大晦日の夜に泣く
20221231のことである。
珍しく実家に帰らないことになり、家族四人で年を越す事となった。
スーパーでそばと天ぷらを買い、質素ではありながらも静かに夜を迎える。
子供たちはご飯を食べ終え、テレビにかじりつく。
ふと、今日はスーパーが8時までだったことを思い出し、閉店前の値引き商品を買いに家を出た。
7時半ごろにスーパーに着くと、すでにめぼしいものはなくなっていた。
僅かな売れ残りを1つ2つ手にとってレジに向かう。
会計を済ませた品を持参した袋に入れながら、ふと独身だった頃のことを思い出す。
こんな日常が、当たり前であったではないか。
大晦日も、元旦も、ただの一日であった。
新年など無意味で、古い人間が決めた習慣に過ぎない。
私にとって普通の日に、安く食料を提供してくれるスーパーには、感謝の心しかない。
本気でそう思っていた。
その時からおよそ十年の時が経ち、配偶者と二人の子供に恵まれ、果たして私の考えは変わってしまった。
一年に一度のこの日に、家族が揃って集まり一年を振り返る。とても尊い時間なのだ。今年はおせちも年越しそばもなかったけれど、そんなものは絶対に必要なものではない。
四人揃って健康に新年を迎えられることに、感謝
。来年もたくさんの幸福を見つけていきたい。
そう思って泣いた大晦日の夜であった。