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ファンギルドの海外事業、「これまで」と「これから」【前編】
はじめまして。ファンギルドで海外事業を担当している松浦と申します。
今回は『ファンギルドの海外事業、「これまで」と「これから」』を前後編にわけてご紹介します。(後編はこちら)
出版流通の日販からデジタルコンテンツ事業へ
まず、私の経歴ですが、2007年に出版流通企業の日本出版販売(日販)へ入社し、特販営業部という部署に配属となりました。
2年半ほど営業に携わった2009年夏に、日販の社内公募で新規事業として「電子書籍事業」の人材募集がありました。特販営業部で日々充実した仕事をしてはいたのですが、出版流通に携わる身として「返品」という課題にモヤモヤしていた時期でもありました。「電子書籍には物理的な返品もなければ送品もない!」知った口きいたようなイメージと新しいことにチャレンジしてみたいという気持ちだけで応募しました。筆記&面接試験を無事通過して、「日販デジタルコンテンツチーム」→ファンギルドの前身企業の「クリエイターズギルド」での出向勤務→「ファンギルド」と、今に至っています。
ファンギルドでは、漫画の編集・営業・制作納品・海外事業と様々な経験を積んできました。現在は取締役として、海外事業部・営業部・制作部を担当しています。前置きが長くなりましたが、今回はその中でも「海外事業」についてご紹介します。
出版事業開始時からやっていた!?海外配信の源流
海外配信の源流は2010年頃、韓国の配信代理店に自社作品の韓国流通を提案いただいた頃だと思います。その頃は国内向けの営業部でライツ契約の窓口も担っていました。海外の出版社や代理店からオファーが来たものを対応していく、今思えば…比較的受け身な体制で海外への配信が始まっています。
当時のことを正直にお話しすると、海外ライツ契約の経験がほぼない状況で、人に聞いたり、調べたり、悩んだりしながら(なんせ人がいなかったもので…)、日々試行錯誤しながらやっていました。私も編集長業務との兼務でした。
海外事業のはじまりは「2016年」
では、どこをファンギルドの海外「事業」のはじまりかと言うと、明確に事業化を目指したのは2016年の冬。それまで国内の営業部が担っていたライツ契約をより積極的に行い、事業拡大を目指し「海外事業部準備室」なる組織をつくりました。
そして当時から変わらず今も「作家さんがたくさんの努力を経て生み出した作品を世界中の読者に届けたい!」という想いやビジョン実現を目指して、取り組んでいます。
事業化にあたり、以前から英語版流通の取引先としてお世話になっていたKさんとともに(今も大切なお取引先です)、韓国・台湾・英語とそれぞれの言語やエリアの市場調査・人脈作りなどなど、様々なことをしながら準備を始めました。
このように書くとカッコイイ感じ?もするかもですが、実際は出張を繰り返し、現地の取引先と打合せして、そして飲み明かす!という感じでした。(←お酒は必須ではなく、単純に私が好きなだけです。)よく同僚から「松浦さんは韓国出張に行ったら、体力と声を失って帰ってくる」と言われていました。そのくらい打合せして、飲んで、打合せして。みたいな。韓国語もできないのに、不思議と共通の目標(マンガの流通)と情熱があれば、問題なかったんだなと思います。
海外事業の「これまで」①ファンギルド作品の海外流通(輸出)
海外事業は2つの事業に分かれています。
まず、ファンギルド刊行作品の海外流通についてご説明します。
まずはそれまでの実績やファンギルド刊行ジャンルの特徴を踏まえて、韓国・台湾・北米とそれぞれのエリアに優先順位をつけて、エリアごとにいかに多くの読者に届けるのか(売上最大化)の観点で推し進めていきました。
下のグラフは自社作品の海外流通売上推移です。
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なんとか、ここまでは売上を順調に伸ばすことが出来ています。
取り組み例をご紹介します。
韓国流通では現地の出版社(ライセンシー)に電子コミックのローカライズと流通を任せるモデルを取っています。現地の出版社にもそれぞれ得意なジャンルがあります。そのため、「BL作品はA社中心に、TL作品はB社中心に。」というように、どのライセンシーに許諾を行うと「より読者に届くのか!」と、考えながら取り組んでいました。
一方で、取引先を増やし過ぎると流通作品が分散され、手間がかかる割には売上あがらないね。ということも起こるため、業務効率とのバランスを取ることも考えて行いました。ただ実際は、海外流通は挑戦的な側面もあり、かなり攻めた選択をしているケースも多く、このnoteを読んだ社内のメンバーからは「なにがバランスじゃ!」と刺されるかもしれません。。笑
下のグラフは直近のエリア別売上構成比です。
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韓国・台湾はファンギルド刊行作品との相性が良く、現在は売上のほとんどがこの2つのエリアで獲得しています。現在、注力しているのは英語版(上のグラフでいう北米エリアですが、英語圏すべてに向けています)のローカライズ流通です。今後、中国語・フランス語・スペイン語・ドイツ語など様々な言語へのローカライズ流通に挑戦していきます。
海外作品の日本流通(輸入)や今後の展開については後編につづきます!
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