なんてことも書かれていました。巣材が足りないのかどうかまでは私にもわかりませんが、彼らもいろいろバランスを考えているんでしょうかね???
ベランダで出会った小さな不思議でした。
関東甲信越、昨日梅雨入りだそうですね。明日は小康状態ながら、日曜日は台風の影響もあって、またもや大雨の恐れもあるとか。皆様、くれぐれもお気をつけて、良い週末をお過ごしくださいませm(__)m💕💛
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