暗殺者の眼差し①
わたしの第一印象はすこぶる悪いようだ。
初対面の人から言われるワーストワードTOP3
「元ヤン?」「怖い」「絶対元ギャル」
元ギャルに関しては否定こそしないが、第一印象にお育ちが顕著に表れているんだなと身震いしてしまう。間違っても品があるようにも、知能が高そうにも見えない。
四十そこそこでも言われるのだからたまったものではない。
そして元ヤン、これまた不名誉な響きだ。
ヤンキーの定義がいまひとつわからないが……。
わたしの思うヤンキーのイメージである、同性と殴り合い等の戦闘をしたことも、罵りあったことも、集会に出たことも、はたまた万引き等の犯罪行為もしたことがない。
縦社会で揉まれてきた経験も特にない。
ではなぜ元ヤン疑惑をかけられるのか。
三白眼で目付きが悪いことも理由のひとつだろうが、おそらく無意識にわたしから発せられる微妙な殺気が原因なのではないかと推察する。
今回はその殺気を生み出した張本人のエピソードを書いてみようと思う。
10代も後半と言う頃に付き合った男。
友人の幼なじみで、見た目は色白・目がパッチリしていて優しそうなイメージ。
友人とその男の地元は小さな地区で、1学年が少人数なので和気あいあいと皆が仲がいい。
友人の幼なじみならと、安心して付き合った記憶がある。
当時、わたしは高校時代腐れ縁だった彼氏にフラれ、傷心中だった。
初めての彼氏と別れ、初めての失恋を経験し、ショックのあまり食事もままならず、やせ細ってしまった。
世界が彼だけでできていたので、この世の終わりのような絶望感の中、毎日をなんとか送っていた。
この初めての彼氏との別れに関しては失恋を機に得たものもたくさんあり、友人の有り難みを痛感したり、のちにこれをきっかけに普通自動二輪免許、大型二輪免許を取得することになったり、今の自分が形成されていく大きなきっかけとなった。
今思えば結果オーライ。
まさにこの、この世の終わり状態で生きる屍と化していた時期、友人が酷く落ち込むわたしを心配して、地元の仲間と遊ぶからおいでと誘ってくれた。
件の男はその友人の仲間としてその時に知り合ったのだった。
つづく。