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Don’t Cryアフロ その①
今まで生きてきた中で、最強に殿方から好かれたであろう事例を書き記そうと思う。
自己肯定感が低いわたしにとって、愛されるとはどう言った事なんだろうと言う感覚がある。
40歳を過ぎた今でもよく分からない。
例えばの話、わたしに好きな人ができたとする。
その「好きな人」は全くわたしに興味が無い。だからわたしは気を引きたい、たくさんアプローチして「好きな人」がわたしに好意を持ったとする。
普通ならば恋愛において、この両想いになる瞬間が最高潮に盛り上がる幸せの絶頂だと思う……。
ところがわたしの場合。熱烈にむこうから求愛なんぞされた日には、「好きな人」は「好きな人」ではなくなってしまう。
一気にわたしの気持ちは興醒め、恋愛感情が無くなるどころか、相手への嫌悪感すら感じてしまう。
待ち焦がれた瞬間なのに、である。
「好きな人」であってもこうなのだから、自分が興味のない人から好かれとて、全くもって相手に好意を持つことが出来ない。
むしろ気持ち悪いとすら感じてしまう。
無意識でハッキリ認識していないけれど、おそらく初対面の時点で有り無しの振り分けを自分の中でしていて、無しの人は何をされても無しであることは変わらないのだと思う。
人から好かれることは幸せだと頭では分かっていても、わたしの心はやすやすとそれを許さない。
我ながら理解に苦しむ心模様だ。
過去お付き合いに至った人は一体どうやってその嫌悪の瞬間を乗り越えたのか、許容できた基準はなんなのか、それも自分でよくわからないのである。
とても嫌な奴だなぁと自覚はしているけれど、どうにも出来ずにもがいていてあっという間にここまで来てしまった。
最近になってようやくネットの情報でヒントを得た。
心理学に詳しい方が書いていた情報によると、
自己肯定感が低い→自分が嫌い→嫌いな自分を好いている人がいる→こんな魅力のない自分を好きだなんでどうかしている、気持ちが悪い
と言った具合なのだそうだ。
最近俯瞰で考えることができるようになったので、若い時はそれがおかしいと言うことにも気づけず、そんなことが何度かあった。
そんなお話。
すこしだけ夜の蝶だったとき。
20代前半でただなんとなくキャバクラのお仕事をさせてもらっていた。
白黒ハッキリしているし顔に出てしまう性分で向いていなかったため、自分の中で限界が来て長続きはしなかった。
でも社会経験として、初めて知るきらびやかな世界は今振り返ればとても楽しかった。
お仕事はがんばりたいので、普段言わゆる女の子らしい身なりからは程遠いわたしも、慣れないドレスに身を包み、指名をいただくようそれなりに努力はした。
その甲斐あって、1ヶ月もすぎた頃には少しずつ指名をいただけるようになった。
とは言え、ナンバー1には遠く及ばなかったけれど。
ある日、たまたまお客様の指名が4件重なり、テーブルからテーブルを行き来してまるで売れっ子のような日があった。
その日はお客様の入りも良かった。
バタバタしていたら、ボーイさんに呼ばれた。
「琥珀さん、今場内指名入ったけど大丈夫?
あそこの新規2名のお客様だから行ってください。」
「わかりました!」
情報指名とは、その場で指名をいただくことである。
忙しいときって重なるんだな、なんて思いながらも元気にお客様の元へ向かった。
「はじめまして!ご指名いただいてありがとうございます!琥珀です。よろしくお願いします。」