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【仕事】キツネに乗っ取られた娘

こんにちは、イラストレーターのfunenoです。

愛言社様の語学雑誌『聴く中国語』で西遊記扉絵を1年半ほど担当しておりましたが、先月そちらが終了しまして、2025/1号より、新たなコラムとしてなんと、

封神演義が始まりました。

そしてその挿絵を描かせていただいております。

封神演義といえば、一世を風靡したあのジャンプの傑作を思い浮かべる方もいらっしゃると思います。

あんな(アレンジ部分を含めて)完成された先行作品があるのに、私はどう差別化していけばいいんだろうか?

とお仕事を受けたときは頭を抱えたのですが、私なりに可能な限り誠実に、お話に向き合っていきたいと思っています。

ところで、紂王も商朝も実在ですけど、封神演義はそこを舞台に借りたファンタジーです。成立も明代という話。なので時代・文化・宗教観、わりとごった煮という印象です。

ざっくりいうと、商が滅んで、周になる過渡期に乗じて、仙界も人界も争乱する話……でしょうか(まとめるのがむずかしい)。

人死にが多い話です。この死者にも意味があって、彼らはあらかじめ死すべき者が載るリスト(封神榜)に定められた者たちで、のちに「神」となるメンバー。

その封神作業を任せられたのが、崑崙の道士の一人であった姜子牙(太公望)、っていう設定。

初回は、商朝の紂王が女媧廟に言って失礼を働き、女神である女媧を怒らせてしまいます。

怒った女媧は、子飼いの三妖怪を呼び出し、商を弱体化させることを命じます(ほんとは即滅ぼそうと思ったけど、紂王にはあと20年くらい王をする命数が残ってたらしい)。

封神演義では、紂王はちょっと女好きなんですけど、力強く英明っていう設定。

でも女媧が派遣した子飼いの三妖怪のひとり・千年狐狸精が化けた絶世の美女・蘇妲己に篭絡されて、国が傾いていきます。

蘇妲己は、もとは商朝の臣で冀州候・蘇護の娘。

紂王が蘇護の娘が美しいと聞いて、ぜひ後宮に入れたいと思い、蘇護に頼むんですけど、すげなくされてしまいます。

娘を後宮に入れると王と姻戚になれて栄華が約束されそうなのに、蘇護はそういうことを望まない、堅物の模様。

紂王に無茶ぶりされた蘇護は、怒って勤め先の城の壁に、こんな国にはもう仕えんわクソ!(要約) って書いて去っていった。

紂王はそれを知って怒り、蘇護の領地に兵を差し向けた。

派遣されたメンバーの一人に、のちの周の文王(西伯候・姫昌)がいたので、彼の徳みたいなもので、何とかうまいこと取りなして、蘇護は紂王に謝罪し、娘の妲己を献上することでまとまる。

しかし、蘇護が妲己を伴って都へ上る途中、とある宿舎まで来た時、その宿舎がいわくつきだと知ります。

妖怪が出るらしい

蘇護はそういうの信じないタイプなので、泊まることに決定する。いちおう有事の対応のために起きてはいて、はたして、夜半に怪しい風が起きる。

お、例の妖怪か? 

と思って蘇護は妲己の様子を見に行ったんですが、別室にいた妲己は、何ともなかった、と返事する。

しかし、すでにその時、妲己の魂は、女媧が派遣した千年狐狸精に吸われており、その体は乗っ取られていた

そうとも知らず、蘇護は狐と化した娘を紂王に献上する。

紂王は、蘇護が無礼だったので怒ってました。なので、蘇護の娘が好みの顔じゃなかったら厳罰を加えてやろうと思って待ってました。

そこへ妲己が、罪人の娘として、謝罪に進み出ます。

妲己と出会ったときの紂王の反応を引用するので、お楽しみください。

すでに紂王の魂魄は天の外、空高くに飛ぶほどで、全身の骨が柔らかくなり、耳元は熱く、目は落ち着かず、さてどのような態度を取ればよいかわからぬほど。

勉誠社『全訳封神演義1』

というようないきさつを書いた挿絵がこちらです↓


『聴く中国語』2025-1号より

なんでパンダいるの、って思うと思うんですが、このパンダは『聴く中国語』のマスコットキャラクターのパン君です。

そんな感じの封神演義第1回も載っている、2025年1月号は本日より販売中↓


今月号のいいところは、占いが載ってるところですね。占い好きにおすすめ。

べつに語学ができなくても、テキストは全訳つきなので、読み物としても楽しめます。フレッシュな中国文化に触れたい方向けの本。

※1月号も買える、愛言社の公式サイトはこちら公式のyoutubeも、Xのつぶやきを眺めていると、中国語学習者界隈から高評価の様子。

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